締め切りを過ぎてしまったときにやる気を出すには、忙しさが大切という話
締め切りを守れないことはどうしてもありますよね。
仕事で資料の提出期限を守れなかったり、
学校で宿題が間に合わなかったり、
ダイエットで決めた時間の運動ができなかったり
公式の締め切りに限らず、自分の中で決めた締め切りも含めると、色々と思い当たる節が出てくるのではないでしょうか。
それで、締め切りを過ぎてしまうとそのタスクへのモチベーションが下がってしまうという悪い現象があることが心理学の研究などでわかっています。
締め切りを再設定しては、また守れずに、期限だけがずるずる延びていくなんでことありますよね。
それで、「締め切りを守れなかったときのモチベーションの低下は、その人が忙しいか忙しくないかで効果が変わるのでは?」ということを調べてくれた研究(*1)があって、その結果が面白かったので本稿で紹介していきたいと思います。
締め切りとモチベーション
締め切りを過ぎてしまったときに、モチベーションが下がってしまうのがなぜかというと
- 締め切りを守れなかったという失敗が、自分はそのタスクをこなせるという自信を奪ってしまうから
ということなんですね。
それで、なぜこの研究が忙しさに注目したのかというと
- 忙しい人はバリバリ仕事をこなすので、時間を効率的に使う能力が高く、タスクをこなせる自信も高いはず
- 忙しい人は自分の能力が低くて期限を守れなかったというよりも、他の仕事が忙しくて手が回らなかったという状況的原因が強いので、期限が守れなくても自分の能力を下げて見ないのでは?
ということが理由で、忙しい人は締め切りを過ぎちゃっても、自分ならできるとバリバリとタスクをこなしてくれる可能性があると考えたみたいなんですね。
忙しさはどう影響するのか?
それで、この研究では5つの実験を行なって、締め切りを過ぎてしまったときのモチベーションの変化が、忙しい人と忙しくない人でどう違うのかを分析してくれています。
その中の実験の一つでは、タスク管理アプリを使って集めた28,806人分の586,808個ものタスクのデータを分析してくれていて、データの規模的にはなかなか信頼ができるのではないでしょうか。
忙しい人が締め切りを過ぎるとどうなるのか?
そして、分析の結果としてどのようなことがわかったのかというと、
- 忙しくない人が締め切りを過ぎてしまうと、タスクのモチベーションが下がってしまい、その後のタスクの達成率が下がってしまう
- 忙しい人が締め切りを過ぎてしまうと、逆にタスクのモチベーションが上がり、その後のタスクの達成率が向上する
ということなんですね。
面白いことに忙しい人と忙しくない人で、締め切りを過ぎたときの効果は真逆になっていて、忙しくしている人は、締め切りを過ぎることがモチベーションアップにつながるというんですね。
さらに、タスクの完了にかかる時間を測定してみると
- 忙しい人は、締め切りを過ぎてしまった後では、タスクを完了させるのにかかる時間が短くなっていた
ということ。
モチベーションが上がったおかげか、忙しい人は締め切りを過ぎるとタスクをこなすスピードまで向上しているということなんですね。ただしこの研究ではタスクの成果の質までは見ていないようなので、スピードは上がったけど仕事が雑になっているということはあり得るかもしれません。
なぜ忙しい人はモチベーションが下がらないのか?
それで、忙しい人と忙しくない人の違いがどうして生まれるのかもこの研究では深掘りして分析してくれています。
その結果としてわかったことは
- 忙しい人は、自分は効率的に時間を使うのがうまいと感じていた
- 忙しい人が忙しい原因は予期せぬ出来事が多いからで、忙しい人は締め切りを守れなくても自分のせいにするのでなく、それらの外部的な要因のせいと考えることが多かった
ということ。
つまり、忙しい人が締め切りを守れなかったときに感じるのは、「失敗してしまった」というよりも「仕方がなかった」という感覚が強いのでしょう。さらに自分は時間をうまく使えるという自信も高いので、「締め切りを過ぎてしまったのは仕方ないけど、できるだけ早く片付けなきゃ」とそのタスクへのモチベーションが上がるのだと思います。
まとめ
本稿では「忙しさと締め切りを過ぎてしまったときのモチベーション」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 忙しくない人は、締め切りを過ぎてしまうと、失敗したという感覚からモチベーションを失ってしまう
- 忙しい人は、締め切りを過ぎると、逆にそのタスクへのモチベーションが上がって、タスクをこなすスピードも向上する
- 忙しい人が、モチベーションが下がらないのは、時間を効率的に使える自信があって、締め切りが過ぎたのを自分の失敗と感じにくいから
ということです。
なので、締め切りをずるずると守れないのを防ぐためには、忙しさを出すのがいいということですね。
例えば、どんなことができるのかというと、
- 一つの目標に集中するのではなく複数の目標を持つ
- タスクの単位を細かく分割することで、多くのタスクを効率的にこなしている感じをだす
といったことができると思います。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
* 1 : How Being Busy Can Increase Motivation and Reduce Task Completion Time