ブルーライトは日中に浴びれば脳機能を高めることができるのか?
スマホやテレビなどから発せられるブルーライトは、脳を目覚めさせる作用があり、夜に浴びると睡眠の質を下げてしまうことが分かっています。しかし、これを逆に活用すれば、日中にブルーライトを浴びて脳のパフォーマンスを向上することができるかもしれません。
そこで本稿では、
- ブルーライトを浴びることで、寝不足気味の学生の脳機能を高めることができるのか?
を実験してくれたブリガム・アンド・ウイメンズ病院らの研究(*1)を見てみましょう。
ブルーライトと脳の覚醒
ブルーライトの脳の覚醒効果はこれまでにも研究されていて、
- ブルーライトで脳の認知パフォーマンスが向上した
- ブルーライトで注意力が向上した
といったことは既に分かっています。しかし、他の脳機能への効果はまだ研究が少ないこともあり、ブリガム・アンド・ウイメンズ病院らの研究では
- ブルーライトを浴びることで記憶力や学習能力まで向上するのか?
という点を実験により調べてくれています。学生は夜更かしすることが多く、全体的に寝不足気味な人が多いため、ブルーライトで学習能力が向上できれば万々歳なわけですね。
実験:ブルーライトと脳の学習能力
この実験では39人の学生を対象にしてブルーライトと脳機能の関係を測定しています。どのように実験したのかというと
- 睡眠時間は全員7時間で同じにする
- 睡眠の後で日中にブルーライトが豊富な光を浴びるグループと、ブルーライトが少ない光を浴びるグループを作る
- 各グループで記憶力や学習能力を測定する様々なタスクに挑戦してもらい、その結果を比較する
といった感じになっています。
結果:ブルーライトの効果があるものとないもの
実験の結果としてブルーライトの効果が現れたものは、
- ブルーライトを浴びた学生は、眠気が1.5倍ほど少なかった
- ブルーライトを浴びた学生は、加算タスクの精度が5%高かった
(ワーキングメモリと脳の処理速度が向上していた) - ブルーライトを浴びた学生は、手先を使ったタスクの習得速度が3.6倍速かった
ということ。ブルーライトを浴びることで、脳機能は確かに向上していることがわかります。
一方でブルーライトが効果がなかったものとしては
- 注意力を維持するタスクの結果は向上しなかった
- 事実や経験を記憶する陳述記憶は向上しなかった
ということ。ブルーライトは、脳を目覚めさせて全ての脳機能が向上するわけではなく、一部の脳機能には効果があるという感じですね。
いずれにしてもブルーライトがマイナスになることはなかったので、学習効果を上げるのに日中にブルーライトを浴びることは効果ありと言えるでしょう。特に学生のように寝不足で脳機能が低下してしまっている人は、ブルーライトを浴びると良いでしょう。
まとめ
本稿では「日中にブルーライトを浴びれば脳機能を高められるのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- ブルーライトを浴びることで、眠気の低下、ワーキングメモリの向上、脳の処理速度の向上、手作業の習得速度の向上が得られた
ということ。
ブルーライトは脳機能の向上に良いということなので、日中に眠気があるときは日光などのブルーライトを浴びるようにしましょう。夜にブルーライトを浴びると、一時的に脳機能は高められても、睡眠の質が低下して長期的には脳にマイナスになってしまうので、ブルーライトを使う時間帯には注意しましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]