運動で不安を減らすための最適な運動量はどのくらいか?の研究
運動には不安を軽減する効果があることが多くの研究結果から分かっています。
なので、不安を感じやすい人は運動を習慣にすると良いのですが、
それではどのくらい運動すれば良いのか?が気になると思います。
そこで、本稿ではアリゾナ州立大学の研究(*1)を参考に、不安を軽減するために最適な運動量について紹介したいと思います。
運動の不安軽減効果のメタ分析
この研究では運動の不安軽減効果を調べて研究49件をメタ分析でまとめていて、これらの研究の対象者数は合計で3,566人にもなるということ。
そしてこの研究が調べたのは
- 運動の不安軽減効果の大きさはどのくらいか?
- 他の不安に対する療法と比べて効果の程はどうか?
- 運動量はどのくらいが効果的なのか?
といったことを調べてくれています。
そして、その結果がどうだったかというと
- 運動には不安を軽減する効果が確かにある(効果量:−0.48)
- 運動の効果は、他の療法(瞑想、セラピー、ストレスマネジメント、薬物療法)の効果と同等、もしくはそれ以上
- 不安を減らすのに最適な運動量は12.5kcal/kg/week
ということです。
ちなみに運動量と不安の軽減を図にしたのが次のグラフとなっていて、
運動量が増えると不安も低くなっていますが、、運動量は多すぎてもダメで、12.5kcal/kg/weekを超えたあたりから不安がまた高まってしまっていることがわかります。しかし、この研究ではサンプル数がそれほど多くないので、あくまで目安程度の考えるのがいいと思います。不安以外のメンタルへの効果も考えると、12.5kcal/kg/weekを超える運動量でも高い効果が得られるという研究結果もあるみたいです。
ちなみに最適な運動量の12.5kcal/kg/weekは、週に自分の体重1kg当たり12.5kcalの運動という意味となっています。例えば、体重60kgの人なら60×12.5=750kcalの運動を毎週やればいいということですね。750kcalはジョギングなら約80分に当たるので、20分のジョギングを週に4回行うのが良さそうですね。
運動の種類は何がいいのか?
先の研究では運動の種類までは詳しくみていなかったので、運動のメンタル改善効果を調べたもう一つの研究(*2)を見てみましょう。
この研究では19,8421人を対象に、普段の運動とメンタルの状態を調査しています。
その結果としてわかったことは
- 週に20分の最低限の運動でもメンタルの改善効果はある
- もちろん運動量を増やせば効果も高まる
- 運動の種類はどれでも効果は得られた
(ウォーキング、スイミング、ボールスポーツ、負荷の大きめの家事、ガーデニングなどなど) - スポーツのような活動レベルの高い運動の方が、運動量を増やしていったときのメンタルの改善効果が大きかった
ということです。
運動の種類はどれでも効果があるということなので、まずは自分の好きな運動から始めてみるのがいいと思います。また、気分によって運動を変えるというのもありだと思います。例えば、ストレスを感じたときは仲間とテニスをして楽しむだったり、リラックスしたいときはヨガをするとかですね。
まとめ
本稿では不安を減らすための運動量についてお話をしました。
最後にポイントをまとめると
- 運動には不安を減らす効果があって、それは他の不安療法にも匹敵する
- 運動量は最低でも週に20分で効果はある!
できるなら週に80分を目安に運動量は増やすと良い。 - 運動の種類は自分の好きなものでOK
ということです。
最低20分でも効果があるというので、まずは頑張らなくても続けられる少なめの運動量で習慣を作ってから、だんだんと運動量は増やしてみるのが良いと思います。
このときの注意点としては、オーバートレーニングに気をつけてください。運動は体にストレスを与える行為でもありますから、やり過ぎても逆効果です。オーバートレーニングになると、体のだるさが続いたり、睡眠に質が悪化して夜に目覚めてしまったりするので、このような兆候が現れたら運動量を減らしましょう。
実際に私もジムに行って筋トレと有酸素運動をする習慣がついてから、体もメンタルもだいぶ強くなった気がします。筋トレは持ち上げられる最大重量を更新していったり、体を大きくしていくことで自分に自信が持てるようになりますし、ジョギングは不安やストレスを感じているときに景色の良いところを走ってリフレッシュするのにおすすめです。
以上、それでは良い健康ライフを!
[参考文献]
*1: The anxiolytic effects of exercise: a meta-analysis of randomized trials and dose-response analysis
*2: Dose-response relationship between physical activity and mental health: the Scottish Health Survey