座りすぎや運動不足は、幸福感や仕事の生産性にどう関係するのか?の研究
座りすぎや運動不足は体の健康に悪いのはもちろん、心の健康を低下させてしまうこともあります。運動はストレスを発散してくれたり、ネガティブな気分をリフレッシュしてくれたりして、メンタル面も改善してくれるわけですね。そして、運動は脳にいいこともわかっていて、運動をすることで認知能力が高まる効果もあったりします。
そこで、運動不足と座りすぎの害として
- 運動不足と座りすぎは仕事の生産性や幸福感にどのように関係しているのか?
を調べてくれたのがビック大学の研究(*1)です。本稿ではこの研究を参考に生産性を高める運動量についてみていきましょう。
運動不足・座りすぎの害
ビック大学の研究では、大学のオフィス従業員557人を対象に
- 年齢や性別、BMIなどの人口統計情報
- 週の運動量
- 仕事中に座っている時間
- 休日に座っている時間
- 仕事の生産性
などの22項目のデータを測定しています。
そして週の運動量に応じて、参加者は3つのグループに分けられています。
- 運動量が高いグループ
週の運動量(Mets×分)の合計が3000以上の人
例えば、ジョギングは7Metsなので週に合計430分以上に相当 - 運動量が中のグループ
週の運動量(Mets×分)の合計が600〜3000の人
ジョギングなら週に85分〜430分に相当 - 運動量が低いグループ
週の運動量(Mets×分)の合計が600未満の人
ジョギングなら週に85分以下に相当
結果1:BMIと仕事のパフォーマンス
まず最初にBMIと仕事のパフォーマンスの関係として
- BMIが高い人ほど仕事のパフォーマンスの損失が大きかった
- 具体的には、スケジュールを期日通り達成するのが困難、認知タスクをパフォーマンスが悪い、仕事で他人と交流するのが苦手といった傾向があった
- BMIは幸福感とは特に関係はなかった
ということ。おそらくBMIが高い人は自己コントロールが下手だったりして、それが仕事のパフォーマンスの低下につながってしまっているのでしょう。
結果2:運動量と幸福感
運動量と仕事のパフォーマンスの結果については
- 運動量が高い人は幸福感が高い傾向があった
ということ。まあ、それはそうだろうなという結果なんですが、この関係をグラフで見てみると面白いことになっています。
週の運動がゼロの状態から運動を増やし始めると、最初はグッと幸福感が向上して、だんだんと向上の度合いは落ち着いくことがグラフから読み取れますよね。なので、運動を全くしていないという人は運動を少し習慣化するだけでも、大きな幸福感の向上効果が期待できるということです。
結果3:運動量と仕事のパフォーマンスの損失
次に運動量と仕事のパフォーマンスの損失の結果としては
- 運動量が多くなるほど、仕事のパフォーマンスの損失も少なくなった
ということ。こちらもグラフで見てみると
先ほどとは逆のグラフになっています。これは運動量がゼロから増え始めると、仕事のパフォーマンスの損失が急激に減って、その後はだんだんと落ち着いていくということです。なので幸福感でも仕事でも、運動を少し取り入れるだけで、大きな改善効果が得られるということですね。
結果4:座りすぎと幸福感・仕事のパフォーマンス損失
最後に座っている時間が幸福感や仕事のパフォーマンスにどのように関係していたのかというと
- 運動量が多い人ほど、座り時間は短い傾向があった
- 休日の座り時間が長い人は、幸福感が低い傾向があった
- 休日の座り時間が長い人は、仕事のパフォーマンスも低い傾向があった
- 運動量が高い人は、仕事中の座り時間が長いと幸福感が低下する傾向があった
ということ。つまり、座りすぎは幸福感にも仕事のパフォーマンスにも悪いということですね。特に休日の座り時間も幸福感や仕事のパフォーマンスに影響していることが分かっているので、休日には座りっぱなしでテレビを見るようなことは控えて、できれば運動などをすると良いでしょう。
まとめ
本稿では「運動量と座りすぎが幸福感や仕事のパフォーマンスにどう影響するのか」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 運動量が多い人ほど幸福感も仕事のパフォーマンスも高い傾向がある
- 座り時間が少ないほど幸福感も仕事のパフォーマンスも高い傾向がある
(休日の座り時間も重要) - 幸福感と仕事のパフォーマンスの向上は特に運動量が少ない人が運動を始めたときに大きな効果が得られる
ということですね。
やはり運動は人生を良くしてくれる最も効果のある習慣の一つなのではないでしょうか。運動は少し取り入れるだけでグッと幸福感と仕事の生産性が向上するということなので、運動がゼロという人は自分に好きな運動を少しでも始めてみると良いでしょう。座りすぎも幸福感にも仕事にも悪いということなので、30分に一回は1分歩くなどしてみると良いかもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]