朝型と夜型の違いは運動のパフォーマンスにも影響するのか?

最終更新日

Comments: 0

朝早くから集中力が発揮できる人もいれば、朝は苦手だけど夜遅くに作業にどっぷりと集中できる人もいます。この生活のリズムの違いは研究の分野ではクロノタイプと言われるもの。クロノタイプが違うと、1日の中で認知能力(頭のパフォーマンス)が高まる時間が変わることは、研究でもしっかりと確認されているんですね。

今回注目するのは、クロノタイプと運動のパフォーマンスです。朝型・夜型で頭のパフォーマンスがピークになる時間が違うのであれば、体のパフォーマンスがピークになる時間も当然変わってくるのでは?と考えられるわけですね。

本稿では、この問題について調べてくれたJacopo Antonino Vitale博士らの研究(*1)ではどんなことかわかっているのか?を見ていきましょう。

クロノタイプと運動

まずJacopo Antonino Vitale博士の研究がどんなものかというと、クロノタイプと運動の関係について調べた10件の研究結果をレビュー形式でまとめてくれています。

これらの研究では朝型の人夜型の人どちらでもない人の3タイプに分割していて、

  • 朝(7:00など)に運動してもらったとき
  • 夕方(16:00など)に運動してもらったとき

で運動のパフォーマンスが変わるのかを比較しています。運動のパフォーマンスが具体的にどんなものかというと、

  • 運動の辛さや疲労感
  • 運動の記録(レースのタイムなど)

といった感じ。

想定としては、朝型の人は朝に運動したときにパフォーマンスが発揮できて、夜型の人は夕方の方がパフォーマンスが発揮できるというわけですね。

結果1:運動の辛さや疲労感

まず最初に運動の辛さや疲労感に関する実験結果を見てみると、

  • 朝型の自転車競技者に、同じ負荷の運動を朝と夕方の両方で行ってもらうと、夕方の方が運動を辛く感じていた
  • 朝型の水泳選手に200mのタイムトライアルをしてもらうと、最大負荷の運動なので運動の辛さは朝でも夕方でも同じだった。
  • 同様に水泳選手の実験で、朝型の選手は朝の運動前に疲労感が少なくて活力感が高かった。一方で朝型で無い選手は、運動前の疲労感は朝と夕方で変わらず、活力感が夕方の方が高かった
  • 自由なペースのウォーキングの実験では、夜型の人が朝に運動をした場合に、主観的な運動の辛さを高く感じていた

ということ。

これら結果をまとめると

  • 自分のクロノタイプに合わない時間帯に運動をすると、運動への活力は低くなり、運動自体もより辛く感じやすくなってしまう

ということですね。

朝型の人は早くからバリバリ運動ができて、夜型の人はなかなかエンジンがかからない。そんなわけで自分のリズムにあった時間帯に運動を調整すると良いでしょう。

結果2:運動のパフォーマンス

次に運動の記録面でのパフォーマンスの実験結果を見てみると、

  • 水泳の実験では、朝型の人は朝の方が速い記録が出て、夜型の人は夕方の方が速い記録が出た(ただしその関係性は弱め)
  • ボートを漕ぐの競技では、朝型の人は朝に4.8秒速い記録が出た。しかし、朝型の人は他のタイプに比べて、時間帯が合わないときのパフォーマンスの低下も大きかった。
  • 朝型の人が多い南アフリカのマラソン選手と、朝型の少ないオランダのマラソン選手を比べると、南アフリカの選手のみマラソンの記録に時間帯が影響していた

という感じです。

これらの実験結果をまとめると

  • 朝型の人は朝の方が運動のパフォーマンスは向上する
  • 朝型でない人は時間帯による影響はそこまで受けなさそう

と言えます。

夕方になると朝から蓄積した疲労感の影響も受けるので、朝早くから活動している朝型の人は不利なのかもしれません。いずれにせよ、本気で記録を狙いにいくのであれば、起床時間や疲労を競技の時間に合わせてマネジメントすることは大切みたいですね。

まとめ

本稿では「クロノタイプと運動のパフォーマンス」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 朝型・夜型など自分のタイプにあった時間帯に運動した方が、より活力感が高く、運動もより楽に感じる
  • 朝型の人は朝に運動した方がパフォーマンスが向上するが、夜型の人は時間帯による影響はそこまで受けない

ということですね。

趣味で楽しむ運動であれば、楽しく続けることを第一優先で、クロノタイプまでは気にしなくて大丈夫です。運動の記録を伸ばしたいという人は、自分のクロノタイプに合わせてトレーニングの組み方などを工夫してみるといいでしょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Chronotype, Physical Activity, and Sport Performance: A Systematic Review

Naoto

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントする