「睡眠時間と子供の肥満」「ゲームのやりすぎと睡眠」に関する二つの研究

最近ではスマホを夜遅くまで使ったり、ゲームで夜更かしをしたりで、子供の睡眠不足が問題になるようになりました。睡眠不足になると、勉強に集中ができなくなることはもちろん、自己コントロール能力が低下したり、肥満のリスクが向上したりと、色々と悪い影響があることが知られています。
そこで本稿では
- 夜寝付く時間と睡眠時間のどちらが子供の肥満につながっているのか?
- インターネットやゲームのやりすぎは子供の睡眠やメンタルどう影響しているのか?
の二つの研究を見ていきましょう。
夜寝る時間と睡眠時間が肥満に与える影響
まず最初のベルゲン大学の研究では、
- 睡眠不足が肥満のリスクを高めるのでなく、夜更かしをすることが肥満のリスクにつながっているのでは?
ということを調べています。
この研究では肥満体型の子供85人と通常体型の子供85人を対象に、
- 夜眠りにつく時間
- 合計の睡眠時間
- スマホなどのスクリーンを見る時間
- 運動量
を測定して、肥満の子供と通常の子供の違いがどこにあるのかを分析しています。この測定は7日間連続で行われていて、平日5日間と休日2日間の睡眠パターンの変化の影響も測定がされています。
結果:
早速結果を見てみると、
- 肥満の子どもは夜寝始める時刻が39分遅かった
- 肥満の子どもは朝起きる時刻が33分遅かった
- 肥満の子どもと普通の子どもで、睡眠時間は3〜4分しか違わなかった
- 肥満の子どもと普通の子どもで、平日と休日の睡眠のずれも2分しか違わなかった
ということ。
つまり、睡眠時間が削られていることでなく、夜更かしして寝始める時間が遅れていることが、肥満のリスクを高めていると考えられるわけですね。それでは、なぜ夜更かしが肥満につながるのかをもう少し細かく見てみると
- 夜更かしをする子どもほど、スマホなどのスクリーンを見ている時間が長かった(0.458)
- 夜更かしをする子どもほど、運動量が少なかった(−0.536)
となっています。つまり、夜更かしをする子どもほど、スマホやゲームなどの時間が長くなって、運動量が少ないという生活習慣の違いが肥満のリスクを高めている可能性があるわけですね。
インターネットやゲームのやりすぎと睡眠
続いての研究は
- インターネットとゲームのやりすぎが、子供の睡眠の質やメンタルにどう影響するのか?
を調べた中国の研究になります。
この研究では1040人の学生を対象に、
- 問題となるインターネットの使用
- 問題となるゲームの使用
- 睡眠の質
- メンタルの問題(不安やうつなど)
を測定していて、これらの関係性を分析しています。
結果:
分析の結果を見てみると、
- 問題となるインターネットの使用は、睡眠の質を低下させていた(r=0.32)
- 問題となるインターネットの使用は、メンタルの問題を向上していた(r=0.46)
- 問題となるゲームの使用は、睡眠の質を低下させていた(r=0.22)
- 問題となるゲームの使用は、メンタルの問題を向上していた(r=0.46)
ということ。やはりインターネットやゲームのやりすぎは睡眠の質とメンタルを低下させてしまうという結果になっています。
ちなみに、
- インターネットのやりすぎでメンタルを低下するのは、23.5%が睡眠の質の低下が原因だった
- ゲームのやりすぎでメンタルを低下するのは、17.9%が睡眠の質の低下が原因だった
ということ。インターネットやゲームのやりすぎは、メンタルを直接低下させるだけでなく、睡眠の質の低下を介しても一部作用しているということですね。
まとめ
本稿では「子供の睡眠と肥満・ゲームのやりすぎ」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 睡眠時間が短くなることよりも、夜更かしして寝始める時間が遅れる方が肥満のリスクを向上してしまう
- ゲームやインターネットのやりすぎは、子供の睡眠の質とメンタルを低下してしまう
ということ。
早寝早起きは健康の基本ということで、夜更かしして睡眠のリズムを崩さないように気をつけましょう。私もNetflixにハマって夜更かししてしまうのには注意しなければいけませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Beyond sleep duration: Sleep timing as a risk factor for childhood obesity