正しく深く理解したいなら、一人で議論すれば良いという研究

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コロナのような社会問題や、会社の経営の判断など、世の中にはとても複雑で簡単には答えが出せたい問題もたくさんあります。こうした問題では、一つの考えに固執することなく、事実に基づいて物事を多面的にみることが、深い理解とより良い判断のために必要になります。しかし、これが意外と難しいもので、どうしても人は自分の考えが正しいと思い込んでしまうものなんですね。

そこで本稿では、

  • 事実に基づいて正しく深く物事を理解したいなら、一人で議論をすればいいのでは?

ということを実験してくれた研究を見てましょう。

一人の議論が理解を深める?

正しい決断をしたいときには、専門家を集めたり、賛成派と反対派の両者を集めて、”議論”を行うことが有効です。自分の見える範囲で決断してしまうより、幅広い意見を聞いて理解を深めた方が、良い判断ができるわけですね。

コロンビア大学の研究では、この議論を自分一人で行うことでも、理解は深められるのではないかということを実験しています。

この実験では、

  • 2人の市長の立候補者がいて、それぞれが街の問題について異なる立場をとっている。街の問題について正しく理解し、どちらの立候補者が良いかを判断しなさい

という設定となっています。

そして、一人議論の効果を確かめるために、

  • 一人議論グループ
    2人の立候補者の主張をお互いが議論している台本形式で書き起こすグループ
    一人で両者の視点に立って議論を行うわけですね。
  • まとめグループ
    2人の立候補者の主張をまとめて、それぞれのメリットを書き起こすグループ

の2つの方法で理解を深めてもらっています。

そして最後には、両方のグループで

  • どちらの候補者がいいのかを選んで、その根拠を2分で説明する

というタスクを行って、どちらのグループがより理論的で正しい主張ができているのかを測定しています。

結果:

実験の結果を見てみると

  • 一人議論をした人の方が、アイデアの数が多かった
  • 一人議論をした人の方が、2人の候補者を比較する文章が5.17倍多かった
  • 一人議論をした人の方が、2人の候補者の主張を統合する文章が3.31倍多かった
  • 一人議論をした人は根拠のない間違った主張を20%しかしなかったのに対し、まとめグループでは60%もの人が根拠のない主張をしていた

ということ。

なんと、単純に2人の主張をまとめるのでなく、議論形式で頭の中で戦わせた方が格段に問題の理解が深まっているんですね。両者が書き起こした文章では、お互いの意見を比較したりまとめる文章が議論形式の方がずっと多くなっているので、議論的に考えることが意見や事実を対比させるのに役立っているのでしょう。

まとめ

本稿では「一人議論で物事に理解は深まるのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 一人でも頭の中で対立する主張を議論させれば、物事の理解は格段に正確になる

ということ。

自分の意見を主張するときには、「もし反論させるならどんな指摘がされるだろう?」を考えて一人議論すれば、より深い理解になって主張を強くできるでしょう。SNSなどで情報が格段に広がりやすくなった今では、根拠のない情報も含めて様々な情報が出回っています。そうした意見も簡単に鵜呑みにすることなく、自分の頭の中で議論させていきましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Solitary Discourse Is a Productive Activity

Naoto

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