運動を習慣にするには、他人を真似るコピペ戦術が効果的という研究

運動を習慣にするのはなかなか難しい問題です。ジョギングを始めたのに3日と持たずに止めてしまうというような話はあるあるですよね。

それで運動を習慣として定着させる方法については色々と研究がされていますが、その中でも今回注目するのはペンシルバニア大学の研究(*1)です。この研究では

運動を既に習慣にしている人のやり方をコピペして真似ることで、運動は習慣として身につきやすくなるのでは？

という面白い着眼点が実験されているんですね。

本稿ではこの研究を参考に、コピペ戦術はどれだけ効果があるのか？を見ていきましょう。

コピペ戦術は有効か？

この研究では1028人を次の３つのグループに分けて、どの戦術が一番運動時間を増やしてくれるのかを測定しています。

①コピペ戦術
自分の身近にいる人で運動の習慣化に成功している人のやり方を観察・聞き取りしてもらって、その方法を真似して自分の運動方法を決めてもらう

②ノウハウ戦術
運動を習慣化するのに役に立つノウハウを教えられて、そのノウハウをもとに自分の運動方法を決めてもらう

③コントロールグループ
特に予備知識なしで、自分の運動のやり方を決めてもらう。

各グループは自分のグループの戦術に従って運動方法を決めた後、1週間にわたってその運動を実践してもらっています。そしてこれらのプロセスの中で

運動方法を決めるのにどれだけ努力をしたのか？
1週間のトータルの運動量は何時間か？
運動へのモチベーションはどれだけ高まったか？

といった指標が測定されています。

結果：運動量はどれだけ増えたか？

まず最初に、実験の結果として運動量の伸びがどうなったのかというと

ノウハウ戦術の週の平均運動時間は3.64時間で、コントロールグループよりも32.5分ほど長かった
コピペ戦術の週の平均運動時間は4.32時間で、、コントロールグループよりも55.8分ほど長かった

ということ。

運動の習慣化に関するノウハウを教えてもらうよりも、自分で運動が得意な人を探してそれをコピペする方が運動量が増えやすいということで、これは良い結果が出ていますね。

結果2: なぜコピペ戦術は有効なのか？

それでなぜコピペ戦術が有効なのかを、ノウハウ戦術と比較して深掘りして調べた結果を見てみると

コピペ戦術を取った人の方が、運動方法を決めるのにより多くの努力をしていた
コピペ戦術を取った人の方が、運動に対するモチベーションとコミットメントが高まっていた
コピペ戦術の方が、運動を習慣化にしている人との交流が多かった

ということが運動時間の向上に関係している要因として分かっています。

つまり、コピペ戦術が成功しやすいポイントは

①運動方法を自分で探して決めている
運動の方法をノウハウとして与えられた知識で決めるのでなく、自分で時間をかけて他の人の運動方法を調べて決めるという主体性がコピペ戦術にはある。他人に決められるよりも自分で考えて決めた目標の方がモチベーションも上がるので、コピペ戦術ではよりモチベーションが高まり、運動時間も増えた。

②運動の習慣化に成功している人とつながれる
既に運動を習慣にしている人から直接情報がもらえるので、一般的なノウハウなんかよりも、自分の状況にあったリアルで価値のあるアドバイスが得られる。さらに、一緒に運動をする仲間や目標になる人が近くにいることが運動を継続するモチベーションにもなる。

という2点にありそうですね。

この研究では1週間の短期的な効果しか測定されていないので長期的な効果についてはまだ未知数な部分もありますが、コピペ戦術はただ他人の真似をするだけで、特に難しいこともないので、トライしてみる価値は十分にありそうですね。

まとめ

本稿では「運動の習慣化にはコピペが有効」という話をしました。

ポイントをまとめると

ただ運動の習慣化のノウハウを知るよりも、身近で運動を習慣にしている人を真似る方が、運動のモチベーションも運動量も高まる！
運動方法をコピペするのが有効なのは、自分で運動方法を調べて工夫する主体性と、運動が得意な人とのつながりが生まれる点にありそう！

ということですね。

私はYouTubeで筋トレの解説動画などをよく見るのですが、動画を見ているだけでも、「このトレーニングは今度やってみよう」みたいな発見があったり、「自分もトレーニング頑張ろう」みたいなモチベーションの高まりがあったりします。身近な人でもSNS上でも、自分の目標になる人を探してみると良いでしょう。これは運動以外でも大切なことかもしれませんね。

[参考文献]

*1 : Copy-Paste Prompts: A New Nudge to Promote Goal Achievement

カテゴリー:運動