仕事の幸福と人生の幸福の波及効果を使って幸福感を高めるには?
ワークライフバランスというように、私たちの人生をざっくりと分割すると、仕事と仕事以外の生活部分に分けることができます。
幸福感の研究でも、
- 仕事における幸福感や働きがい
- 人生を通じた幸福感や生活への満足感
といった感じで、仕事個別の幸福感が論じられることもあれば、生活面の幸福感が論じられることもあります。
しかし、この2つの幸福感は相互に作用するもので、
- 仕事で幸福感が高まると、その影響で生活の幸福感も向上した
- 逆に生活で幸福感が高まると、その影響で仕事の幸福感も向上した
といった感じで、ある分野で感じた幸福感が他の分野へと波及するが考えられます。仕事で良いことがあった日には、家でもニコニコしてるみたいな感じで、十分にあり得る話ですよね。
それで、ハーバード大学の研究(*1)が
- 仕事の幸福感と人生の幸福感は、どのように相互作用しているのか?
を分析してくれていましたので、本稿ではその中身を見ていきましょう。
仕事の幸福感と人生の幸福感
この研究では、954人の従業員を対象に、仕事の幸福感と人生の幸福感の両方の測定を行なっています。この研究の特徴は、”長期的な幸福感の変化”を測定していることで、1年ほど間隔を開けて2回目の幸福感の測定を実施しています。
そうすると、1年間で仕事の幸福感が向上した人が人生の幸福感も向上していたみたいな関係を分析して、仕事の幸福感と人生の幸福感の相互作用を分析できるわけですね。
さらに、この研究では単に幸福感だと意味合いが広すぎるというので、もう少し細かく分割していて
- 仕事/人生の満足感
- 仕事/人生で感じる幸せ
- 仕事/人生でのメンタルの低下
- 仕事/人生での意義感
- 仕事/人生に目的を感じているか
- 仕事/人生の親しい人間関係
の6つについても仕事と人生での相互作用を分析してくれています。
結果①
まず幸福感を一括りにした総合的な結果として分かったことは、
- 仕事の幸福感は人生の幸福感を向上してくれる(0.09)
- 人生の幸福感も仕事の幸福感を向上してくれる(0.14)
ということで、この結果から言えるのは
- 仕事の幸福感と人生の幸福感は両方向に高め合う関係がある
- より影響度が強いのは人生の幸福感が仕事の幸福感を高める効果の方 (0.14 vs 0.09)
ということです。
長期的な幸福感の変化でもやはり幸福感には相互作用があるということですね。どちらかというと人生→仕事への幸福感の波及が強いので、仕事でも生活でも幸福感がたりないという人は、新しい趣味を見つけてみるとか、新しい人間関係を作ってみるとかして、生活面から幸福感を上げていくのが良いのかもしれませんね。
結果②
次に、幸福感をもう少し細かく6つに分けたときに、それぞれどのような相互作用が確認されたのかというと、
- 人生/仕事への満足感は両方向に高め合う効果がある
- 人生/仕事で感じる幸せは両方向に高め合う効果がある
- 人生でのメンタルの低下は仕事でのメンタルの低下を引き起こすが、逆の関係はない
- 人生に意義を感じることは、仕事への意義感も高めてくれるが、逆に関係は無い
- 仕事に目的を感じることは、人生の目的も高めてくれるが、逆の関係はない
- 仕事で親しい人間関係を感じることは、人生の親しい人間関係も高めれくるが、逆の関係はない
ということです。言葉だと長ったらしいので表にまとめると、
人生→仕事 | 仕事→人生 | |
満足感 | ◯ | ◯ |
幸せ | ◯ | ◯ |
メンタル低下 | ◯ | × |
意義感 | ◯ | × |
目的感 | × | ◯ |
親しい人間関係 | × | ◯ |
という幸福感の波及効果があるということです。
これらの結果から言えるのは
- 生活面では、意義ある人生を感じられることすることと、メンタルが低下しないようにメンタルのケアをすることが大切
- 仕事面では、目的のある仕事をすることと、親しい人間関係を築くことが大切
ということですね。
まとめ
本稿では、「仕事の幸福感と人生の幸福感の相互作用」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 仕事の幸福感と人生の幸福感はお互いに高め合う両方向の関係がある
ただし、より影響力が強いのは人生の幸福感が仕事の幸福感を高める効果 - 生活面で大切なのは、人生への意義を感じられることをすることと、メンタルの低下をケアすること
- 仕事面で大切なのは、目的を感じることができる仕事をすることと、親しい人間関係を築くこと
ということですね。
ワークライフバランスということで、仕事の幸福と生活の幸福の相互作用を活かして、うまく相乗効果が得られるようなワークとライフを設計してみると幸福感がもっと高まっていくと思います。
私も自分のラークライフを振り返ってみると、ワーク面では目的の感じない無駄な打ち合わせを減らすようにしたり、ライフ面ではもっと新しい趣味に挑戦して意義を感じることを探してみたりできるのかなと思いました。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]