自分に優しくできることは、その人の健康にどう影響するのか?

最終更新日

Comments: 0

自分に優しくなれる力は、セルフ・コンパッションともいって、心理学の世界で研究が進んでいます。セルフ・コンパッションは、悲しいときや失敗したときなど、メンタルが落ち込んでいる時の回復力を高めてくれる効果があることが知られています。失敗したときにはつい自分を責めてしまいがちですが、落ち込んでいる友達を助けるように自分に優しくなれることが、落ち込んだときのメンタルを支えてくれるんですね。

そうなるとセルフ・コンパッションには副次的に様々な効果が期待できて、

  • ストレスが低減されるのではないか
  • 自己コントロールが上手いのではないか
  • 失敗してもめげないので、良い生活習慣を身につけやすいのではないか

といった可能性があります。

そこで本稿では、

  • セルフコンパッションが高い人ほど、健康的な行動が多いのか?

について調べてくれたサザン・ミシシッピ大学の研究(*1)を見てみましょう。

セルフコンパッションの3要素と健康

サザン・ミシシッピ大学の研究の研究では、セルフ・コンパッションの3つの要素と、各種健康に良い行動の頻度の関係を測定しています。

セルフ・コンパッションの3つの良い要素とは

  1. 自分への優しさ
    自分を評価しようとするのでなく、自分に優しさを向けること
  2. 人間全体の視野
    自分だけを孤立してみるのでなく、「人間は誰しも失敗するもの」とか「自分よりももっと辛い人もいるはず」とか、人間全体のつながりのなかで自分を見ることができること
  3. マインドフルネス
    感情のままに自分がコントロールされることなく、客観的に自分の考えや感情に気づくことができること

そして、測定された健康に良い行動とは

  • 健康の責任感
  • 運動
  • 栄養
  • 精神的成長
  • 人間関係
  • ストレス対処

の6面から測定されています。

研究の対象となったのは330人で、これらのデータからセルフ・コンパッションの3要素と健康の6面の相関関係が分析されています。

結果:セルフコンパッションと健康

研究の結果としてわかったことは、

  • 自分への優しさが高い人ほど、健康の6つの行動が全て高かった(r=.505〜.657)
  • 人間全体の視野が高い人ほど、健康の6つの行動が全て高かった(r=.396〜.548)
  • マインドフルネスが高い人ほど、健康の6つの行動が全て高かった(r=.434〜.629)

ということ。

ちなみに、セルフコンパッションの真逆の3つの要素として

  • 自分への評価が高い人ほど、健康の6つの行動が全て低かった
  • 自分孤立の視野が高い人ほど、健康の6つの行動が全て低かった
  • 過剰意識が高い人ほど、健康の6つの行動が全て低かった

という結果も得られています。

つまり結論としては、

  • セルフ・コンパッションが高い人は、運動や食事、ストレス対処など様々な側面で健康に良い行動をしている

ということですね。

まとめ

本稿では「セルフ・コンパッションが高い人ほど健康なのか」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • セルフコンパッションが高い人ほど、健康の6つの側面(健康への責任感、運動、栄養、精神的成長、人間関係、ストレス)の全てが高い傾向がある

ということです。

自分への優しさは落ち込んだ時や失敗した時の回復力を上げてくれます。今回の研究ではセルフ・コンパッションが健康も向上してくれるということで、ストレスや食事などの日常の質全般を向上してくれる可能性もあるのかもしれませんね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Does how you treat yourself affect your health? The relationship between health-promoting behaviors and self-compassion among a community sample

Naoto

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントする