目標の達成率を高めるためには、優先度も大切だという研究結果
仕事にしろ、勉強にしろ、ダイエットでも、成功するためには目標を決めることが大切ですよね。
それで、効果的な目標の立て方については多くの研究がされていて、例えば、SMARTな目標なんてのを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。簡単に説明すると、SMARTな目標とは次の頭文字を取ったものですね。
Specific: 具体的な目標であること
Measurable: 測定可能で数値で表せること
Achievable: 現実的で達成可能な目標であること
Related: 目標が本来の目的に沿っていること
Time-bound: 期限が決まっていること
しかし、人は同時に複数の目標を持つことが多いので、効果的な目標を立てたとしても、目標同士が邪魔しあってしまうことがあるという問題があります。
例えば、英語の勉強をするという目標と、運動を習慣にするという目標は、どちらも時間を使うので、どちらか一方を実施すると時間や気力が足りなくなってやる気がなくなってしまうということがあり得ますよね。
そこで、本稿のテーマは「一つ一つの目標を効果的に立てているかどうかも大切だけど、優先度をしっかりと決めることも大切だ!」ということを研究(*1)を参考にお話ししていきたいと思います。
目標の対立と優先度
当たり前なことですが、目標を達成しようという意思が強いほど、行動は多くなります。
それで、この研究が調べてくれたのは
- 目標への意思が強くても、他に対立する目標があったら行動は減ってしまうのでは?
- 目標への意思が強くても、その目標の優先度が低かったら行動は減ってしまうのでは?
という2点です。確かに達成したいとは思っていても、他にやることがあってなかなか行動できないことはよくありますよね。
目標の対立と優先度は行動とどう関係するか?
それで、この研究では目標の一つとして健康を選んでいて、237人の学生の運動量を4週間にわたって調査しています。この運動量に目標の対立や優先度がどう影響するのかを分析してくれたわけですね。
その結果として分かったことは
- 目標への意思が強いほど、行動は多くなる (r=0.757)
- 目標の優先度が高いほど、意思と行動の相関は強くなった
- 目標の対立が少ないほど、意思と行動の相関は強くなった
- 目標の対立が少ないほど、目標の優先度も高くなる傾向があった(r=−0.47)
ということ。
つまり、目標への意思が強いほど行動は増えるけど、目標の優先度が低かったり、対立する目標が多いと行動は減ってしまうということですね。
なので、目標を決めるときには、一つの目標だけに注目してしまってはダメで、目標の全体を見て優先度を決めたり、お互いに補間し合うような目標設定をしたりしないといけないということですね。
目標の優先度は簡単に高められるのか?
それで、目標の優先度が大切ということは、優先度を高めればそれだけ行動も増えることが予測できます。この研究ではそれも実験により確かめてくれていて、160人の学生を次の3グループに分けて行動の量に変化が出るのかを分析しています。
- コントロールグループ
目標と全く関係のない「友人について」の文章を書いてもらうグループ - 優先度グループ
「この目標を他の目標よりも優先度を高めること」について文章を書いてもらうグループ - 対立グループ
「この目標と対立する目標への対処」について文章を書いてもらうグループ
これらの3つの文章を書いた後で、行動に変化が出るのかを調べたわけですね。
そして、その結果として分かったことは
- 優先度を高めることについて文章を書いた人は、目標への意思が高まり、行動の量も増えた!
ということなんですね。
なので、事前に他の目標よりもこの目標を優先するということを考えることで、目標の達成率は上げることができるということですね。
まとめ
本稿では「目標達成のためには優先度も大切」というお話をしました。
ポイントをまとめると
- 個々の目標だけでなく、目標全体の対立や優先度を考えることも大切!
- 優先度が高く、対立の少ない目標ほど、実際の行動は多くなって達成しやすい!
- 事前に優先度を考えることで、目標への行動量は増やせる!
ということですね。
目標は優先度が大切ということで、一度にたくさんの目標を追うことはやめて、いくつかの目標に絞り込んだ方が良いのかもしれませんね。あれもやりたい、これもやりたい、と多くの目標を立ててしまう人は、「今月はこれに集中する」といった感じで、選択と集中をすると良いと思います。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1: Impact of Goal Priority and Goal Conflict on the Intention-Health Behavior Relationship: Tests on Physical Activity and Other Health Behaviors