仕事をサボるなどの非生産的な行動に、個人の性格と仕事への満足度がどう関係しているのか?

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本稿のテーマは「仕事の非生産的行動はどんな要因で増えてしまうのか?」についてです。

非生産的な行動を減らして組織のパフォーマンスをアップさせるために、そもそもどんな要因が非生産的な行動を引き起こしてしまうのかを理解することが大切です。

そこで本稿では、非生産的な行動に対して個人の性格と仕事の満足がどのように関係するのかをお話ししたいと思います。

非生産的行動とは?

非生産的行動(counterproductive behavior)とはサボりや他人を批判するなど、会社や組織にとってマイナスの行動のことです。

非生産的行動はその行動が向けられる対象で2種類に分けられています。

①組織に対する非生産的行動
主に組織に対してマイナスの効果を与える行動のこと。
例えば、サボる、ルールを守らない、頑張らない、休憩は多すぎるなど
ひどい場合には会社のものを盗んだり、会社のお金を私的に利用したりなども組織への非生産的行動にあたります。

②人に対する非生産的行動
こちらは人に対して行われる非生産的な行動です。
例えば、他人を批判したり、他人を笑い物にしたり、失礼な態度を取ったりといったことです。

ということで、どちらの非生産的行動であっても会社にとってはマイナスでしかないので、これらはできるだけ無くして行きたいというわけですね。

非生産的な行動を増やしてしまう要因とは?

これらの非生産的行動を増やしてしまう原因はなんなのか?ということが研究されているみたいです。そこで、本稿ではそれらの研究の中から「性格と仕事への満足感」に着目したアイオワ大学らの研究(*1)を見てみましょう。

性格のビッグ5分析

この研究では性格分析としてビッグ5を用いています。
これは性格を5つの要素に分解して考えるもので、簡単に概要をまとめると

①同調性:他人を思いやったり、うまく協力したりできる性格
②誠実性:まじめにこつこつできる性格
③開放性:新しいことにオープンな性格
④外向性:他人と交流するのが好きな性格
⑤感情安定性:メンタルが強くて感情が安定している性格

といった感じ。

仕事への満足度

性格が非生産的行動の多さに影響するというのは直感的にもよくわかる話で、例えば、誠実性が低くて性格が不真面目な人はサボりなどの非生産的行動が多そうですよね。

ちなみに、この研究では性格と仕事満足度が合わさったときの相互の作用にも注目していて、性格が悪くても仕事の満足度が高ければ非生産的な行動は減らせるんじゃないの?というとこまで深掘りして分析してくれているんですね。

結果:非生産的行動と性格・仕事満足の関係

この研究では141人のカスタマーサービスの従業員を対象に取得したデータを分析しています。

その結果わかったことは

  • どんな性格であっても、仕事満足度が低いと組織・人の両方への非生産的行動が増えてしまう

ただし、一部の性格は非生産的な行動に直結していて

  • 同調性が低い人は、人への非生産的な行動が多い
    (自己中心的に働く人は、仕事満足度が高くても他人を攻撃したりしがち)
  • 誠実性の低い人は、組織に対する非生産的行動が多い
    (不真面目な性格の人は、仕事満足度が高くてもサボったりしがち)

ということみたいなんですね。

非生産的な行動を減らすには?

それでは、この研究から非生産的行動を減らすためにどうすればいいのかを考えてみましょう。

まず第一に大切なことは

  • 仕事への満足度を高めること

です。どんな性格の人であっても、仕事への不満があると非生産的な行動へと直結してしまうので注意が必要です。

さらに、対処には難しい面もありますが、

  • 自己中心的な人と、性格が不真面目な人には要注意

ということですね。性格の問題はすぐに治せるものでもないと思うので、これは難しい問題だと思います。例えば、自己中心的な人はうまくチームに溶け込ませたり、性格が不真面目な人にはうまくモチベートしたりしていくとかはできるのかもしれませんね。

まとめ

本稿では「仕事の非生産的な行動を増やしてしまう要因」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 性格以上に仕事満足度が非生産的行動を増やしてしまう
  • 一部の性格は非生産的行動に直結していて、同調性が低いと人に対して非生産になりがち、誠実性が低いと組織に対して非生産になりがち

ということですね。

仕事への満足感が低いと非生産的な行動が増えてしまうということで、やはり仕事への満足感は組織のパフォーマンスを高めていくのにも大切な要因みたいですね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]
*1: RELATIONSHIP OF PERSONALITY TRAITS AND COUNTERPRODUCTIVE WORK BEHAVIORS: THE MEDIATING EFFECTS OF JOB SATISFACTION

Naoto

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