社会的なステータスに対する成長マインドセットも幸福感を上げてくれるという研究

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成長マインドセットは「自分の能力は努力すれば高めることができる」という考え方で、キャロル・S・ドゥエック博士が成功する人の特徴を調べてわかった思考方法です。この真逆は固定マインドセットで「環境や生まれ持った才能で能力は決まって、後からはあまり向上できない」というもの。

両者を比較してみると、成長マインドセットをもつ人は

  • 自分の成長や学びを第一のゴールにする
  • 成長のためなら失敗することも恐れずに挑戦するようになる
  • 将来に対して楽観的になる

と、自分の成長を止めずに成功を掴み取りやすい傾向があります。

一方で固定マインドセットを持つ人は

  • 成長よりも短期的な結果を出すことを第一のゴールにする
  • 失敗することを恐れ、自分が確実にできる成果を出すようになる
  • 「自分には向いていない」と諦めがはやくなる

と、成長を自ら止めてしまうことがあります。

そして、成長マインドセットは勉強やスポーツ、楽器、芸術など様々な分野で必要なもの。この点について、中国の研究では

  • 社会的ステータス(役職や年収、学歴など)に対して成長マインドセットを持っている人は、将来的により幸福になるのでは?

ということを調べてくれていましたので、本稿ではその中身を見てみましょう。

社会的ステータスと成長マインドセット

社会的ステータスが低い人は、社会的ステータスが高い人と比べて幸福感が低い傾向があることは過去の研究でわかっています。幸福感にとって社会的ステータスが一番大切というわけではありませんが、自分の年収が他の人より低いと思う劣等感や収入が低いことで起こる生活問題は、やはり幸福感にそれなりの影響を与えてしまうんですね。

そのため、成長マインドセットが大切になって、社会的ステータスに成長マインドセットを持っている人は、「努力すればもっとステータスをあげられる」と考えるので、前向きに努力して社会ステータスの低さに劣等感を感じにくいと考えられるんですね。

そこで、この点について中国の研究が実験していて、

  • 33,600人の幸福感や社会的ステータス、成長マインドセットを測定する
  • 4年後に幸福感が向上しているのかを測定する

という感じで、社会的ステータスへの成長マインドセットを持っている人は、将来幸福感が向上するのかを分析してくれています。

結果:

実験の結果を見てみると、まず最初に

  • やはり、社会的ステータスが低い人ほど幸福感は低い傾向があった
  • 特に主観的に自分はステータスが低いと感じている人は、幸福感が低い傾向があった

ということ。

それでは、この結果に対して成長マインドセットがどう影響するのかを見てみると

  • 社会的ステータスの成長マインドセットが強い人ほど、4年後に幸福感が向上している傾向があった
  • 成長マインドセットは主観的にステータスが低いと思っている人ほど効果が高かった
  • 成長マインドセットは実際のステータスが高い人ほど効果が高かった

ということ。

想定の通り、社会的ステータスを努力次第で向上できるというマインドセットで、将来の幸福感を向上していけるということ。ただし、主観的なステータスの感じ方と、客観的な事実としてのステータスの高さで、その効果は変わっています。

成長マインドセットが主観的なステータスが低い人に効果が高いのは、他人と比較して自分のステータスが低いと感じてしまうタイプの幸福感の低下を防いでくれるからでしょう。一方で、実際のステータスが高い人ほど成長マインドセットの効果が高いのは、ステータスが高い人ほどリソースに余裕があるため、実際に成長の機会を得やすいからではないかということです。

何はともあれ、成長マインドセットは勉強やスポーツだけでなく、社会的なステータスでも良い効果を発揮してくれるようですね。

まとめ

本稿では「社会的ステータスの成長マインドセットと幸福感」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 社会的ステータス(学歴や年収、役職など)を自分の努力で高めていけると感じている人ほど、将来的に幸福感は高まる傾向がある
  • 特に他人と比較して自分のステータスが低いと思ってしまっている人や、実際のステータスが高い人はこの幸福感の高まり効果を得やすい

ということ。

固定マインドセットになって、「この仕事は向いてない」という固定観念を持ってしまうと、成長の機会も失われてしまいます。成長マインドセットで考えて、自分がより成長できるキャリアを選んでいくことが大切なのかもしれませんね。

以上、本稿はここまで。

[ 参考文献]

*1 : Growth mindset of socioeconomic status boosts subjective well-being: A T longitudinal study

Naoto

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