他のメンバーが広く視界に入るオープンな職場の方が、チームワークを感じやすいのか?
会社によって職場のデスク周りの環境も様々あります。
- フリースペースで自由に席を移動して良い会社
- 仕切りが少なくオープンで広々と他の人を見渡せる会社
- 各デスクが仕切りで区切られていて、簡易的な個室のようになっている会社
皆さんの会社はどのようなデスク環境になっているでしょうか?
本稿で注目するのは、デスク環境が仕事に与える影響について。人によって個室が好きだったり、オープンな職場が好きだったりすると思いますが、
- チームワークに注目するなら他の人とコミュニーションを取りやすいオープンな職場が有効なのでは?
- 個室形式の方が、集中力を阻害されることなく、仕事に専念できるのでは?
といったことが気になるのではないでしょうか。
そこで本稿では、この点について調べてくれたロンドン大学の研究を見てみましょう。
デスク環境のオープンさとチームワーク
ロンドン大学の研究では、イギリスのテクノロジー関係の大企業を対象にして、デスク環境の影響を測定しています。この会社では広々としてオフィスにオープンにデスクが並べらているのですが、
- 真ん中らへんの席では、見晴らしが良くて他の人が多く目に入る
- 角の席では、他の人はあまり目に入らない
- 窓際の席では、他の人と接触する機会が少ない
- 通路側の席では、他の人と接触する機会が多い
など、席の位置による違いでどれだけ仕事の感じ方に差が出るのかを測定しています。
具体的にどのようなことが測定されたのかというと、
- チームの一体感を感じるか?
- 自分がチームの一員であることを感じるか?
- チーム内での情報共有がたくさん行われていると思うか?
- 仕事に集中できていると感じるか?
- 仕事の生産性が高まっていると感じるか?
といったことが調査されています。
結果:オープンな席ほどチームワークは高まるのか?
早速研究の結果を見てみると、
- オープンな席になると、チームの情報共有のオッズは35%低下した
- オープンな席になると、チームの一員である感覚のオッズは28%低下した
- オープンな席になると、チームの一体感のオッズは33%低下した
- オープンな席になると、集中力のオッズは45%低下した
- オープンな席になると、仕事の生産性のオッズは58%低下した
ということ。
なんと想定とは真逆で、オープンな席ほどチームワークは悪く感じられるという結果になっています。そして、より大きな悪影響があるのが仕事のパフォーマンス面で、集中力や生産性も低下してしまっているんですね。
オープンな席がなぜチームワークの悪化につながるのかは疑問ですが、
- オープンだと周りの人に話が聞かれるので、逆にコミュニケーションが取りにくい
- オープンだと周りに見られている感覚があって、仕事を自分でコントロールしている感覚が失われてしまう
- 周りに人に話しかけられたりで仕事が邪魔されると、邪魔された側はチームワークが悪いと感じてしまう
などの影響があるのかもしれませんね。
まとめ
本稿では「視界がオープンなデスク環境の方が、チームワークは向上するのか」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- オープンなデスクで他の人が多く目に入るほど、チームワークは悪く感じられてしまう
- オープンなデスクで他の人が多く目に入るほど、集中力や生産性も低下してしまう
ということ。
同じチームのメンバーを近くの席に配置するなどの工夫は大切なことだと思いますが、各メンバーが仕事に集中できるように、最低限の仕切りなどは作ってあげたほうが良さそうですね。私も自分の仕事に集中したいタイプなので、職場はオープンじゃない方がありがたいです。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]