スタンディングデスクにすることで体が落ち着かなくなって集中力が低下しないのか?
座りっぱなしでいるとどうしても体の運動量が少なくなってしまうので、体の健康にとっては悪い効果が多くなってしまいます。そこで、座りっぱなしの時間を少なくすることが大切で、最低でも1時間に1回は立ち上がって体を動かしたり、スタンディングデスクで立ったまま仕事をすることが望ましいと言われています。
しかしスタンディングデスクを取り入れることの懸念として挙がるのが、「立った状態だと体がソワソワと落ち着かなくなって、集中力に影響が低下してしまうのでは?」ということです。
そこで、ウィスコンシン大学の研究(*1)が小学生を対象に
- スタンディングデスクを授業に取り入れることで、落ち着きがなくなって授業への集中力が低下しないか?
を実験してくれていましたので、本稿ではこの研究の中身を見ていきましょう。
スタンディングデスクと体の落ち着き
この研究では、97人の小学生(3〜6年生)を対象に、
- 机をスタンディングデスクに変えた場合
(疲れたときに座れるようにスタンディングデスク用の高い椅子付き) - 机を従来通りで座りっぱなしに場合
の2グループに分けています。ちなみに、なぜ小学生を対象にしたのかというと、もともと子供の頃から座り時間が長い人は、大人になっても座りっぱなしになりやすい傾向があるので、子供のうちから立って過ごす時間を増やすことを目的の一つにしているからです。
そして、スタンディングデスクの実験期間は9週間で、その中で監視員が
- 体がソワソワ落ち着かないような行動をとっていないか?
- 授業から関心が逸れて関係ない行動をとっていないか?
のチェックしています。スタンディングデスクに切り替えたばかりだと、慣れるまでに2〜3週間の時間がかかって、その間はパフォーマンスが低下してしまうことが先行研究で確認されていますが、この研究ではしっかりと9週間の期間をとって効果を測定してくれていますね。
結果:
それで結果がどうなったのかというと、
- スタンディングデスクで、体がソワソワ動くような行動は特に増えなかった
- スタンディングデスクの授業の集中力(授業と関係ない行動をとっていないか?)に対する効果は人によって違って、もともと授業と関係ない行動を多くとっていた人は、スタンディングデスクにすることで、授業への集中力が高まった
ということ。
なので結論としては、スタンディングデスクを授業に取り入れることには基本的にはネガティブな効果はなくて、人によっては若干のプラスの効果もあるという感じですね。
参考:
ちなみに、他の研究結果でも
- スタンディグデスクにすることで学生の成績が向上した
- スタンディングデスクにしても集中力の低下はなく、学習の妨げにはならなかった
- スタンディングデスクにすることで授業への参加態度が向上した
- スタンディングデスクで脳の実行機能やワーキングメモリが改善した
という良い結果が多いようです。その一方でマイナスの結果としては
- スタンディングデスクにすると、全体の3分の1くらいの人は集中するのが難しくなって、注意散漫になってしまった
という結果もあるみたいなので、人によってはスタンディングデスクが合わなかったり、慣れるまでに時間がかかってしまったりするかもしれないですね。
まとめ
本稿では「スタンディングデスクで授業の集中力は落ちないのか」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- スタンディングデスクにしても、体がソワソワ動くような落ち着きのない行動は増えなかった
- スタンディングデスクにすると、もともと授業への関心が低かった生徒は、授業にもっと関心を持った行動をするようになった
- なので、スタンディングデスクは授業にマイナスの効果はほぼゼロで取り入れることができそう
ということですね。
私もかれこれ3年以上前からスタンディングデスクで仕事をしています。私の感覚では、座りっぱなしだと体が凝り固まってしまう感じがするのですが、スタンディングデスクの方が伸び伸びと働ける感じかして好きですね。立っていると眠くなりにくかったりして、集中しやすい感じもしています。
スタンディングデスクは慣れるまでに時間がかかることがあるので続けることも大切です。ずっと立っているのが辛ければ、スタンディングと座りを30分ごとに切り替えるでも十分に健康効果はあるので、できるところから試してみてはいかがでしょうか。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Attentiveness and Fidgeting While Using a Stand-Biased Desk in Elementary School Children