カフェインのパフォーマンス向上は長期的にみるとデメリットもあるという研究
カフェインはコーヒーやお茶、コーラ、エナジードリンクなど、多くの飲み物に含まれていて、世界中で好んで飲まれています。
カフェインは脳や体のパフォーマンスを向上してくれる良い効果が知られているため、
- 眠気を抑えたいとき
- 運動の前
- 勉強や仕事中
などの頑張りどころで飲む人も多いでしょう。
しかし、カフェインは短期的はパフォーマンスを向上する効果がある一方で、長期的に飲み続けたときには悪い効果もあるということが分かっています。
カフェインの長期的な効果を調べてくれたマンチェスター大学の研究(*1)では、
- カフェインを普段から大量に飲む人は、カフェインが断たれると一部のパフォーマンスがガクッと低下してしまう
という結果が得られていましたので、本稿ではその中身を見ていきましょう。
カフェインの一晩だけ断つとどうなる?
マンチェスター大学の研究では、369人を対象にして、カフェインを一晩だけ一切飲まないようにしてもらったとき、翌日に感じる眠気や脳・体のパフォーマンスがどう変化するのかを測定しています。
ここで、369人の参加者は普段のカフェインの摂取量で2つのグループに分けられていて、
- 低カフェイングループ
1日に40mg以下しかカフェインを飲まない人たち - 高カフェイングループ
毎日カフェインを40mg以上摂取している人たち
となっています。ちなみにコーヒー1杯でも80mgほどのカフェインが含まれているので、毎日コーヒーを飲む人は高カフェイングループになります。
さらに、カフェイン断ちした場合と、カフェインを再度摂取した場合の効果の違いも測定するために、カフェイン立ちした翌日には
- 再びカフェインを摂取するグループ
翌日のAM11:15とPM12:45にそれぞれ100mg/150mgのカフェインを摂取するグループ - プラセボグループ
カフェインの入っていないプラセボを飲むグループ
の2通りに分けられています。
なので、実験のパターンとしては
- 低カフェインの人が、カフェインを飲まないままのパフォーマンス
- 低カフェインの人が、カフェインを飲んだときのパフォーマンス
- 高カフェインの人が、前日からカフェインを断ち続けたときのパフォーマンス
- 高カフェインの人が、一晩カフェインを断って、翌日に再び摂取したときのパフォーマンス
の4通りの結果が比較されたわけですね。
結果
それで、4つのグループの結果が次のグラフのようになっています。
これらのグラフから分かるのは
- 普段からカフェインを飲む量が多いと、眠気が高まってしまう傾向があった。しかもそのような人がカフェインを断つと特に強い眠気を感じていた。
- 普段からカフェインの摂取量が多い人がカフェインを断つと、脳のパフォーマンスが低下してしまった(反応速度、素早く選択する能力、短期記憶力)
- 普段からカフェインの摂取量が多い人がカフェイン断ちをしても、身体的なパフォーマンスは低下しなかった
- カフェイン断ちの脳のパフォーマンス低下は、再度カフェインを摂取すると元に戻った
ということ。
ちなみにカフェイン断ちによる脳の反応時間の時間変化を見てみると
グラフの○の線のように、カフェイン断ちの時間が長引くにつれ、反応時間も遅くなってしまっているのが分かります。
結果をまとめると、カフェインは短期的には脳の機能をブーストしてくれても、カフェインが切れたときには逆に脳のパフォーマンスは低下してしまうということですね。普段からカフェインの摂取量が多いと眠気も高まってしまうということなので、カフェインを毎日摂取することは長期的な効果まで総合するとデメリットの方が大きいみたいです。
なので、エナジードリンクのような高カフェインの飲み物を毎日飲むのはお勧めできなくて、カフェインはここぞというタイミングでだけ使うのが良いということですね。
まとめ
本稿では「長期的にカフェインを飲み続けることのデメリット」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 普段からカフェインを多く飲む人は、飲んだ直後は脳のパフォーマンスが向上するが、カフェインが切れると時間とともにパフォーマンスが低下してしまう
- 眠気も同じで、普段からカフェインを飲む人は飲んだ直後は眠気は抑えられるが、カフェインが切れたときの眠気はカフェインを多く飲む人ほど高くなってしまう。
- 唯一身体的なパフォーマンスはカフェイン切れの影響では低下はしない
ということですね。
カフェイン断ちをすると最初はパフォーマンスの低下や眠気で辛いですが、2週間我慢すれば体の中のカフェインをリセットできると言われています。なので、既にカフェインを飲んでいて調子があまり上がらないという人は、一度2週間のカフェイン断ちを試してみるのも良いと思います。
[参考文献]