夕方にカフェインを摂取すると、どんなふうに睡眠の質は低下してしまうのか?
カフェインは眠気をブロックする作用があって、コーヒーやお茶などの飲料によく含まれます。最近ではレッドブルのようなエネジードリンクも広まっていて、エネジードリンクの覚醒作用を起こす成分の一つがカフェインでもあります。
しかし、カフェインの眠気や疲労感の軽減効果は諸刃の剣ともなりえて、特に夕方以降にカフェインを摂取してしまうと、寝付きにくくなったり、睡眠に質が低下してしまうというデメリットもあります。
そこで本稿では、
- カフェインで睡眠の質が低下するとき、具体的にどんなことが起こってるの?
ということを調べてくれた研究を見ていきましょう。
カフェインと睡眠の質の低下
バーゼル大学らの研究では、18人の若者を対象に、夕方にカフェインを摂取した時の睡眠について実験しています。
この研究では、毎日8時間の規則正しい睡眠パターンを整えた後で、6日間カフェインを夕方に飲むようにしたら、どう睡眠の質が変わるのかを測定しています。カフェインは18:30に80mg摂取するようになっていて、これは大体250mlのエナジードリンク1本に含まれる量となっています。
そして、睡眠の質としては、
- 夜の寝付くまでに問題がないか?
- 一回寝付いたら、安定して睡眠が続くか?
- 朝の寝起きのスムーズさはどうか?
- 起きた後で眠気などで活動に支障は出ていないか?
といった4つの観点を主観で答えるものと、
- トータルの睡眠時間
- 夜中に目覚めていた時間
- ノンレム睡眠(深い眠り)の時間
といったものの客観的な測定データの両方で分析が行われています。
結果:夕方のカフェインで睡眠の質はどのように低下するのか?
早速実験の結果を見てみると、まず主観的な睡眠の質の変化として、
- なかなか寝付けないなど、夜に寝付くまでに問題を抱えることが多くなった
- 一度寝付いた後の睡眠や起床時、起床後の眠気などは主観的な感覚としては特に問題は感じなかった
ということ。
カフェインを夕方に飲んでしまうと、夜なかなか寝付きにくくなるというのは本当で、これは実際に自分の感覚としても分かるということですね。他の項目については自分では気づかないようなので、もう少し詳しく客観的な測定データで見て見ましょう。
結果2:カフェインで客観的な睡眠時間はどう変わるのか?
客観的な睡眠の質の変化の結果を見てみると、
- カフェインを飲んだ人はノンレム睡眠(深い眠り)の時間が有意に低下していた
ということ。つまり、カフェインを飲むと寝つきにくくなるだけでなく、眠りも浅くなってしまうわけですね。
さらに統計的に優位ではないものの見られた傾向としては
- トータルの睡眠時間も若干低下していた(−13分ほど)
- 寝るに寝付くまでの時間が伸びていた(+10分ほど)
- 睡眠の効率(ちゃんと寝れている時間の割合)が低下していた(−3%ほど)
ということ。夕方にカフェインを摂取すると、自分では気づかないうちに、睡眠の質が少しずつ低下してしまっているようです。
まとめ
本稿では「夕方にカフェインを摂取するとどんなふうに睡眠の質は低下するのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 夕方以降にカフェインを摂取すると、なかなか眠れないなどの、寝付くまでの問題に悩まされるようになる
- 夕方以降にカフェインを摂取すると、深い眠りの時間も減ってしまう
ということ。
夜の仕事をブーストするためにカフェインを飲む人も多いと思います。しかし、それは短期的には覚醒効果があるものの、その後の睡眠の質が低下して、長期的にはパフォーマンスは落ちてしまうかもしれません。夕方以降はできるだけカフェインを摂取しないで済ませるようにしていきましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]