コンピュータと戦うよりも、人と戦うオンラインゲームの方が楽しいよねという研究
アクションゲームやRPGゲーム、シミュレーションゲームなど、ゲームにも様々な種類があります。その中でも最近伸びているのが、ネットワークを使って他のプレイヤーと戦ったり協力したりできるオンラインゲームです。
私が子供の頃にハマった初代ポケモンでは、通信ケーブルを使って直接ゲーム機を繋いで対戦していました。しかし、最近のポケモンはオンライン対戦に対応していて、家にいながら世界中のプレイヤーと対戦が楽しめるんですね。しかも、対戦のランキングもあり、熱い戦いが繰り広げられていて驚き。
それで、本稿で紹介するのは
- やっぱりゲームはコンピュータを相手にするよりも、他のプレイヤーを相手にした方が面白いよね
というベルン大学らの研究(*1)です。コンピュータ相手とプレイヤー相手で、どのような違いが出るのかを見ていきましょう。
オンラインゲームと没頭感
ベルン大学がオンラインゲームの特徴として注目したのは没頭感です
コンピュータは複雑な動きができないもので、
- ドラクエで街にいる人に何回話しかけても「ラダトームのまちにようこそ」が返ってくるだけ
- コンピュータが操作する敵キャラは攻撃パターンが決まっていて単調
- 一度攻略法が分かると変化がないので簡単に勝ててしまう
といった問題があります。つまり、コンピュータはどこまで行ってもコンピュータで、現実の人とは似ても似つかないもの。そうなると、ゲームの世界に入り込んだり、対戦相手との駆け引きを楽しんだりという没頭感が得られませんよね。
一方で、オンラインで他のプレイヤーを相手にすると
- チャットや通話機能でリアルな会話ができる
- 決まった攻略法がなく、駆け引きを楽しめる
- ランクが上のプレイヤーとの対戦を楽しめて、難易度がうまく調整されている
といったメリットが得られます。ゲームの世界が現実のコミュニティのように感じられますし、同じような力量のプレイヤーとの戦いに没頭ができるわけです。
実験:オンラインゲームは没頭感が高いのか?
ベルン大学の研究ではオンライゲームの効果をきちんと実験で確かめています。
この実験では83人の学生を対象に、
- オンラインのプレイヤーとゲームするグループ
- コンピュータが操作するキャラクターとゲームをするグループ
の2つのグループに分けています。
実施するゲームは、フィールドを探索してルビーを集めるパートと、他のプレイヤーと対戦するパートの2つのパートが用意されています。
そしてオンラインゲームとオフラインゲームの効果の違いとして
- どのくらいゲームの世界に入り込めたか?
- どのくらいフロー状態(集中状態)に入れたか
- どのくらいゲーミが楽しかったか?
を測定しています。
結果:
早速結果を見てみると
オンライン | オフライン | |
世界への没入感 | 2.88 | 2.33 |
フロー(集中状態) | 3.28 | 2.92 |
ゲームの楽しさ | 3.00 | 2.57 |
どの項目もオンラインゲームの方が高いので、
- オンライゲームの方が、ゲームへの没頭感が高くなり、よりゲームを楽しく感じる
と、想定通りの結果が得られていることがわかります。
さらにこれらの3つの要素の関係の分析結果も見てみると、
- フロー状態がゲームの楽しさを高めていた
- 世界への没入感はフロー状態を高めるが、直接ゲームの楽しさは高めていなかった
ということ。
つまり、「世界への没入⇨フロー状態⇨楽しさ」という流れが大切。ゲームの楽しさを高めるためには、ゲームにのめり込むフロー状態をいかに作り出すかが重要なポイントになるわけですね。
まとめ
本稿では「オンラインゲームの楽しさ」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- オンラインゲームでは、ゲーム世界への没入感が高まり、ゲームプレイへの集中状態(フロー)も高まる
- その結果、オンラインゲームはオフラインゲームよりも面白い!
ということです。
このポイントはゲームに限らず、オンライン学習など他のコンテンツにも通じる話かもしれませんね。他の人とオンラインで会話したり対戦したりと、インタラクティブなやりとりがコンテンツの没頭感や楽しさを高めてくれる、そんな可能性を感じます。
[参考文献]