習慣の定着にはどのくらいの時間が必要で、どうすれば早くなるのか?

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食事や運動などの習慣改善は、最初は実行するのに意思力が必要で辛いものですが、続けていくうちにだんだんと自動化されて楽になっていきます。例えば、何十年も続けている歯磨きの習慣では、何の迷いもなく自動的に歯磨きができますし、むしろ歯磨きしないと気が済まないという風にもなりますよね。

そして、この自動化は習慣として定着させるためにはとても大切なポイントで、これはすなわち、「何も考えずにできるまでとにかく回数を繰り返すこと」が習慣化の秘訣でもあるんですね。

そこで、ロンドン大学の研究(*1)が

  • 習慣が自動化して定着するまでにはどのくらいの時間がかかるのか?

について調べてくれていましたので、本稿ではその中身を見ていきましょう。

習慣化と繰り返し回数

ロンドン大学の研究では96名の大学生を対象に、新しい習慣に挑戦してもらう実験を行っています。この実験の特徴としては

  • どんな習慣を身につけるかは参加者の自由
  • 習慣の行動を行うタイミングとなるイベントを決めてもらう
    (例えば、夕食の後とか、朝起きたらすぐとか)
  • 習慣化の行動は毎日自分の決めたタイミングで行う

という感じです。この研究ではより現実世界での習慣化に近づけるために、習慣にすることは自分の好きなものを選んでもらって、行動データの記録以外の余計な介入もしていません。

そして、習慣を行うタイミングを時間でなくイベントで決めることも習慣を定着しやすくするポイントの一つとなっています。夕方4時にジョギングするといったように時間でタイミングを決めると、自分で時間を意識していないと開始のタイミングに気がつけません。しかし、朝食を食べたら10分歩くというようイベントで開始タイミングを決めると、前の行動から自動的に次の行動に移りやすくなるんですね。

結果1:習慣の行動回数と定着度

まず最初の結果として、習慣化の行動回数と定着度の関係のグラフが得られています。定着度とは意識を使わずにどれだけ自動的に行動できているかのことです。

このグラフからわかることは

  • 習慣化の定着度は最初の数回の行動でグッと高まって、次第に一定の水準に収まっていく

ということですね。そして、人によってこのグラフの形が違うのかも検証していて、習慣が全く定着せずに曲線が高まらない人も中にはいたけど、約半数の人は上のグラフのような曲線を描いていたということです。

結果2:習慣の種類と定着度

次に習慣化する行動の種類によって、定着するまでの日数が変わってくるのかを調べて結果を見てみると

  • 食事の改善は65日で95%の定着度になった
  • 水を飲む習慣は59日で95%の定着度になった
  • 運動の習慣は91日で95%の定着度になった

ということ。サラダを増やしたり水を増やすといった食事の習慣は60日前後で定着しているのに対し、より複雑な運動の習慣は91日と1.5倍の日数がかかっています。なので、定着日数には習慣の複雑さも関係してくるようですね。

これらの結果からすると、定着度をより短い期間で高めたいのであれば、繰り返しの頻度を多くした方が良さそうです。例えば、週2回運動するよりも毎日少しづつ運動するの方が、繰り返し回数を稼げるので定着も早くなるでしょう。

結果3:行動に失敗したときの定着度

最後に、行動しなければいけないタイミングなのに、意思力が足りなくてサボってしまったときに、定着度に悪影響があるのかを調べた結果を見てみると

  • 1日くらいの失敗であれば長期的に見れば悪影響はほとんどない

という結論が得られています。

ある程度習慣として定着していれば一回の失敗でぱったりを諦めてしまうことはないということで、これは嬉しい結果ですね。ただし、他の研究結果によると、1週間まるっとサボってしまうと定着度が下がってしまうという結果あるようです。なので、長期連休で習慣が崩れてしまったときなどは注意した方が良さそうですね。

まとめ

本稿では「習慣の繰り返し回数と定着度」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 習慣の定着度は最初の数回でグッと向上して、だんだんと一定の定着度に収まっていく
  • 定着度の向上のスピードは習慣化する内容によっても変わる
  • 1日くらいの失敗は定着度に悪影響はない

ということですね。この研究を習慣化に活かすなら

  • 毎日行うイベントと新しい習慣の行動をくっつけて、できるだけ多くその行動を繰り返すこと

が良さそうですね。

習慣の定着度は最初さえ頑張ればグッと向上して楽になっていくので、特に最初の2~3週間は気合を入れて毎日行動してみましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : How are habits formed: Modelling habit formation in the real worldy

Naoto

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