マインドフルネスの効果を得やすい性格はあるのか?
マインドフルネスとは過去や未来のことに思考をとらわれずに「今ここ」に集中をすることです。例えば、マインドフルネス瞑想では、瞑想に集中して頭の中の雑念を客観的に受け流してあげますし、有名なマインドフルネスのトレーニング方法には一粒のレーズンに集中してじっくりと味わって食べるというものもあります。
それで、マインドフルネスには集中力や幸福感を高めたり、ストレスを低減する効果があることが知られています。しかし、人は性格によってストレスを感じやすかったり、集中力が維持しやすかったりが変わるので、マインドフルネスの効果にも当然性格による差が出ることが予測されます。
トロムソ大学の研究(*1)がその点について実験をしてくれていたので、本稿ではこの研究を参考に、どんな性格の人がマインドフルネスの効果を得やすいのかを見ていきましょう。
マインドフルネスと性格
トロムソ大学の研究では288人の学生を対象に、半分の人には7週間のマインドフルネスのトレーニングを受けてもらって、もう半分は何もしない比較対象として、マインドフルネスの効果を測定しています。
このときに性格のよるマインドフルネスの効果を調べるために
- 神経性傾向
不安やストレスなどに敏感で、感情が不安定な性格の傾向 - 誠実性
責任感が強くで真面目でコツコツタイプの性格傾向 - 外向性
社交的で明るい性格の傾向
の3つの性格の要素を測定しています。また、トレーニングの前後でのマインドフルネスの効果を調べるために、ベースとなるトレーニング前のマインドフルネスも一緒に調べられています。
結果
それでまず結果として分かったことの一つ目は
- トレーニングを始める前のベースのマインドフルネスの高さは、トレーニングの効果には影響しなかった
ということ。なので、普段から今ここに集中ができている人でも、プラスしてマインドフルネスのトレーニングを実践すれば、ちゃんとトレーニング効果が得られるということですね。
そして、性格による違いの結果を見てみると
- 神経性傾向が強い人(感情が不安定な人)ほど、マインドフルネスのトレーングにより、メンタル面の苦悩がより大きく低下し、幸福感もより大きく高まった
- 誠実性が高い人(真面目でコツコツタイプの人)ほど、マインドフルネスのトレーニングにより、ストレスが大きく低減した
- 外向性はマインドフルネスのトレーニング効果には影響せず、外向性が高くても低くても効果は一定だった
ということ。つまり、マインドフルネスの効果が特に得やすいのは、メンタルが弱めの人と、真面目でストレスを抱え込んでしまっている人ということですね。
最後に、男女の違いを見てみると
- 女性の方が神経性傾向と誠実性が高い傾向があり、マインドフルネスのトレーニング効果も女性の方が高い傾向があった
という結果が得られています。もちろん男性でも神経性傾向と誠実性が高ければ効果は得やすいと思いますが、そのような人は女性の方が多いということです。
まとめ
本稿では「マインドフルネスの効果を得やすい性格」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- メンタルが弱くて感情が不安定な人は、マインドフルネスのトレーニングで、幸福感とメンタル面の改善に大きい効果が得やすい
- 誠実性が高くで真面目な人は、マインドフルネスのトレーニングでストレスが低減されやすい
- これらの性格的に男性よりも女性の方がマインドフルネスの効果が得られやすい
ということですね。
これらの性格の人は特にマインドフルネスが有効ということですが、もちろんこれらの性格に合致しなくても効果が若干下がる程度でマインドフルネスの効果はちゃんと得られます。
自分を振り返ってみて、メンタルが不安定なときやストレスを溜め込みがちなときは、特にマインドフルネスを実践してみると良いでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]