他人の評価プレッシャーは、先延ばしを増やすのか?それとも減らすのか?
皿洗いとか、夏休みの宿題とか、すぐにやった方が絶対にいいのになかなか手が付けられないタスクってありますよね。先延ばしを起こしやすいタスクには、色々と特徴があるもので、
- つまらなくてめんどくさいタスク
- 曖昧でやり方がわからないタスク
- 大きくて手をつけるのが億劫なタスク
- 明確な締め切りのないタスク
などなど、どれも思い当たる節があるのではないでしょうか。特定のポイントにだけ注意すればいいわけではないのが難しいところですが、これらのポイントを理解しておくことは先延ばしを未然に防ぐ上でも重要です。
そして、ユトレヒト大学の研究(*1)では、先延ばしを起こしやすくタスクの特徴して
- 他人から評価されるプレッシャーのあるタスクも先延ばしを起こしやすいのでは?
ということを調べてくれています。
他人の評価が先延ばしを増やすのか?
あなたが学生だとして、どちらの方が先延ばしを起こしやすいでしょうか?
- 普段の授業で出された宿題
- 期末試験の勉強
この2つの違いのポイントとしては、普段の授業の宿題より期末試験の方が成績に影響する度合いがずっと強いので、それだけプレッシャーも大きくなるということです。そうなると、期末試験の準備に関して2通り行動が起こり得て
- 期末試験の勉強はプレッシャーがあるし大変だし、とりあえずゲームでもして気を紛らそうと、先延ばしをしてしまう
- 期末試験が大切なのだからこそ、早めに準備をしていい点を取ろうと、行動のモチベーションにする
と考えられます。
そこで、ユトレヒト大学の研究では
- 他人からの評価があるタスクは、先延ばしを増やしてしまうのか?逆に減らしてくれるのか?
ということを実験しています。
実験:評価の重さで先延ばしは増えるのか?
この実験では136人の学生にエッセイの課題を行ってもらうのですが、
- エッセイの出来を高く評価するクラス
- エッセイの出来を少し評価するクラス
- エッセイの出来を評価しないクラス
の3つに分けて、どれだけ課題の提出が遅れるのかの先延ばしの度合いを測定しています。
さらに、普段の生徒の先延ばしのひどさも測定していて
- 普段から先延ばしが多い生徒
- 普段は先延ばしをそこそこしてしまう生徒
- 普段は先延ばしが少ない生徒
の3段階で元々の生徒の先延ばしの傾向も分析に取り入れています。
他人の評価は無くても、強すぎても先延ばしを増やす
早速結果を見てみると
- 一番先延ばしがひどかったのは、評価が全くなかったクラス
- 次に先延ばしがひどかったのは、エッセイが高く評価されたクラス
- 先延ばしが一番少なかったのが、エッセイが少し評価されたクラス
となっています。
つまり、他人から評価されるプレッシャーは先延ばしを増やしてしまう。しかし、何もプレッシャーが無いのも先延ばしを増やしてしまうということ。適度なプレッシャーであれば評価は先延ばしを減らすのに役に立つわけですね。
普段から先延ばしに強い人は、評価プレッシャーにも強い
次に生徒の普段からの先延ばしの多さを考慮した結果を見てみると
- 評価がない場合には、どの生徒も先延ばしが増えてしまった
- 評価のプレッシャーが弱い場合には、普段から先延ばしが多い生徒のみが先延ばしを少ししてしまった
- 評価のプレッシャーが強い場合には、普段から先延ばしが少ない生徒のみが、先延ばしが少なく済んだ
ということ。
なので、普段から先延ばしが少ない生徒は、評価のプレッシャーが強いタスクでも、先延ばしをあまりせずに早めにタスクをこなしているんですね。しかし、そんな先延ばしが少ない生徒でも、プレッシャーが何もない場合には、課題の提出がギリギリになってしまっています。なので、少しは評価のプレッシャーがあった方が先延ばしを防ぐには良いでしょう。
まとめ
本稿では「他人からの評価は先延ばしを増やしてしまうのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 他人から評価されるプレッシャーが強いと、先延ばしが増えてしまう。
- 他人からの評価が全くない場合にも、先延ばしは増えてしまう。
- つまり、適度な評価プレッシャーが先延ばしを減らしてくれる。
- また、普段から先延ばしが少ない人ほど、評価のプレッシャーが強くても先延ばしが少ない
ということ。
学校で宿題を出すときには、宿題の提出を成績に反映することを軽く生徒に言ったほうが先延ばしは減るでしょう。これは仕事でも同じだと思うので、タスクの評価プレッシャーをうまく設定できると、先延ばしを減らせるのではないでしょうか。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Choking Under Pressure: The Effect of Evaluation Threat on Academic Procrastination Behaviour