情報を過去の経験と照らし合わせると、偽の情報に強くなるという研究

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最近ではインターネットやSNS、テレビ、雑誌などの多くの媒体を通じて、非常に多くの情報が手に入るようになりました。しかし、これだけ情報が溢れると、中には質の悪い情報もあって、本当は間違っている情報が世の中では広く受け入れられたりしてしまいます。コロナに関する情報でも、陰謀説などの多くの間違った情報が錯綜したりしていますよね。

そこで本稿では、

  • 間違った情報に騙されにくくなるにはどうすれば良いのか?

を実験で確かめてくれた研究を見ていきましょう。

メタ認知と偽の情報

メタ認知とは、一歩引いた客観的な視点で、冷静に情報を見ることを言います。このメタ認知は偽の情報を吟味するときには非常に大切なもので、情報が偽物だと気づくためには、その情報と他の自分が知っている情報を照らし合わせなければいけないんですね。

そこで、ノースウェスタン大学の研究で、

  • 新しい情報は過去の自分の経験や知識と照らし合わせることで、偽の情報にも騙されにくくなるのでは?

ということを実験しています。

この実験では、参加者は19ページにもなる文章を読むのですが、その中には所々に偽の情報が散りばめられています。偽の情報がどのようなものかというと、

  • シートベルトを装着すると、交通事故での生存率が低下してしまう

といったようなもの。シートベルトで安全性が高まるのは誰でも知っている確かな情報です。しかし、文章には真逆の偽の情報が書かれていて、あまりよく考えない人はそうなんだと騙されてしまうわけですね。

そして、偽の情報に強くなる方法を検証するために

  • 文章を読む前と文章を読んでいる最中に「この文章と、過去の自分の知識や経験を照らし合わせながら読むこと」を促進された人
  • 何も言われずにただ偽の情報を含んだ文章を読んだ人

の2グループで、どれだけ偽の情報に騙されたかを比較しています。

結果:偽の情報に騙されにくくなるのか?

早速結果を見てみると、

  • 偽の情報を含まない正しい文章を読んだ場合、正答率は88%だった
  • 偽の情報を含む文章を何もせずに読むと、正答率は64%に低下した
  • 偽の情報を含む文章を、過去の経験や知識を照らし合わせて読むと、正答率は84%を維持した

ということ。

当たり前のように思える情報でも、偽の情報を読むだけで正答率は24%も低下してしまっています。これが、情報を過去の自分の経験や知識と照らし合わせるようにするだけで、正答率の低下がわずか4%に抑えることに成功しています。偽の情報にずっと騙されにくくなったわけですね。

インターネットやニュース、雑誌など、様々な情報の中には、偽の情報は多く含まれています。何も考えずにこうした情報に接していると、どんどんと偽の情報に騙されてしまうので、その情報は他の情報を比べて正しいのかを常に疑うようにした方が良さそうですね。

まとめ

本稿では「偽の情報に騙されにくくなるにはどうすれば良いのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 新しい情報を、過去の自分の経験や知識と照らし合わせるようにすると、偽の情報に騙される確率がグッと減る

ということ。

これまでに自分の知識がない分野については、反対意見にも目を通すなど、幅広く情報を集めるようにすると良いでしょう。偽の情報に騙されている人は、自分では正しいと思い込んでしまって、情報を吟味する視点がないとその思い込みからも抜け出せません。新しい情報は、鵜呑みにせずに、とにかく一度疑ってかかってみるくらいの勢いでも良いのではないでしょうか。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Misinformed and Unaware? Metacognition and the Influence of Inaccurate Information

Naoto

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