ユーモアを使った幸福感向上テクニックはどんな人に効果があるのか?
ポジティブ心理学では幸福感を上げる方法が研究されていて、
- 毎日良かったことを3つ日記に書く
- 普段ありがとうを言えてない人に感謝の手紙を書く
- 自分の強みを活かした新しい行動をしてみる
などの方法には、幸福感を向上して、気分の落ち込みをいくらか解消してくれる効果があることが確認されています。これらの方法の中にはユーモアを軸に幸福感を上げるテクニックもあって
- 毎日面白かったことを3つ日記に書く
- これまでにあった一番面白かった出来事を思い出してみる
- ユーモアのある新しい活動をしてみる
といったことも効果があることが確認されています。ユーモアは逆境の中でもポジティブに考える力と関連したりしてとても大切な要素の一つなんですね。
そして、チューリッヒ大学はこのユーモアを軸にした手法について、
- ユーモアを使って幸福感を上げるテクニックは、人によって効果の出方が変わってしまうのではないか?
ということを懸念していて、性格やユーモアの種類といった要因が幸福感の向上効果に影響するのかを調べてくれていました。本稿ではこの研究を参考に、ユーモアを使った幸福感向上テクニックが特に効きやすい人の特徴を見ていきましょう。
①性格とユーモアの幸福向上
まず最初に、この研究では性格がユーモアを使った幸福感の向上にどのように影響するのかを調べてくれています。どのように調べたのかというと、104人を対象に「毎日3つ面白かったことを日記に書く」という幸福感の向上テクニックを実践してもらって、1ヶ月後・3ヶ月後・6ヶ月後の幸福感が性格によってどのように変わるのかを比較しています。
そして、性格としては
- 神経性傾向(ストレスやプレッシャーに弱く感情が揺さぶられやすい傾向)
- 精神病傾向(幻覚などの精神病の傾向)
- 外向性(他の人と積極的にコミュニケーションを取るのが好きな傾向)
の3つが調べられています。
結果
そして、この研究の結果としてわかったことは、
- 外向性が高い人ほど、幸福感が大きく向上し、気分の落ち込みが大きく減少していた
- 逆に外向性が低い人(内向的な人)は、ユーモアのテクニックを使っても、幸福感や気分の落ち込みはあまり改善されなかった
- 神経性傾向と精神病傾向は特に影響はなく、これらの性格の傾向が高くても低くてもユーモアの幸福感向上効果は一定で得られた
ということなんですね。
ユーモアはコミュニケーションの中でも必要になるスキルなので、外向性が高い人はユーモアにより人間関係からもらえるメリットが大きいのかもしれませんね。
内向的な人(自分一人でいるのが好きな人)は残念ながらあまりユーモアの効果はないということですが、ポジティブ心理学にはユーモアを使ったテクニック以外にも色々なテクニックがあるので、自分にあった手法を見つければ良いのではないでしょうか。
②ユーモアの種類と幸福感の向上
続いて、2つ目の実験では632人を対象に、ユーモアの種類が幸福感の向上効果にどのように影響するのかを調べています。実験方法は先ほどとほぼ同じで、「毎日面白かったことを3つ書く」テクニックを実践してもらって、1ヶ月後・3ヶ月後・6ヶ月後の幸福感を測定しています。
このときに参加者のユーモアが診断されていて
- ユーモアの傾向が強い人なのか、真面目な傾向が強い人なのか?
- ポジティブな気分が強いのか、ネガティブな気分が強いのか?
- どのようなタイプのユーモアを持っているのか?
(自分自身を笑うユーモア、ストレスを笑いにかえるユーモアなど)
といったことが測定されています。
結果
そして結果としてわかったことは
- ユーモアのタイプや傾向は、ユーモアを活用する幸福感の向上テクニックの効果には影響しなかった。つまり、どのようなタイプのユーモアでも、幸福感の向上と気分の落ち込みの解消効果が同じように得られた
ということ。
ユーモアのタイプは影響しないということなので、お笑い番組を見るでも、ダジャレを考えるでも、どのようなユーモアでも活用すれば幸福感の向上効果はちゃんと得られるということです。自分の好きなユーモアを活用すればいいので、これは嬉しい結果ですね。
まとめ
本稿では「ユーモアを活用して幸福感を高める方法」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 外向性が高い人はユーモアを活用するテクニックで幸福感が向上しやすい
- 逆に内向的な人はユーモアのテクニックでは幸福感は上がりにくいので他の方法を探した方が良いかも
- ユーモアのタイプは特に影響しないので、自分の好きなユーモアを活用すればOK
ということです。
外向性が高い人ほど効果が高いということで、友達と集まって何かユーモアのあることをやってみるとかも良いかもしれないですね。ハロウィンみたいなユーモアラスなイベントに参加してみるのも良さそうです。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]