エクスプレッシブ・ライティングは物語で書くと効果が高まる

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エクスプレッシブ・ライティングとは、自分の感情について20分ほど時間をかけて深く書き出すテクニックのこと。自分の感情について時間をかけてとことん書き出すと、頭から離れないネガティブな感情やストレスが軽減されることが分かっているんですね。

しかし、急に20分間も感情を書き出せと言われても、何を書けばいいのか迷ってしまって途中で止まってしまう人もいるかもしれません。また、書き出す中身によっても、エクスプレッシブ・ライティングの効果の大きさも変わってくるかもしれません。

そこで本稿では、

  • エクスプレッシブ・ライティングは物語形式で書くと効果が高まるのか?

について調べてくれた研究を参考に、エクスプレッシブ・ライティングではどんなことを書けばいいのかを学んでいきましょう。

エクスプレッシブ・ライティングで何を書くか?

エクスプレッシブ・ライティングで書く内容については、これまでにもいくつか研究がされていて、

  • 洞察系の言葉
    「〜だと分かった」や「〜のようだ」のような感情への洞察系の言葉を多く含むエクスプレッシブ・ライティングは効果が高かった
  • 原因追求系の言葉
    「なぜなら〜」や「その理由は〜」のような、感情の原因を追求する言葉を多く含むエクスプレッシブ・ライティングは効果が高かった

と、特に効果を高めてくれる書き方があることが分かっています。

エクスプレッシブ・ライティングの物語性

ニューヨーク州立大学の研究では、上記の言葉の他に、書く内容の構成、つまり物語性に注目をしています。物語性の高いエクスプレッシブ・ライティングとは、

  • 出来事が時系列に沿って書かれている
  • いつ、どこで、誰と、なぜ、どのようにといった状況を細かく描写している
  • 出来事を受けた時の自分の感情の変化を描写している
  • その出来事の結末として、何が分かったのかが書かれている

といったポイントが抑えられていることを言います。ネガティブな出来事を、小説の書き手、あるいはドラマのナレーターのように、物語仕立てで書かれているかどうかが見られているわけですね。

最近ではストーリーテリングといって、プレゼンや書籍などでも物語を取り入れて話すと説得力が上がることが分かっています。ニューヨーク州立大学の研究では、ストーリーテリングをエクスプレッシブ・ライティングに応用するという面白い取り組みになっています。

実験:物語で書くと効果が上がるのか?

ニューヨーク州立大学の研究では、実際に物語仕立てのエクスプレッシブ・ライティングの効果を確かめるために、101名を対象に

  • 物語形式でエクスプレッシブ・ライティングを行った場合
  • 形式を問わず自由にエクスプレッシブ・ライティングを行った場合
  • エクスプレッシブ・ライティングを行わなかった場合

の3つのケースを比較しています。

参加者は上記のいずれかのライティングを行った後で、1ヶ月の期間をおいてストレスやうつのスコアが測定されています。

結果1:エクスプレッシブ・ライティングの効果

まず最初にエクスプレッシブ・ライティングを行った2グループの効果として

  • 物語形式でもそうでなくでも、エクスプレッシブ・ライティングを行えば、1ヶ月後のストレスと鬱が低減していた

ということが分かっています。

これまで先行研究と同様に、物語形式でなくともエクスプレッシブ・ライティングにはネガティブな感情を軽減する効果があることが確認されたわけですね。

結果2:物語性で効果が上がるのか?

それでは肝心のエクスプレッシブ・ライティングを物語形式にすることで効果が向上するのかの結果を見てみると、

  • 物語性が高いほど、鬱のスコアがより大きく低減していた
  • 物語性が高いほど、ストレスのスコアより大きく低減していた
  • また、感情が多く表現されているほど、鬱のスコアがより大きく低減していた

という結果になっています。

まさに想定通りの結果で、エクスプレッシブ・ライティングは物語形式にする方が効果が高まっています。物語形式にすると、いつ・どこで・誰と・何があって、自分がどのように感じたのかがうまく整理されます。そのため、事実として起きた出来事と感情の因果関係や、自分の思考や感情の変化についての洞察も得やすいのかもしれませんね。

まとめ

本稿では「エクスプレッシブ・ライティングは物語にすると効果が高まるのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • エクスプレッシブ・ライティングは物語形式で書くと、うつやストレスの軽減効果がより大きくなる

ということ。

エクスプレッシブ・ライティングを行うなら

  • いつ、どこで、誰と、何があったのか、という事実としての出来事を状況を含めて時系列順で書き出す
  • その出来事の中で自分がどのように感じたのかを描写していく
  • その出来事の結論として、何が分かったのかを書く

という物語形式のポイントに沿って書いてみると、書きやすいですし効果も高まって一石二鳥でしょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Does Narrative Writing Instruction Enhance the Benefits of Expressive Writing?

Naoto

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