朝の運動と朝食の組み合わせで、頭の回転が速くなるという研究
頭をしっかりと働かせるには、脳にきちんと栄養を送ることが必要。そのため、朝から頭のパフォーマンスを上げたいときには、朝食をしっかりと食べることが大切です。
そして、頭のパフォーマンスを向上してくれるもう一つのことは”運動”。運動を行うと体に血流が周り、脳や体の機能を高めることができます。そして、特に負荷の高い運動を行うと、脳の中でBDNF(脳由来神経栄養因子)が増えて、脳が成長しやすくなることも分かっています。
そこで本稿では、頭のパフォーマンス向上してくれる朝食と運動に関して、
- 朝に朝食と運動を組み合わせれば、相乗効果で朝一の頭のパフォーマンスがもっと向上できるのでは?
ということを調べてくれたナンヤン工科大学の研究(*1)の研究を見てみましょう。
朝食+運動の効果
ナンヤン工科大学の研究では82人の学生を次の四つのグループに分けて実験を行なっています。
- 朝食無し+運動無し
- 朝食有り+運動無し
- 朝食無し+運動有り
- 朝食有り+運動有り
これらの四つのグループに分けることで、運動+朝食の組み合わせが、運動や朝食の単体の効果と比べて、どれだけ向上するのかが測定できるわけですね。
実験の方法としては、運動有りのグループは9:30〜10:00までの30分で運動を行います。運動の種類はトレッドミルを使った室内ジョギングと、ボールを使ったエクササイズの2種類。負荷的には最大酸素摂取量の60%くらいを狙った程よい負荷の運動になっています。
そして朝食有りのグループは、10:00~10:20で朝食を食べています。朝食の内容はサンドイッチやココアで、低GIの食品が使われています。カロリーとしては382kcalで、PFCバランスは炭水化物52.7g 、脂質12.4g、タンパク質14.3gとなっています。
結果:数学のテストの点数が向上するのか?
運動や朝食の後で、各グループは足し算や引き算、掛け算を素早く解く計算問題のテストを行っています。このテスト結果が次のグラフになっていて、グループによって数学のスコアに差が出ていることが分かります。(グラフは左から両方なし、朝食のみ、運動のみ、朝食+運動)
このグラフから分かることは
- 運動または、朝食は単体でも数学のテストのスコアが同じくらい向上している
- 運動と朝食を組み合わせると、数学のスコアはさらに向上している
ということ。まさに想定通りで、運動と朝食の相乗効果で数学のテストのスコアが大きく向上しています。
結果②:どんなふうにスコアが向上したのか?
この研究では、朝食と運動が数学のスコアを向上したメカニズムを、ストループテストなどの他のタスクを使って、もう少し細かく調査しています。その結果として分かったことは、
- 朝食や運動により、モチベーションが上がっているわけではなかった
- 朝食や運動により、体の目覚めがよくなっているわけでもなかった
- 朝食や運動により、タスクの正確さが向上しているわけでもなかった
- 朝食や運動で向上していたのは、タスクの回答速度であった
ということ。
つまり、朝食と運動を組み合わせると、頭の回転が速くなって計算速度などのレスポンスが良くなっているわけですね。なので、朝一から頭をフル回転させたい人は、朝食と運動を組み合わせて行うと良いということですね。
まとめ
本稿では「朝食と運動の組み合わせで頭の回転が速くなる」というお話をしました。
ポイントをまとめると、
- 朝食と運動は頭のパフォーマンスを向上させる働きがあり、これらは単体でも効果がある
- 朝食と運動を組み合わせると、相乗効果で頭のパフォーマンスはさらに向上する
ということ。
最近では朝食を抜いてしまう人も増えていると聞きますが、朝から頭のパフォーマンスを向上したい人は、しっかりと朝食をとって、運動と組み合わせていきましょう。ダイエットで朝食を抜きたいという人は、運動だけでも行えばダイエット効果とそれなりの頭のパフォーマンスアップの効果が両方得られるので、運動だけでも実践すると良いでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Breakfast and Exercise Improve Academic and Cognitive Performance in Adolescents