マルチタスクで本当に生産性は向上するのか実験

最終更新日

Comments: 0

マルチタスクとは、複数のタスクを同時にこなすことです。例えば、ウェブ会議に参加しながら、手元では書類を作成したりとかですね。それで、マルチタスクが本当に生産性を向上してくれるのかには色々と議論があって、

  • マルチタスクで時間が効率的に使えるので生産性は向上するはず
  • 頭を他のタスクへ切り替えるコストが発生するので、マルチタスクは逆に生産性を下げてしまう

など正反対の意見があります。集中しているときに誰かに話しかけられると、その後で集中力を取り戻すのが大変なように、タスクの切り替えがお互いのタスクの生産性を阻害してしまう危険があるわけですね。

そこで、ニューヨーク市立大学の研究(*1)が

  • マルチタスクで時間的な生産性と、タスクの精度はどのように変わってしまうのか?

を実験してくれていました。本稿ではこの研究を参考に、マルチタスクの注意点について学んでいきましょう。

マルチタスクと生産性・精度

ニューヨーク市立大学の研究では、205人の参加者を対象に次の7つのタスクに取り組んでも立っています。

  1. 数独パズル1(メインタスクで18分ほどかかる難易度)
  2. 数独パズル2(簡単な難易度)
  3. アルファベットを並び替えて単語を作るタスク1
  4. 複数の図形から仲間外れを探すビジュアルタスク1
  5. 複数の図形から仲間外れを探すビジュアルタスク2
  6. 数字の並びの規則性を見つけ出すタスク1
  7. 数字の並びの規則性を見つけ出すタスク2

ちなみにメインの数独パズル以外は数分で終わる簡単なタスクとなっています
さらに、参加者はタスクの実施順で2つのグループに分けられていて、

  • シングルタスクグループ
    頭から順番にタスクを行うグループ。次のタスクに行ったら前のタスクに戻ることはできない。
  • マルチタスクグループ
    7つのタスクを自分の好きなようにいつでも切り替えられるグループ。タスクが途中であっても、一度他のタスクに切り替えて、また元のタスクに戻ることも可能。

となっています。実験の結果として測定されたのは

  • タスクの生産性(完了させるまでの時間)
  • タスクの正確性(タスクの正解率)
  • タスクの切り替え回数

でタスクの切り替えが増えることで生産性や正確性がどのように変化するのかが分析されています。

結果1:マルチタスクと生産性・正確性

マルチタスクグループのタスクの切り替え回数が生産性や正確性にどのように関係していたのかというと、

  • タスクの切り替え回数と生産性のグラフは逆U字型のカーブを描いた。つまり、タスクは適度に切り替えたときに生産性が最も高く、タスクの切り替えが少ないときと多すぎるときには生産性は低下してしまった。
  • 正確性はタスクの切り替え回数が増えるに従って一直線に低下していった

ということ。

なので、マルチタスクの使い所としては

  • マルチタスクで切り替えを多くしすぎるのは絶対にダメ
  • 時間内にこなす仕事量を増やしたいなら適度なマルチタスクは効果的
    (ただし正確性は多少落ちてしまう)
  • タスクを正確にこなすことが必要なら、マルチタスクは避けること

ということですね。今回の実験は自分の意思でタスクを切り替える形式のマルチタスクになっています。実際の仕事では他の人に話しかけられたりなど、外部要因のマルチタスクも発生するので、マルチタスクを行う際にはそういった点も考慮した方が良さそうですね。

結果2:マルチタスクはどんなときにしやすいのか?

この研究ではどんな人がどんな風に切り替えを多くしやすいのかの分析もしていて、その結果を見てみると

  • 切り替えをした人は、時間のかかるメインタスクを中断して、簡単なサブタスクを先に終わらせる傾向があった
  • メインタスクが簡単だと感じた人ほど、メインタスクを中断して他のタスクに切り替える回数が多かった

ということ。なので

  • 短くて簡単なタスク → 優先してすぐに終わらせる
  • 簡単だけど長いタスク → 一度中断して他のタスクの様子を見る
  • 難しくて長いタスク → 集中して時間をかけて行う

というのが、時間内で複数のタスクをこなせと言われたときの、マルチタスクの傾向みたいです。

まとめ

本稿では「マルチタスクは本当に生産性を向上するのか?」についてお話ししました。

今回の研究のポイントをまとめると

  • 適度なマルチタスクは時間的な生産性を向上してくれるが、やりすぎると逆に生産性は低下してしまう
  • 正確性はシングルタスクが一番高く、タスクの切り替えが増えるほど正確性は低下してしまう

ということですね。

今回の研究では数独のようなクイズをタスクとして使用していましたが、マルチタスクの生産性にはタスクの種類も関係してくるのが難しいところです。他の研究では、集中力が必要な難しいタスクではマルチタスクでパフォーマンスが特に低下してしまうという結果も出ています。なので、マルチタスクの1番の使い所としては簡単なタスクを時短で終わらせたいときなのかもしれませんね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Juggling on a high wire: Multitasking effects on performance

Naoto

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントする