連続で選択すると、同じ選択を選びやすくなってしまうのに注意という研究

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心理学の研究では、良い選択の方法が研究されています。そして、これらの研究の多くでは、参加者に特定の選択肢を与えて選んでもらう形式の実験を行っています。しかし、この手法には一つの問題点があって、それは「本来の生活の中では様々な選択を連続して行うのに対して、実験室の選択では特定の選択だけが切り離されてしまっている」ということなんですね。

そこで、本稿では

  • 前にした選択は、次の選択に影響を与えるのか?

を調べてくれたオーフス大学らの研究を見てみましょう。

連続した選択には慣性が働くのか?

個別にタスクを行うときと、連続してタスクを行うときでは、異なる結果が得られることは選択以外の研究でもよくあることです。例えば、

  • マルチタスクで複数のタスクを切り替えて実施すると、シングルタスクで個別にタスクを行ったときよりもパフォーマンスが低下してしまう
  • 複数の矢印の中からターゲットの矢印の向きを答えるタスクでは、他の矢印の向きもそうだが、前に答えた矢印の向きも回答に影響する

とかが分かっています。

そのため、何かを選択する場合にも、その前に行った選択の内容が影響する可能性は十分にあって、この研究では

  • 選択には慣性が働いて、前に選んだ選択と同じ選択を続けて選びやすくなるのでは?

という仮説を立てています。

実験:選択の慣性はあるのか?

この研究では実験により選択の慣性が起きるのかを確かめています。どのような実験かというと、

  • 20×20マスのフィールドに2つのコインが出現するので、それらを集めるゲームを行う
  • 1つのコインはプレイヤーから近いけど枚数が少ない、もう一つのコインはプレイヤーから遠いけど枚数が多い
  • 1セットを12回として、このコインの選択を合計で約490回行う

という形になっています。要するに、すぐ手に入るけど小さな報酬か、時間がかかるけど大きな報酬の2択を選ぶわけですね。

このときに選択の慣性が発生する条件を調べるために、

  • 選択の間隔は0秒・1秒・2秒の3パターンで行っている
    (選択の慣性は前の選択から時間が空くほど弱くなるのかを分析)
  • 2つのコインの出現タイミングの差を0ms〜200msで調整
    (前に選んだ選択肢と同じ選択の出現を若干遅らせることで、選択の慣性を解消できるのかを分析)

の2つの工夫をしています。

結果①:選択の慣性はあるのか?

まず最初に本当に選択の慣性はあるのかの結果を見てみると、

  • 前に選んだ選択と同じタイプの選択を続けて選びやすい傾向があった
  • この選択の慣性は1セット12回の選択の真ん中で強く、セットの初めや終わりでは弱かった

ということ。

実験の結果から確かに選択の慣性があることが確認されています。選択の慣性は特に中盤で強くなるということで、注意力が低下すると無意識に前と同じ選択を続けやすくなってしまうのかもしれませんね、

結果②:選択の慣性は時間が空くと弱くなるのか?

続いて、選択の間隔を0秒〜2秒で変えた時の結果を見てみると

  • 選択の完成は0秒の場合に最も強く、選択の間隔が長くなるほど弱くなっていった

ということ。

間髪開けずに素早く選択する場合に、前と同じ選択を続けて選びやすくなってしまうようです。冷静に判断したい場合には、一度頭をクールダウンさせてから選択を行うのも有効なようですね。

結果③:選択肢の出現タイミングで選択の慣性は弱くなるのか?

最後に、前と同じ選択肢の出現を0ms〜200msだけ遅らせた時の結果を見てみると

  • 選択肢の遅れが0msの場合には、選択慣性の強さは0.11で一番大きかった
  • 選択肢の遅れが33msの場合には、選択慣性の強さは0.06であった
  • 選択肢の遅れが66msの場合には、選択慣性の強さは0.05であった
  • 選択肢の遅れが100ms/200msの場合には、選択慣性はなくなった

ということ。

前の選択肢と同じ選択がパッと目に入ると、それを選びやすくなってしまうようです。一方で、100msでも前と同じ選択肢の出現が遅れて、先に他の選択肢が目に付くようになると、選択の慣性は解消されるようです。なので、連続して判断をする場合には、あえて他の選択肢にも注意を向けるようにすると良い判断ができるようになるかもしれませんね。

まとめ

本稿では「選択は連続で行うと、前と同じ選択を続けやすくなってしまうのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 人は連続して選択を行うと、前と同じ選択を続けやすい慣性がある
  • 選択の慣性は、選択と選択の時間間隔を長く空けることで弱めることができる
  • 選択の慣性は、前と同じ選択を100msでも遅れて見えるようにするだけでも解消することができる

ということ。

例えばダイエット中に運動を忘れると、気が緩んで食事まで甘くなってしまうこともあるでしょう。選択が間違った方向にいくと。ズルズルとその方向に進んでしまうこともあるので、そんなときは時間間隔を空けたり、あえて良い選択肢に注目してみるなどして、選択の慣性を乗り越えましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : To stay or not to stay: The stability of choice perseveration in value-based decision making

Naoto

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