優秀な社員を雇うよりも有害な社員を避ける方が2倍コスパがいいという研究
会社などの組織のパフォーマンスに関する研究は色々とされていて、
- 優秀な社員はどうやって見つければいいのか?
- 優秀な社員はどうやったら作れるのか?
- 優秀な社員に活躍してもらうためにインセンティブはどうすればいいのか?
など、パフォーマンスの高いトッププレイヤーに関する研究は多くあるようです。
しかし、会社には優秀なトッププレイヤーがいる一方で、組織にとってマイナスな行動をとる有害な社員もいます。そうすると、組織のパフォーマンスを上げるためには、トッププレイヤーに活躍してもらうとともに、有害な社員を避けるという、両方の対策が必要になりますよね。
そこで、この有害な社員のことを分析してくれた研究(*1)があって、その研究によると「優秀な社員を雇うよりも、有害な社員を避ける方が2倍コスパが良い!」という面白い結果となっていました。本稿ではこの研究を参考に有害な社員の特徴についてお話ししていきたいと思います。
有害な社員とは
まず有害な社員がどんな社員かというと
「倫理観が欠けていたり、自己中心的だったりして、会社や他の社員に対してマイナスな行動を取る社員」
だとこの研究では定義しています。
もう少し具体的には、
- ペンやパソコンなどの会社の物を盗む
- 他の社員に対して傲慢な態度を取る
- 顧客に対して失礼な態度を取る
- モラルのない行動を取る(セクハラなど)
というふうに、仕事ができない人という意味ではなく、まさに有害な行動をとってしまう人という意味ですね。
有害になりやすい人の3つの特徴
それで、この研究では「どんな人が有害な行動を取りやすいのか」について、50,000人を超えるデータから分析を行って、有害な人の3つの特徴を分析しています。
特徴1:自分に自信がある
自分の能力への自信の高さと有害な行動の関係を調べた結果が次のグラフとなっています。
このグラフは横軸が時間、縦軸が有害な行動の確率で、有害な行動を取る確率が時間とともに変化する様子を描いています。
そして2本の線の意味は
- 赤い線:自分への自信が平均よりも高かった社員の有害な行動の確率
- 青い線:自分への自信が平均よりも低かった社員の有害な行動の確率
となっています。
どの時点においても赤い線が青い線を上回っていることから、
- 自分に自信が高い人の方が有害な行動を取る確率が高い!
ということがわかります。
自分の能力への自信が高いということは、それだけ傲慢になりやすく、有害な行動を取りやすくなってしまうということでしょう。
特徴2:ルールを厳しく守る
こちらのグラフも先ほどと同様に有害な行動の確率を表していて、2つの曲線は
- 赤い線:ルールは必要なら破って良いと考えている社員
- 青い線:ルールは絶対に破ってはいけないと考えている社員
となっています。
この結果では青い線が赤い線を上回っているので
- ルールを絶対に破ってはいけないと考える社員の方が有害な行動が多い!
ということ。
ルールや規則にルーズな人の方が有害な行動を取りやすいイメージがありますが、結果は逆で、ルールに厳しい人ほど有害な行動を取る確率が高いということなんですね。これは意外で面白いですね。
特徴3:自分中心に考える
最後にこちらのグラフは
- 赤い線:自分のことを中心に考える傾向の社員
- 青い線:チームなど他人のことを中心に考える社員
となっていて、この結果から分かるのは
- 自分中心に考える人ほど有害な行動を取る確率が高い!
ということですね。
ちなみに面白いことに、有害な社員のパフォーマンスは他の社員よりも高いということもわかっています。つまり有害な社員には、チームのことは考えずに自分の仕事のパフォーマンスを上げることばかり考える傾向があるということですね。
有害な社員を避けることが大切
それで、この研究では有害な社員を避けることで削減できるお金を算出していて、優秀な社員を雇うことと比較してくれています。
優秀な社員を雇う | 有害な社員を回避する | |
Top25% | 1,951ドル | 12,489ドル |
Top10% | 3,251ドル | 12,489ドル |
Top5% | 3,875ドル | 12,489ドル |
Top1% | 5,303ドル | 12,489ドル |
このグラフから、トップ1%の優秀な社員を雇ったときの効果で比較しても、有害な社員を回避する方が2倍以上コストパフォーマンスがいいということがわかります。
有害な社員は他の社員の有害な行動を増やしてしまう悪い波及効果があったり、有害な社員を解雇することになった場合に高い費用がかかったりするみたいで、有害な社員を避けることは高いコスト効果があるということなんですね。
まとめ
本稿では「有害な社員の特徴と回避したときの効果」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 次の3つの特徴があると有害な行動の確率が高まるので注意!
「自分の能力に自信がある」
「ルールに厳しい」
「自分中心に考える」 - 有害な社員はパフォーマンスは高いが自分勝手な傾向がある!
- 有害な社員がいると他の社員の有害な行動も増えてしまう!
- 有害な社員を避けることの費用対効果は、優秀な社員を雇うことの2倍以上!
ということですね。
有害な行動を増やす3つ特徴を挙げましたが、もちろんこれらの特徴がある人がみんな有害な人というわけではありません。自分が有害な社員にならないためには、自己中心的な働き方にならないように謙虚さや他人への公平性を持つことを意識すれば大丈夫でしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1: Toxic Workers