大きい筋肉が先か、小さい筋肉が先か?筋トレの効果を上げる種目の順番に関する研究

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筋トレには種目によって鍛えられる筋肉に大小があります。

例えば、ベンチプレスは胸筋だけでなく肩や腕の筋肉など広範囲の筋肉を一度に鍛えることができる種目です。一方でペックフライはピンポイントに胸筋が鍛えられる種目で、肩や腕の筋肉の使われる割合は小さくなります。

そこで問題となるのが、筋トレはベンチプレスのように広範囲の筋肉を使う種目から行うべきか、それともペックフライのように一部の筋肉に効かせる種目から行うべきかという「種目の順番の問題」です。

一般的にはベンチプレスのような広範囲を鍛える種目を最初に行って、その後に補助種目としてペックフライのような種目を行うことがオススメされています。

一方で最初にペックフライのような種目で筋肉を疲れさせて、最後にベンチプレスのような広範囲の種目を行う方が、より筋肉が追い込むことができるという考え方もあるんですね。

そこで本稿では「効果的な筋トレの種目の順番は何か?」についての研究を見ていきたいと思います。

筋トレの順番と効果の違い

①筋トレの順番とボリューム

まず最初に大切なことは

  • 後半に行う種目の方がボリューム(回数)は減ってしまう

ということです。後半になるほど筋肉に疲労が溜まってしまうので、回数が減ってしまうということは当たり前ですが、メニューを組む上では大切なことです。


例えば、この効果を筋トレの順番とボリュームを確かめた研究の一つでは、

ベンチプレス → トライセップエクステンション → ショルダープレス
②トライセップエクステンション → ショルダープレス → ベンチプレス

という2つのトレーニング順番でのベンチプレスの回数の比較していて、

  • 最初にベンチプレスを行ったときの平均回数は8.4回
  • 最後にベンチプレスを行ったときの平均回数は6.0回

と、トレーニング順が後になると回数が約28%ほど落ちてしまっています。

②筋トレの順番と神経系の活動

次に「筋肉が疲れていた方が筋肉の神経の活動がより高くなるのでは?」という点を検証してくれた研究を見てみましょう。


まず下半身のトレーニングを対象とした研究で、

①レッグプレスのみ
②レッグエクステンション→レッグプレス

というふうに、レッグプレスのみを行った場合と、レッグエクステンションで疲れさせてからレッグプレスを行った場合の筋肉の活動電位を調べた結果によると

  • 前にレッグエクステンションを行った場合には、レッグプレスの筋肉の活動は弱まってしまった
  • さらに、レッグエクステンションを行った人は、レッグプレスの回数も低下していた。

ということで、小さな筋肉を最初に鍛えてから大きな筋肉を鍛える方法は逆効果となってしまっていますね。


また上半身のトレーニングを対象とした研究では

①ベンチプレス→ペックフライ
②ペックフライ→ベンチプレス

の2つでベンチプレスの筋肉の活動を比較していて

  • 大胸筋や三角筋の前部といった主要な筋肉の活動に違いはなかった
  • 上腕三頭筋のみ最初にペックフライを行った方が筋肉の活動が強かった

ということ。小さな筋肉を最初に鍛えてから大きな筋肉を鍛える方法は、胸筋などの主要な筋肉の活動には効果がないという結果になっていますね。


これらの結果をまとめると

  • 神経系を鍛えたい部位の種目も筋トレの最初の方に持ってきた方が良い

ということが言えると思います。

ベンチプレスの記録を伸ばしたいならベンチプレスを最初に持ってきた方が良いし、弱点の克服などで局所的に鍛えたい筋肉がある場合には、その種目を最初に持ってくればいいということですね。

③筋トレの順番と筋力の向上

最後に筋トレの順番が長期的な筋力の向上にどう影響するのかを調べて研究の結果を見てみましょう。これらの研究では2・3ヶ月にわたって筋トレを続けた場合の筋力の向上を確かめています。

その結果としてわかったことは

  • 最初に行う種目ほど筋力の伸びが高かった
    (ベンチプレスを最初に行った人はベンチプレスの重量の伸びが大きく、ペックフライを最初に行った人はペックフライの重量の伸びが大きかった)
  • 後半に行った種目は筋力の伸びが鈍い、あるい筋力が伸びなかった
    (ベンチプレスを最後に行った人はベンチプレスの重量の伸びがあまりなかった)

ということなんですね。なので

  • 筋力を向上させたい種目は最初に持ってくるべき!

ということですね。

まとめ

本稿では「筋トレの順番」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 最初に行う種目の方が筋トレの効率が良い!
    (回数が多く、神経活動も強く、結果として筋力の伸びも良い)
  • 逆に後半に行う種目は筋トレ効率が悪くなってしまう!
    (回数が落ちる、重量が落ちる、筋力の伸びが悪い)

ということです。

つまりトレーニングの組み方のポイントとしては

  • 基本的には大きな筋肉を鍛える種目を最初に行って、その後で補助種目として部分的な筋肉を鍛えることがオススメ
  • ただし弱点克服などで特に鍛えたい筋肉がある場合には、その筋肉を鍛える種目を最初に持ってくるのもあり
  • 使う筋肉が全く違う種目なら筋トレ効率も低下しないので、1日で色々な部位を分散して鍛えるのもあり

が大切ということですね。

以上、それでは良い筋トレライフを!


[参考文献]

*1: Exercise Order in Resistance Training

Naoto

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