内発的モチベーションを高めるには自分で選択できることが大切という心理学の研究

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本稿のテーマは「選択とモチベーション」です。

あらかじめ決められたことを行うよりも、選択肢があって自分で選択できる方が嬉しいですよね。

実はこの自分で選択するということは後々の内発的モチベーションにもつながる大切なことのようなんですね。

そこで本稿では、選択と内発的モチベーションの関係について調べてくれたデューク大学の研究(*1)を参考に、内発的モチベーションを高める方法をみていきましょう!

内発的なモチベーションとは

最初に内発的モチベーションとは何かを説明したいと思います。
心理学の研究ではモチベーションは大きく2つに分類がされます。

内発的モチベーション
純粋にその活動自体が好きという気持ちから湧いてくるモチベーション

外発的モチベーション
報酬がもらえるから、あるいは仕事で強制されているからなど、その活動の外にある要因が原因で湧いてくるモチベーション

例えば、仕事の場面で言えば、お金のために働くのが外発的モチベーションで、その仕事が好きだから働くというのが内発的モチベーションです。内発的モチベーションは創造力をあげてくれたり、働きがいや生きがいにつながるなど人生において大切な感情なんですね。

選択とモチベーション

内発的モチベーションが好きな活動から湧いてくるということで、選択肢が与えられずに強制された場合よりも、選択肢が与えられて自分で選んだ活動の方が内発的モチベーションが高まりそうなのはわかりますよね。

しかし、選択にはもう少し複雑な一面もあって、選択は意思力をすり減らす行為でもあり、それによってモチベーションを低下させてしまうこともあるのです。例えば、ケーキとニンジンのどちらを食べるかという選択で、本当はケーキを食べたいけどダイエットのために我慢してニンジンを選んだ場合に、我慢した分だけ意思力が消費されて、その後に頭を使うタスクをやってもらうとパフォーマンスが低下してしまったり、諦めが早くなってしまったりするんですね。

選択は内発的モチベーションを上げてくれるのか?

そこで、選択の良い面と悪い面を総合してみたときに、はたして選択肢を与えることは内発的モチベーションを上げてくれるのか?という問題について調べてくれたのがデューク大学の研究(*1)です。

この研究では選択に関する41件の研究をメタ分析でまとめて、選択と内発的モチベーションの本当の関係を調べてくれています。

さらにこの研究は、内発的モチベーションだけでなく、活動のパフォーマンスや努力、創造力なども選択肢が与えられることで高まるのではないかという分析と、選択のタイプ(選択肢の種類や数など)によって内発的モチベーションを高めやすい選択と、逆にあまり効果のない選択があるのではないかという分析までしてくれているんですね。非常にナイスな研究ですね!

メタ分析の結果

それではこの研究の分析結果として何が分かったのかをみていきましょう!

まず最初に

  • 選択は内発的動機づけを高めてくれる(効果量:0.30)
  • 選択は活動への努力も高めてくれる(効果量:0.22)
  • 選択は活動のパフォーマンスも高めてくれる(効果量:0.36)
  • 選択は有能感も高めてくれる(効果量:0.59)
  • 選択は挑戦力も高めてくれる(効果量:0.71)

ということで、自分で選択できることには基本的に良い効果の方が多いことが分かったんですね。やはり、自分で好きな活動を選択すれば、それだけモチベーションも高まりますし、それが結果としてパフォーマンスだったり、自分で活動をコントロールしているという有能感につながってくるのでしょうね。

さらに、どんな種類の選択が内発的モチベーションを高める効果が大きかったのかというと

  • 活動とあまり関係ないことに関する選択の方が効果が大きかった(効果量:0.59)
  • 選択肢の数は2〜4個が特に効果的だった(効果量:0.61)
  • 選択肢に報酬がない方が効果的だった(効果量:0.35)

ということです。

活動にあまり関係ない選択がどんなものかというと、例えば活動が勉強の場合には、数学を選ぶか国語を選ぶかは活動に深く関係する選択で、青色のペンを使うか黄色のペンを使うかの選択は活動にあまり関係ない選択です。活動に深く関わる選択と違って、あまり関係のない選択は自分の好きで選択できる幅が広く、より個性を出しやすいんですね。なので、そういった選択を加えることで活動自体がより楽しくなって内発的モチベーションが高まりやすいみたいです。

さらに選択肢の数は2〜4個が良いということ。質は選択肢は多すぎてもダメで、選択肢が多すぎると選択に疲れたり、自分がした選択への満足度が下がってしまうというマイナスの効果があるんですね。

3つ目に選択には報酬が絡まない方がよいということで、実は報酬のような外発的モチベーションを高める要因は、内発的モチベーションを損なってしまうということが心理学の研究で確認されています。

最後に、もう一つこの研究でわかったこととして

  • 他の選択肢があるのに選べないという状況は内発的モチベーションを損なってしまった

ということ。選択肢がランダムに決められるならしょうがないと思えても、選択肢を見せつけられた上であからさまに選べないとなると、逆に内発的モチベーションは下がってしまうみたいです。これは現実でも起こりえて、自分でこうしたいと選択しても、上司や先生からダメだと言われたらモチベーションは下がってしまいますよね。

まとめ

本稿では「選択と内発的モチベーション」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 自分で選択することは内発的モチベーションを始め、パフォーマンスや努力、挑戦力まで向上してくれる
  • 良い選択の特徴は、タスクにあまり関係ない個性を活かせる選択、選択肢が2〜4個の選択、報酬が絡まない選択
  • 自分で選択することが拒否されるような状況は内発的モチベーションを下げてしまう

ということです。

この研究を実際に活用するなら、

  • タスクと関係がない部分で個性を出す選択をしてみる!
  • 選択肢は多くしすぎない!
  • 報酬でなく好きという気持ちで選択する!
  • 他人のモチベーションを高めたいなら、細かく指示するのでなく、選択肢を与えて選ばせてあげる!

といったことができると思います。ぜひ意識してみてください!

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1: The Effects of Choice on Intrinsic Motivation and Related Outcomes: A Meta-Analysis of Research Findings

Naoto

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