運動をする人は、運動の後でポジティブな出来事が起こりやすいという研究
運動は健康に良いだけでなく、幸福感も高めてくれるもので、
- 運動で人生の満足感が向上した
- 運動でポジティブな感情が増えた
- 運動で自尊心が高まった
- 運動で人生の意義を感じやすくなった
など、運動により幸福に関する様々な指標が向上することが分かっています。
それでは、なぜ運動が幸福感を高めてくれるのかには、様々な説が考えられています。例えば、運動をすることで体が健康を維持できるので幸福感が高まる、運動をするとネガティブな気分をリフレッシュできるので幸福感が高まる、運動をすると脳の機能が高まって自己コントロールが上手くなるから幸福感が高まるなど、色々な経路が考えられるんですね。
これらの経路は、どれか一つの経路が正しいというわけではなく、運動は様々な経路を通じて、様々な幸福の指標を高めているということ。そこで、本稿ではこの経路の一つとして
- 運動をすると、その日や翌日に続けて良い出来事が起こりやすくなるから幸福感が高まるのでは?
ということを調べたジョージ・メイソン大学の研究(*1)を見てみましょう。
運動は次の良い行動へ波及するのか?
ジョージ・メイソン大学の研究では、179人を対象に
- 毎日の運動の活動数
- 毎日の社交的な良い出来事の数
(家族と食事をしたとか、良いコミュニケーションが取れたとか) - 毎日の達成に関する良い出来事の数
(プロジェクトを完了させたとか、目標を達成できたとか)
の日々の変化を21日間にわたって追跡調査しています。
社交的な出来事と達成の出来事はどちらも幸福感を高めてくれる出来事なので、これらのデータから
- 運動をした日に、社交的な出来事や達成の出来事が増えるのか?
- 運動をした翌日に、社交的な出来事や達成の出来事が増えるのか?
を分析して、運動が次の良い出来事へと波及していくのかを調べています。
結果1:運動当日の波及効果
早速結果を見てみると、運動した当日の効果として
- 運動をした日は、社交的な良い出来事が多い傾向があった
- 運動をした日は、達成に関する良い出来事も多い傾向があった
ということ。
つまり、運動をした当日には確かに波及効果があって、運動が次の良い出来事を増やしてくれることが確認されています。運動をすると、気分も改善して自己コントロールもうまくなるので、社交的な行動や目標達成の行動を取りやすくなるのでしょう。
結果2:運動翌日の波及効果
それでは、翌日になるとどうなるのかの結果を見てみると、
- 運動をした翌日は、社交的な良い出来事が多い傾向があった
- 運動をした翌日は、達成に関する良い出来事は特に増えていなかった
ということ。
運動の翌日になると社交的な行動が増える効果のみ残存しています。運動の波及効果はそこまで長く続かないのかもしれませんね。もちろん運動は週2回とかでも大きな効果が得られますが、目標達成を向上したい場合には運動の頻度を上げた方が良いでしょう。毎朝ジョギングするとかの生活習慣が身につけられれば理想的ですね。
結果3:良い出来事が運動を高めるのか?
最後に良い出来事が運動を増やすのか?という逆の関係を調べた結果によると、
- 良い出来事があった翌日でも、特に運動は増えていなかった
ということ。
この結果からわかるのは、良い出来事が起きたから運動しているのでなく、運動するから続けて良い出来事が起きやすいということ。やはり運動は人生を良くしてくれる生活習慣として、最も基本で大切なものなのでしょう。
まとめ
本稿では「運動が次の良い行動を増やす波及効果」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 運動をした当日は、社交的な出来事や達成の出来事が増えるので、幸福感も高まりやすい
- 運動をした翌日になると、達成の出来事は高まらないが、社交的な出来事が高まる効果は残存している
ということ。
運動をすると、気分もリフレッシュしてポジティブになるので、それが次の良い行動へつながるのかもしれませんね。運動は習慣にするのがなかなか難しいですが、運動の後にはきっと良い出来事が続くと思うと頑張れるのではないでしょうか。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]