野菜とフルーツをよく食べる人は、テロメアが長いのか?の研究
野菜やフルーツはビタミンなどの栄養が豊富で、健康に良いことは間違いありません。
そこで、本稿で注目するのは、野菜やフルーツをたくさん食べると、老化を遅らせることができるのか?という点。この疑問点について、ブリガム・ヤング大学の研究では
- 野菜やフルーツの摂取量で、テロメアの長さが変わるのか?
という観点で分析をしていますので、一体野菜とフルーツがどのくらい体を若くしてくれるのか、その実力を見ていきましょう!
テロメアと老化の仕組み
テロメアとは、細胞の中にある染色体DNAの両端部分のことで、DNAがほつれないように両端を保護している役目があります。テロメアは細胞が分裂すつたびに徐々に短くになっていくことがわかっていて、テロメアが尽きてしまうとそれ以上の細胞分裂ができなくなってしまいます。要するに、テロメアの長い細胞は若々しい細胞で、テロメアの短い細胞は年老いた細胞というわけですね。
テロメアと老化の関係は色々と研究がされていて、
- 高齢になるほど、確かにテロメアは短くなっている
- テロメアが短くなるほど、がんなどの病気のリスクが高まる
- タバコなどの健康に悪い生活習慣でテロメアが短くなってしまう
などが分かっています。
そして、老化とともにテロメアが短くなるということは、逆を言えば、テロメアの長さを測れば老化の進行具合がわかるということ。つまり、テロメアは老化の進行具体のメーターとなっているわけですね。
野菜とフルーツとテロメアの長さ
ブリガム・ヤング大学の研究では、食事とテロメアの関係として
- 野菜とフルーツをよく食べる人ほど、テロメアが長く、若々しい体を保てているのか?
ということを分析しています。
この研究ではアメリカのランダムに選ばれた5448人を対象に、野菜とフルーツの摂取量と、テロメアの長さを測定したんですね。そして、野菜といっても幅が広いので
- 豆類
- ジャガイモ
の2つは野菜に含んで良いのか微妙なラインとして、個別にテロメアへの影響が分析されています。
結果:野菜とフルーツはテロメアは長く保つのか?
早速結果を見てみると、まず加齢によるテロメアの変化として
- 年齢が1歳増えるごとに、テロメアの長さは14.9対ほど短くなっていた
ということ。この研究のデータでも確かにテロメアは年齢とともに徐々に短くなっています。
次に、野菜とフルーツの摂取量とテロメアの長さの関係を見てみると、
- 野菜とフルーツの摂取量が上位25%の人は、下位25%の人よりも、テロメアが66.9対ほど長い傾向があった
- 年齢に換算すると、野菜とフルーツを食べる人は4.4年分だけ体が若いという計算になる
ということ。野菜やフルーツをよく食べる人は、実年齢が40歳だとしても、35歳くらいの体を保つことができているわけですね。
結果2:豆類とジャガイモ
続いて、豆類とジャガイモとテロメアの関係をそれぞれ個別に分析した結果を見てみると、
- 豆類の摂取量が増えても、テロメアは特に長くなっていなかった
- ジャガイモの摂取量が増えても、テロメアは特に長くなっていなかった
ということ。
豆類やジャガイモでテロメアが短くなるわけではないので、老化に悪いわけではありませんが、別に老化を遅らせてくれる効果もないみたいです。なので、テロメアを長く保ちたければ、ほうれん草とかブロッコリーとかの野菜を食べるようにしましょう。
ちなみに、野菜とフルーツを個別に分析した結果を見ると、
- 1000kcalあたりの野菜の摂取量が多い人は、テロメアが71.4対ほど長かった
- 1000kaclあたりのフルーツの摂取量が多い人は、テロメアが74.9対ほど長かった
ということで、野菜とフルーツはそれぞれ個別でも効果を発揮しています。
まとめ
本稿では「野菜とフルーツを食べると、テロメアが長く保てるのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 野菜とフルーツの摂取量が多い人は、テロメアが4.4年分だけ若い体を保っている
- ただし、豆類とジャガイモはテロメアの長さには関係なかった
ということ。
野菜やフルーツが老化を防いでくれるということで、若々しい体をキープしたい人は食事には気をつけましょう。ただ寿命が4.4年伸びるわけでなく、生きている間ずっと4.4歳若い健康的な体でいられると考えると、その効果のありがたみも実感しやすいのではないでしょうか。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Fruit and Vegetable Intake and Telomere Length in a Random Sample of 5448 U.S. Adults
[おすすめの関連書籍]