ネガティブな感情を細かく区別できる人ほど、感情への対処も上手いという研究

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人は生きていればポジティブな気分になることもあれば、ネガティブな気分になることもあります。しかし、ネガティブな気分にも色々な種類があって

  • 人の前で失敗して恥ずかしい
  • 悪口を言われて怒りが湧いている
  • 彼女と別れて寂しい
  • 面接を前にして不安でいっぱい

など、人生山あり谷ありでも、その時々で感情の種類も変わりますよね。

本稿で注目するのは、こうしたネガティブな感情を認知する分解能について。ジョージメイソン大学らの研究では、

  • 自分の中のネガティブな感情を細かく認知できる人ほど、お酒に逃避せずにうまく感情に対処できるのでは?

ということを調べています。

感情の分解能とは?

感情の分解能とは、今の自分が感じている感情が何なのかを細かく区別できる能力のことです。

ジョージメイソン大学では感情の分解能と調べるために

  • 悲しみ
  • 不安
  • 怒り
  • 退屈
  • 気が散る
  • 疲労

の6つのネガティブな感情をどのくらい感じているのかを答えてもらっています。

感情の分解能が高い人は細かく感情を区別できるので、ネガティブな気分の時に6つの中のどれか一つの感情が明確に高くなります。「今自分は怒ってる」とか、「不安になっている」、「悲しんでいる」ということを自分自身で明確に気づけているわけですね。

一方で感情の分解能が低い人は、ネガティブな気分の時に6つの感情の複数が同時に高まっていて、どの感情を感じているのかの区別があまりついていない状態になります。漠然とネガティブな気分になっていて、自分の感情の正体に気づけていないわけです。

実験:感情の分解能とお酒への逃避

ネガティブな感情のときにやってしまう逃避行動の一つが、お酒に逃げることでしょう。もちろん気分転換にパーっと飲むくらいであれば健全な気もしますが、習慣になって毎日お酒がないとやっていけない状態になってしまっては問題です。

そこで、ジョージメイソン大学の研究では、106人を対象に21日間の飲酒量と感情の変化のデータをとって、

  • 感情の分解能が高い人ほど、ネガティブな気分の時に飲酒量が増えにくいのか?

を分析しています。

結果:感情の分解能が飲酒量は減るのか?

早速結果を見てみると、次のグラフのようになっています。

このグラフから分かるのは、

  • 感情の分解能が低い人は、飲酒時にネガティブな感情を強く感じていると、右肩上がりの直線で飲酒量が増えてしまっている(グラフ中の青色の直線)
  • 感情の分解能が高い人は、飲酒時にネガティブな感情を強く感じるほど、右肩下がりに飲酒量が減っている(グラフ中の紫色の点線)

ということ。

つまり、感情の分解能が高い人の方が、ネガティブな気分の時に飲酒量を抑えて、うまく感情を対処できていることが分かるわけですね。感情にうまく対処するには、感情と距離を置いて冷静になることが必要です。感情を細かく認知できる人は、自分の感情を客観的に見つめることがうまいのかもしませんね。

まとめ

本稿では「感情の分解能と逃避行動」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 自分の感情の種類を細かく区別できる人ほど、ネガティブな気分が強い時でも、飲酒量を抑えて感情に上手く対処することができる

ということ。

ネガティブな感情が強く、暴飲暴食をしたり、過度な飲酒をしたりしてしまいそうな時は、冷静に自分の感情を細かく区別してみると良いかもしれませんね。エクスプレッシブ・ライティングと言って、自分の感情をひたすら書き出すことも有効です。今自分はどんな感情を感じているのか?、何に対してその感情を感じているのか?など、具体的に感情を書き出してみると良いでしょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Emotion Differentiation as Resilience Against Excessive Alcohol Use: An Ecological Momentary Assessment in Underage Social Drinkers

Naoto

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