アイデアはどうやって評価すれば、質の高い提案ができるのか?
最近では世の中の変化も激しく、イノーベーションを起こすためのクリエイティビティが大切だと言われるようになりました。ブレインストーミングなどで、新しいアイデアを考える機会も増えているのではないでしょうか。
ブレインストーミング自体は馬鹿げたアイデアでもどんどん出して良いので、楽しいものでしょう。しかし、この後で難しいのはアイデアをどう提案につなげるのか。たくさんアイデアが出せたとしても、実際にどのアイデアが成功するのかを見極めるのが難しいわけですね。
そこで本稿では、
- アイデアの将来の成功や失敗をどのように評価すれば、より質の高い提案になるのか?
について実験してくれたオクラホマ大学の研究を見ていきましょう。
アイデアの予測と提案の質
オクラホマ大学の研究では、275名の参加者を集めて、新しいレストランのアイデア出しを行っています。各参加者は8つのアイデアを出して、最終的にはそれらのアイデアを評価して一つの新規事業の提案としてまとめます。この時にアイデアの評価の仕方として「評価のタイミング」と「評価の着目点」の2つのポイントでグループ分けをしています。
まず評価のタイミングとしては
- そのつど評価グループ
アイデアを出しながら、同時にアイデアの評価も行うグループ
1つアイデアを出すたびに、その都度そのアイデアの評価を行う。
- まとめて評価グループ
最初にアイデアを全て出し切って、その後にまとめてアイデアの評価を行うグループ
の2つのパターンを用意しています。
そして、評価の着眼点としては、
- ポジティブ着眼グループ
アイデアが将来うまく行って成功する場合に着眼してアイデアの評価を行う
- ネガティブ着眼グループ
アイデアが将来うまくいかなくて失敗するリスクに着眼してアイデアの評価を行う
- ポジティブ+ネガティブ着眼グループ
アイデアが成功する場合と失敗する場合の両方を考えてアイデアの評価を行う
の3つのパターンが用意されています。
参加者は自分のアイデアを評価して、最終提案を出した後で、
- どれだけ深くアイデアを評価できていたか?
- どれだけ多面的にアイデアを評価できていたか?
- 最終提案の質はどれだけ高かったか?
などが分析されています。
結果:評価のタイミングと提案の質
まず最初に評価のタイミングによる結果の違いを見てみると、
- まとめてアイデアを評価するよりも、そのつどアイデアを評価した場合の方が、より深くアイデアを評価し、さらに多面的にアイデアを評価できていた
- 多面的で質の高いアイデアの評価は、最終提案の質、オリジナリティ、明快さを向上していた
ということ。
なので、評価のタイミングとしては、アイデアを出しながら、その都度そのアイデアが成功するか失敗するかを評価した方が良いということです。アイデアを評価するなかで、新しい気づきやインスピレーションが得られるので、それが次のアイデアの質を向上してくれるのかもしれませんね。
結果2:評価の着眼点と提案の質
次にポジティブに注目するかネガティブに注目するかの着眼点の違いの効果を見てみると、
- アイデアのポジティブな面とネガティブな面の両方に注目したグループは、アイデアをより多面的に評価し、評価の深さもより深くなっていた
- 多面的で質の高いアイデアの評価は、最終提案の質、オリジナリティ、明快さを向上していた
ということ。
アイデアは良い面ばかり見ても、悪い面ばかり見てもダメで、両面をしっかりと評価することが大切みたいです。良いアイデアが浮かぶと、ついポジティブに考えすぎてしまうことがありますが、こうした自信過剰は悪い面も考えれば防ぐことができます。また、斬新すぎるアイデアだと、ついリスクばかりに目が行きがちですが、こうしたときには良い面に注目すれば、それが受け入れるべきリスクなのかを評価することができます。良い面と悪い面を両方考えることで、バランスよくアイデアを評価できるわけですね。
まとめ
本稿では「アイデアはどう評価すれば質の高い提案ができるのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- アイデアは最後にまとめて評価するよりも、アイデアが出るたびにその都度評価した方がよい
- アイデアを評価するときは、成功する場合と失敗する場合の両方を評価した方が良い
- アイデアの評価の質が高まれば、最終提案の質・オリジナリティ・明快さも向上する
ということです。
アイデアはたくさん出すことよりも、成功するアイデアを見極める方が難しいものです。アイデアを質の高い提案につなげるためにも、評価のタイミングや着眼点にも気をつけてみると良いがでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]