時間の区切りがモチベーションを上げるとき、下げるとき
新しい時間の区切りはモチベーションを高めてくれます。例えば、新年になると「今年はダイエットを成功させよう」といった決意が湧いてきますよね。これはフレッシュスタート効果といって、新しい時間の始まりは、それまでのだらだらとした自分に区切りをつけてくれるので、心機一転でモチベーションが向上するんですね。
そして、このような時間の区切りにも色々と種類があって
- 時刻のイベント系
月の始め、週の始め、午後の仕事の始めなどの時刻に関する時間の区切り - 人生のイベント系
誕生日や大学入学、結婚した日など人生の節目となる時間の区切り - 社会のイベント系
新しい首相への切り替わりなど社会的な時間の区切り
などがあります。例えば、ジムの入会数を調べた研究では、年の始めや月の始めに入会者が増えていることが分かっていて、新しい時間の区切りでは新しいことを始めようとするモチベーションが高まるが確認されているんですね。
しかし、カリフォルニア大学の研究(*1)では
- 時間の区切りが逆にモチベーションを下げてしまうこともある
という点についてまとめてくれていましたので、本稿ではこの研究を参考に、時間の区切りをうまく活用してモチベーションをコントロールする方法について学んでいきましょう。
時間の区切りとモチベーション
カリフォルニア大学の研究(*1)では、時間の区切りがモチベーションを高めてくれるケースと、逆にモチベーションを下げてしまうケースをまとめてくれていたので、それぞれを見ていきましょう。
時間の区切りでモチベーションが高まるとき
新しい時間の始まりでモチベーションが高まるのは
- 過去の自分が失敗している場合
(新しい時間が過去の自分の失敗を切り離してくれるのでモチベーションが上がる) - 時間の区切りにより周囲の環境が変わる場合
(例えば、引越しをしたら家の近くにジムがあったので、引越し後に運動のモチベーションを維持できるようになったとか) - 将来の成功をイメージできている場合
(新しい時間の区切りがモチベーションを高める要因の一つは、新しい時間の区切りが”将来こうなりたい”といった広い視野の目標に目を向けてくれるから。なので将来の成功をイメージできている人の方がモチベーションが向上する)
ということ。簡単にまとめると「これまでできなかったことを新しく始める場合」に新しい時間の区切りがモチベーションを向上してくれるということですね。
時間の区切りでモチベーションが下がるとき
逆に新しい時間の始まりがモチベーションを下げてしまうのは
- 新しい時間の区切りが先延ばしの原因になっている場合
(今やらないで来月の頭から始めようとか、週末やればいいやみたいな考えをするとダメ) - 時間の区切りによる環境の変化がマイナスに働く場合
(例えば、ジムで運動する習慣ができていたけど、引越しした先では近くにジムがなくなってしまって習慣が崩れてしまったとか) - 過去の自分が成功してきた場合
(例えば、1年間毎日ブログを書き続けてきたけど、1年たった時間の区切りで満足してモチベーションが低下してしまったとか)
ということ。
まとめると「時間の区切りを待っている期間」と、「既に成功していること」に関してはモチベーションが逆に低下してしまう可能性があるということです。時間の区切りは良くも悪くも過去の自分を区切ってしまうということですね。
まとめ
本稿では「時間の区切りでモチベーションが高まるとき、低下するとき」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- これまでできなかったことや未知のことに挑戦する場合には、新しい時間の区切りでモチベーションが高まる
- 将来の時間の区切りに先延ばしをしてしまっている場合や、既に成功していることを継続する場合には、新しい時間の区切りがモチベーションの低下を招いてしまう可能性がある
ということですね。
確かに新しい時間の区切りを先延ばし先にしてしまうのは良くないので、逆に”新しい時間の始まりまでにはこれは終わらせておこう”と、デッドラインに変えてしまえば将来の時間の区切りを有効活用できるのではないでしょうか。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : How experiencing and anticipating temporal landmarks influence motivation