感情知能(EQ)が高い人ほどチームの役に立つのか?それにはモチベーションも関係するという研究

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感情知能(EQまたはEI)は、自分の感情に気づいてうまくコントロールしたり、他人の感情を読み取って適切に対処できる能力のことです。

感情知能は仕事においても大切なもので、感情知能が高い人は周りの人とうまく関係を築いて、チームの一体感を高めれくれます。また、顧客と直接関わり合うカスタマーサービス系の仕事では、顧客の感情を読み取って適切に対処する能力が重要な役割を発揮するため、感情知能の高い人ほど仕事のパフォーマンスが高い傾向があります。

この感情知能についてもう少し深く調べた研究で、

  • 仕事のモチベーションが、感情知能と仕事のパフォーマンスの間に作用して、効果の程も変わってくるのでは?

ということを調べてくれていました。本稿ではこの研究を参考に、仕事のパフォーマンスを上げるための感情知能とモチベーションのバランスについて学んでいきましょう。

感情知能とモチベーション

この研究では、167人のカスタマーサービスで働く従業員を対象に、感情知能とモチベーションがチーム一員としてのパフォーマンスをどれだけ上げているのかを測定しています。

感情知能を細かく4つに分けて分析されています。

  • 自分の感情に気づく能力
    自分が感じている感情に気づいて、なぜその感情を感じているのかを理解できる能力
  • 他人の感情に気づく能力
    他人の行動から感情に気付ける能力
  • 感情を抑制する能力
    怒りを堪えるように、自分の感情を抑えて適切な行動ができる能力
  • 感情を活用する能力
    感情をうまくモチベーションに変えて、目標達成の行動へ繋げる能力

モチベーションも次の2つに分類されています。

  • ポジティブなモチベーション
    何かを達成したいなどの前向きなモチベーション
  • ネガティブなモチベーション
    失敗して嫌な気持ちを味わいたくないといった少し後ろ向きなモチベーション

最終的には、4タイプの感情知能と2タイプのモチベーションの組み合わせが、チームメンバーのパフォーマンスにどのように関係するのかが分析されています。

結果1:ポジティブ×自分の感情に気づく能力

まず最初に、ポジティブなモチベーション×自分の感情に気づく能力に特別な相互作用があることが確認されています。どのような相互作用かというと、

  • ポジティブなモチベーションが低い場合には、自分の感情に気づく能力が高いほど仕事のパフォーマンスも高かった
  • ポジティブなモチベーションが高い場合には、自分の感情に気づく能力は低すぎても高すぎてもだめで、中くらいが一番仕事のパフォーマンスが高かった

ということ。

ちなみに一番仕事のパフォーマンスが高かったのは、ポジティブなモチベーションが高くて自分の感情に気づく能力が中くらいの人。モチベーションが高くて、かつ自分の感情に気づく能力が高い人は、感情への敏感さゆえにストレスと感じやすかったり、自分の成果と自分の感情が優先されてチームワークが低下してしまう可能性があるようです、

結果2:ポジティブ×他人の感情に気づく能力

続いて、ポジティブなモチベーションと他人の感情に気づく能力にも、特別な相互作用が確認されています。その結果を見てみると、

  • ポジティブなモチベーションが低い人も高い人も、他人の感情に気づく能力は中くらいが一番パフォーマンスが高かった
  • 他人の感情に気づく能力が中くらいの場合は、ポジティブなモチベーションが低い人の方がチームの役に立っていた

ということ。

ポジティブなモチベーションが高い人は、自分の成果を追求しやすい傾向があるので、他人の感情やチームワークといったものとは若干相性が悪い面もあるようです。いずれにしても、他人の感情は適度に気にするくらいがよく、全く気にしないのも、気にしすぎも良くないということですね。

結果3:その他の項目

ちなみに、その他の項目である

  • ポジティブなモチベーション×感情の抑制能力
  • ポジティブなモチベーション×感情の活用能力
  • ネガティブなモチベーション×4つの感情知能

は、統計的には有意な関係は見えられなかったということ。なので、上記の2つのポイントに注意しておけば大丈夫でしょう。

まとめ

本稿では「感情知能とモチベーションの相互作用が、チームメンバーのパフォーマンスに与える影響」についてお話ししました。

この研究で分かったポイントとしては、

  • ポジティブなモチベーションが高い人は、自分の感情ばかり気にかけないようにするとチームでのパフォーマンスが良くなる
  • ポジティブなモチベーションが高い人も低い人も、他人の感情は適度に気にかけるようにするとチームでのパフォーマンスが良くなる

ということです。

相手に共感したり、自分の感情をコントロールしたりと、基本的には感情知能は良いものです。しかし、感情知能が高すぎるのも問題があるようなので、自分の感情も相手の感情も適度に気にすることを意識すると良いでしょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : THE INFLUENCE OF WORK MOTIVATION ON EMOTIONAL INTELLIGENCE AND TEAM EFFECTIVENESS RELATIONSHIP

Naoto

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