マインドワンダリングの良いとこ悪いとこ

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マインドワンダリングとは、今行っているタスクと関係のないことを頭の中で考えてしまって、集中力が散漫になってしまっている状態のことです。会議中に他のことを考えてしまったりとか、誰でもマインドワンダリングの経験はあるでしょう。特に仕事中のマインドワンダリングはひどいもので、仕事の時間の50%はマインドワンダリングをしてしまっているという研究結果もあるくらいです。

それで、マインドワンダリングは集中力を低下させるわけですから、仕事や勉強のパフォーマンスを落としてしまう悪い効果があります。一方で、マインドマンダリングがこれだけ起きるのにも何らかしらの理由があるはずで、実はマインドワンダリングには良い効果もあることが考えられます。

この点について、カリフォルニア大学の研究(*1)が

  • マインドワンダリングの良い効果と悪い効果

についてまとめてくれていましたので、本稿ではその中身を見ていきましょう。

マインドワンダリングの悪い効果

悪い効果1:パフォーマンスの低下

マインドワンダリングが起きるとタスクへの集中力が途切れてしまうので、タスクのパフォーマンスが落ちてしまうことが第一の悪い効果としてあります。どんなタスクでパフォーマンスが落ちてしまうのかというと

  • 文章の解読タスク
  • ワーキングメモリーを使うタスク
  • 持続的に注意力が必要なタスク
  • 一般的な知能テスト

といった感じで、ざっくりというと頭と集中力を使うタスクのパフォーメンスは低下してしまうということですね。以前の投稿でも書きましたが、文章の解読タスクでは難しい文章ほど文章の理解力が低下してしまうことが分かっています。一方で簡単な文章を読むタスクではマインドワンダリングが起きてもパフォーマンスは低下しなかったので、あまり考えずに自動的にできるタスクならマインドワンダリングは気にしなくても大丈夫そうです。

悪い効果2:気分の低下

人がついついマインドワンダリングをしてしまうのは、実はマインドワンダリングは意外と楽しいからなのでは?という説も考えられます。しかし実際の研究でわかっていることは、

  • 確かに人はマインドワンダリングをするときに、ネガティブな考えよりも、ポジティブな考えを頭に浮かべる傾向がある
  • しかし、人はマインドワンダリングをするほど、幸福感は低くなってしまう

ということなんですね。

まあ、そもそもマインドワンダリングは楽しい状況で起きることはあまりなく、退屈な状況で起きやすことですから、いくらマインドワンダリングで退屈を和らげたとしても幸福感の向上まではいかないということでしょう。

マインドワンダリングの良い効果

良い効果1:未来志向になる

マインドワンダリングで頭に浮かんでくる考えは

  • 自分に関する将来のこと

が多いことが分かっています。今度の休みは何をしようかなとか、真面目な人なら今後のキャリアはどうしようかなとかですね。

マインドワンダリングが起きないということは、今のタスクの集中できているのでそれは良いことですが、それだけだと将来の展望が見えなくなってしまいます。そこでマインドワンダリングが視点を将来の関心事に向けてくれると、うまく将来の計画を立てていけるわけですね。

良い効果2:クリエイティブになる

頭を使うタスクには深い集中力が必要なものもありますが、クリエイティブなアイデアを出すようなタスクでは逆に集中力を分散させた方が良いことが分かっています。例えば、アイデアを考えるときは、ひたすらアイデアを考え続けるよりかは、途中で意図的に休憩して考えない時間を作った方が良いアイデアが浮かぶという研究結果があるんですね。

それで、マインドワンダリング中は集中力が分散して頭の中で色々なことが浮かぶので、それらの考えと新しいアイデアがリンクしてひらめきに変わることが期待できます。良いアイデアがシャワーを浴びているときにふとひらめくように、マインドワンダリング中はクリエイティブなアイデアが浮かびやすくなるということですね。

良い効果3:タスクの切り替えが早くなる

人は一つのタスクに深く集中するほどに、頭が次のタスクへ切り替えるのに時間がかかります。なので、次々とタスクが切り替わる場合には、マインドワンダリングで適度に集中力が分散していた方が、頭の切り替えが早くなってパフォーマンスが向上することが分かっています。

簡単なタスクではマインドワンダリングをしてもパフォーマンスはほとんど落ちないこともわかっています。なので、タスクの切り替えコストを考えると、どんなタスクでもとにかく集中しようとするのはあまり良い考えではありません。集中が必要なタスクと集中力の分散が必要なタスクに分けて、自分の今の集中力にあったタスクを選択するのが良いでしょう。

まとめ

本稿では「マインドワンダリングの良い効果と悪い効果」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • マインドワンダリングの悪い効果は
    「集中力や認知機能の低下」
    「気分・幸福感の低下」
  • マインドワンダリングの良い効果は
    「未来志向になれる」
    「クリエイティビティの向上」
    「タスクの切り替えコストの低下」

ですね。

マインドワンダリングは無意識に起こるものでコントロールが難しい側面もあるので、集中時間とマインドワンダリング時間の波に合わせて、タスクの方をうまくコントロールしてあげると良さそうですね。

ちなみに、マインドワンダリングが多くてなかなか集中できないのが悩みの人は、マインドフルネス瞑想などを試してみると良いと思います。マインドフルネスがマインドワンダリングを減らしてくれることが分かっているんですね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : The Costs and Benefits of Mind-Wandering: A Review

Naoto

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