イノベーションにはやっぱり少数派の意見が大切だという研究
技術やビジネスモデルが次々と変化していく現代では、時代の変化に遅れずに自ら変化を作っていくために、イノベーションを起こす力が重視されるようになりました。GoogleやAmazonなど、最近成功している企業は大きなイノベーションを起こしているものですよね。
それでイノベーションを起こすのには意見の多様性が必要で、特に少数派の奇抜な意見が役に立つことがあります。なので少数派が意見しやすいオープンな風土の組織の方がイノベーションは起こりやすいと考えられるわけです。
そこで、アムステルダム大学らの研究(*1)がこの問題について
- 少数派の意見が多いチームほど、実際にイノベーションが多いのか?
を調べてくれていましたので、本稿ではその中身を見ていきましょう。
少数派の意見とイノベーション
アムステルダム大学らの研究では、2つのフィールドスタディを行っていて、郵便サービスを担当している21チーム(109人)と、様々な業種にわたる28チーム(207人)を対象に調査を行っています。
それで何を調査したのかというと
- 少数派の意見が多いか?
- チームメンバーの議論への参加率が高いか?
- 成果に対するメンバー同士の相互依存の強さはどのくらいか?
- イノベーション(業務の改善や、新しい製品・新しい方法の開発)の多さの上司の評価
などを測定しています。フィールドスタディなので、実験用に新しく作られたチームでなく、実際の仕事で一緒に働いてきたチームで測定しているのがこの研究の特徴の一つですね。
結果:
それで少数派の意見とイノベーションにどのような関係が見つかったのかというと、
- 少数派の意見が多くて、かつメンバーの議論への参加率が高いときに、イノベーションがたくさん起きていた
という結果が得られています。
これをグラフにまとめたのが下のグラフですね。
実線がメンバーの議論への参加率が高いチームの結果で、少数派の意見が増えるとイノベーションが大きく向上しているのがわかります。一方で点線がメンバーの議論への参加率が低いチームで、この場合は少数派の意見が増えても、イノベーションは横ばいになって増えていないことが分かります。
つまり、
- メンバー全員で議論するだけではダメで、少数派の反発意見がなければイノベーションは起きない
- 少数派の反発意見が多いだけでもダメで、それらの少数派が議論に参加できていなければイノベーションは起きない
- イノベーションを生むには、少数派の反発意見を、しっかりとみんなで議論する必要がある
ということなんですね。
なぜ少数派の意見はイノベーションを起こすのか?
少数派の意見がなぜイノベーションを起こすのかについては、2つの可能性が示唆されています。
- ①意見の多様性が向上して議論が深まるから
少数派の意見は多数派とは異なる視点から見た意見が多いので、少数派の意見を議論することで考慮の漏れが減って、より良い判断ができるようになる。
- ②少数派の意見がメンバーのクリエイティビティを上げてくれるから
マインドストーミングで他人の意見に刺激されていいアイデアが出るように、少数派の意見は他のメンバーのクリエイティビティを向上してくれる。
どちらにも共通して言えるのは、少数派の意見をオープンに受け入れて議論することから始まるということです。先の研究結果はこれと同じで、少数派の意見が多くて、かつメンバーの議論への参加率が良いときのみイノベーションは向上したということですね。
まとめ
本稿では「イノベーションには少数派の意見が大切」という話をしました。
ポイントをまとめると
- 少数派の意見が多いだけではイノベーションは起きない
- メンバー同士で議論するだけでもイノベーションは起きない
- 少数派の意見をチームで議論したときにイノベーションは増える
なぜなら
- 多くの少数派の意見を加えて新しい視野を広げることに意味があるから
- 少数派の意見はメンバーのクリエイティビティを刺激してくれるから
ということですね。
考えの多様性が良い判断につながるように、多くの少数派の意見を議論して、たくさんの視点から考えることが大切ということ。奇抜な意見も自分一人で持っているのはもったいなくて、みんなにシェアしてブラッシュアップした方が良い道ですね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Minority Dissent and Team Innovation: The Importance of Participation in Decision Making