体幹トレーニングで姿勢は改善するのか?の研究
姿勢が悪い状態でPC作業などのデスクワークを続けると、腰が痛くなってしまったり、肩が凝ったりという症状が出てしまいます。また、腰が曲がっていたり猫背だったりすると、見た目としても弱々しく見えるので、姿勢は是非とも改善していきたいところですよね。
それで、なぜ姿勢が悪くなってしまうのかというと、腰や腹筋などの体幹部の筋肉が弱ってしまっていることが根本原因の一つとして考えられています。確かに、デスクワークで座りっぱなしの人に猫背が多いですし、筋トレをしている人は胸を張った綺麗な姿勢をしている人が多いですよね。
そして、逆を言えば体幹の筋肉をしっかりと鍛え直せば、姿勢は改善すると考えられるということで、ポーランドの大学(*1)が
- 体幹トレーニングで姿勢は改善し、呼吸は深くなるのか?
ということを実験してくれていました。本稿ではこの研究を参考に、姿勢と呼吸を根本から改善する方法について学んでいきましょう。
体幹トレーニングと姿勢の改善
この研究では18名の参加者を対象に、週3回の体幹トレーニングを4週間にわたって行っています。トレーニングの内容は
- 仰向けに寝て腹横筋に力を入れる姿勢
- フロントブリッジ
- 足上げバックブリッジ
- 四つん這いで片手を前に伸ばす姿勢
- バランスボールに座った片足上げ
の5種類の姿勢の体幹トレーニングを10秒保持+5秒休憩で3セット繰り返すというものです。
それでトレーニングを開始する前と、4週間のトレーニング後で、
- 姿勢の改善
(首の角度や腰の角度、体幹部の角度などを測定) - 呼吸の改善
(呼吸したときのお腹の動きを専用のベルトで測定して、お腹を使った深い呼吸をしているかを測定)
の2つの項目を測定しています。
結果:姿勢の改善
最初に体幹トレーニングで姿勢にどのような変化があったのかというと、
- 首と腰の角度は特に変わらなかった
- 体の体幹部の姿勢は体幹トレーニングにより改善された
ということ。
つまり、部位によって姿勢が改善したところもあれば、しなかったところもあったということですね。ここで考えなければいけないのは、今回実践した体幹トレーニングは腹筋をメインに体幹部を鍛えるメニューになっていたということです。なので首や腰の姿勢でも、それらを重点的に鍛えるメニューを取り入れれば改善はできるかもしれません。
結果:呼吸の改善
呼吸の改善については、トレーニングの前後で次のようなグラフが得られています。
上がトレーニング前、下がトレーインング後の呼吸時の腹筋の動きになっていて、呼吸に合わせて上下に波打っているのが分かります。そして注目して欲しいのが上下の動きの幅で、トレーニング後には腹筋の動きがより大きくなっていることがわかります。つまり
- 体幹トレーニングにより、腹筋を使ってより深い呼吸ができるようになった
ということですね。姿勢が悪い人は胸だけ使った浅い呼吸になりがちですが、体幹トレーニングでそれが改善されるということです。
まとめ
本稿では「体幹トレーニングで姿勢は改善するのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 体幹トレーニングで姿勢は改善する。ただし、姿勢の改善に必要な部位を鍛えるようにトレーニングの種目は選んだ方が良さそう。
- 体幹トレーニングで呼吸も改善する。体幹トレーニングで腹筋が鍛えられると、お腹を使った深い呼吸ができるようになる。
ということです。
私も筋トレを始めてから、背中が丸まった状態でいることに違和感を感じるようになり、もう少し胸を張ってシャキッとした姿勢が自然だと感じるようになりました。
体幹トレーニングの良いところは、ダンベルやベンチなどの特別な機材が必要なく、難易度も低いので気軽にできるところです。仕事中に座りっぱなしで腰が痛くなってしまう人は、体幹トレーニングで腰を鍛えて姿勢を正してみていかがでしょうか。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : The Impact of Deep Muscle Training on the Quality of Posture and Breathing