マルチタスクのパフォーマンスを特に下げてしまうタスクの特徴とは?
マルチタスクとは複数のタスクを並列して行うことです。仕事が忙しくなると複数のタスクをこまめに切り替えながら進めなければいけないことも多いと思います。
しかし、残念なことにタスクの切り替えに脳はすぐに対応できるわけではないので、こまめにタスクを切り替えるマルチタスクはパフォーマンスを下げてしまうことが分かっています。特にタスクとタスクの間の時間が短いほどパフォーマンスは悪くなってしまうんですね。
そこで、このマルチタスクのパフォーマンス低下についての面白い研究(*1)があって、この研究ではタスクの種類によってパフォーマンスの低下が変わるのではないかということを調べてくれています。
タスクの種類とマルチタスク
この研究では2つのタスクの種類に注目していて
- 柔軟なタスク
視野を広げて柔軟に考えることや、想像力が発揮されるタスクのこと。
例えば、スプーンに今までにない新しい機能を追加するとしたらどうする?みたいな問題が柔軟なタスクに当たります。 - 集中タスク
狭い視野で深く集中することが必要なタスクのこと。
例えば、ストループテスト(”青”という文字が黄色で描かれていて、文字につられずに黄色と答えることができるか)などの持続的に集中することが必要なタスク。
と風にタスクを分けています。
そして実際に48人の参加者を募って、これらのタスクを切り替えたときにどれだけパフォーマンスが低下するのかを確認したのですね。
その結果がどうだったのかというと
- 柔軟なタスクの場合には、次のタスクへシフトしたときのパフォーマンスの低下が比較的少なかった
- 集中タスクの場合には、次のタスクへシフトしたときのパフォーマaンスの低下が大きかった
ということで、集中タスクはマルチタスクには特に向かないことが分かったんですね。まあ集中タスクの方が深くそのタスクに入り込んでいるわけですから、次のタスクに切り替えるのに時間がかかってしまうということですね。
マルチタスクで気をつけるべきこと
この研究からわかるマルチタスクを実践する上で気をつけるべきことは
- 基本的にはマルチタスクは避けたほうが良い
- 特に集中タスクはできるだけまとめた時間をとって一気に片付けた方が良い
- マルチタスクをしないといけないのならタスクの種類に応じてタスクを実施する順番を変えた方が良い。集中タスク→集中タスクと続けない方が良い。
だと思います。
特に集中力は朝のほうが発揮しやすいので(個人差もありますが)、朝は集中タスクの時間と決めるのも効果的だと思います。人によっては曜日でやる仕事の内容を変えている人もいるようです。例えば、月曜日は製品Aの開発、火曜日は新製品のアイデア出しというように、曜日で分けることで色々なタスクがごちゃごちゃに混ざらなくて済むわけですね。
皆さんもタスクの組み方を変えてパフォーマンスのアップを試してはいかがでしょうか。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1: Deep thinking increases task-set shielding and reduces shifting flexibility in dual-task performance