仕事のポジティブな出来事・ネガティブな出来事は11個に分類できるという研究
大きな仕事を達成して嬉しいとか、プレゼンを前にして不安だとか、仕事の出来事には感情的な反応が伴うもの。そして、前向きで働きやすい職場風土を作るには、ポジティブな出来事を増やして、ネガティブな出来事を減らすことが大切になります。
しかし、働きがいを感じる瞬間は人それぞれですし、仕事の不満も全員がそれぞれ違う不満を持っているもので、これらの出来事を全てコントロールするのは至難の業。そこで本稿では、
- ポジティブな出来事やネガティブな出来事は11個の分類にまとめることができる
ということを調べてくれたカッセル大学の研究(*1)を見てみましょう。これらのポジティブな出来事・ネガティブな出来事の11個の根本的な柱を押さえておけば、職場の風土改善がもっと考えやすくなるでしょう。
ポジティブな出来事とネガティブな出来事の11分類
カッセル大学の研究では、218人の従業員から、ポジティブな出来事559件とネガティブな出来事383件を聞き出して、それらを11個の分類にまとめています。内訳としてはポジティブが4分類、ネガティブが7分類となっています。
ポジティブな出来事の4分類
- 1. 目標達成、問題解決、タスク成功
プレゼンがうまくいった、技術的な問題を解決した、仕事のデッドラインになんとか間に合ったなど、仕事をうまく達成できたときにポジティブな感情が得られる
- 2. ポジティブ・フィードバック
感謝の言葉をもらったとか、仕事の成果を認めてもらえたなど、ポジティブなフィードバックが得られた時に、受けてはポジティブな感情が高まる
- 3. 交流の中での有能感
リーダーをサポートできた、チームワークよく働けた、有識者に助けを求めて意義あるミーティングができたなど、チームの中で自分がうまく働けていると感じるとポジティブな感情も高まる
- 4. 受け身のポジティブ
給料が上がった、同僚に赤ちゃんが産まれたなど、自分の外部で決まったことがポジティブ感情を引き起こしてくれることもある。
ネガティブな出来事の7分類
- 5. 目標達成と仕事完了の困難
仕事の量が多すぎる、同僚から質問が多すぎて自分の仕事ができない、ミスがあって仕事をやり直さなければいけないなど、仕事を目標通りに完了させるのが難しいときにネガティブな感情は高まる
- 6. コミュニケーションや人間関係の問題
同僚とそりが合わないとか、男女間のコミュニケーション問題など、職場の人間関係に問題があるとやはりネガティブな感情は高まってしまう。
- 7. 装置や機器の技術的な問題
インターネットが繋がらないとか、PCがクラッシュしたとか、仕事で使う機器に技術的な問題があるとネガティブな感情は高まる
- 8. 組織のマネジメント問題
同僚が辞めてしまった、上司の指導が高圧的、このチームはだらだらと無駄な議論ばかりしているなど、所属する組織のマネジメントがうまくいっていないときにネガティブな感情が高まる
- 9. 曖昧さ、不安定さ、コントロール感の欠如
仕事のビジネス戦略が無い、仕事が曖昧で何をすれば良いのかわからない、会社の制度を誰も理解していないなど、目指す方向が分からずに自分で仕事をコントロールできないとネガティブ感情が高まる。
- 10. 健康や私生活の問題
親戚の悪いニュースを聞いた、仕事中に持病に悩まされるなど、プライベートな問題も仕事中のネガティブな感情に関連してくる。
- 11. 客やクライアントとの問題
クライアントが怒っている、クライアントと効率的に話が進められないなど、クライアントが原因で仕事がうまくいかないときもネガティブ感情が高まってしまう。
11分類と感情への影響
11分類の出来事がそれぞれどの感情を高めてしまうのかも調べられていて、その結果が次のようになっています。
熱心 | 安心 | 怒り | 心配 | 疲弊 | |
1.目標達成 | ++ | + | −− | − | − |
2.フィードバック | + | + | − | 0 | − |
3.交流と有能感 | + | + | − | 0 | 0 |
4.受け身ポジティブ | + | 0 | − | 0 | 0 |
5.達成困難 | − | 0 | + | + | 0 |
6.人間関係問題 | − | − | ++ | + | 0 |
7.機器の技術問題 | − | − | + | + | 0 |
8.マネジメント問題 | − | 0 | + | 0 | 0 |
9.仕事の曖昧さ | − | − | + | + | + |
11.プライベート問題 | − | 0 | 0 | 0 | ++ |
12.クライアント問題 | − | 0 | + | 0 | + |
出来事の種類によって、感情への影響もそれぞれ異なることが分かります。目標達成は熱心は++で、怒りは−−と特に高い効果が出ていますので、このポイントは特に外さないほうが良いでしょう。
まとめ
本稿では「仕事のポジティブ感情とネガティブ感情の11分類」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 仕事のポジティブな出来事は主に次の4つに分類できる。
1. 目標達成、問題解決、タスク成功
2. ポジティブ・フィードバック
3. 交流の中での有能感
4. 受け身のポジティブ - 仕事のネガティブな出来事は主に次の7つに分類できる。
5. 目標達成と仕事完了の困難
6. コミュニケーションや人間関係の問題
7. 装置や機器の技術的な問題
8. 組織のマネジメント問題
9. 曖昧さ、不安定さ、コントロール感の欠如
10. 健康や私生活の問題
11. 客やクライアントとの問題 - 各出来事はそれぞれ違う感情に作用するので注意が必要。特に目標達成は熱心さを向上し、仕事中の怒りを減らす効果が強い。
ということです。
自分やチームがどの出来事に影響されているのかを振り返ってみると、改善もしやすいと思いますので、ぜひ考えてみてください。
[参考文献]