【集中力の心理学】目標・フィードバック・報酬で集中力は持続できるのか?

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仕事や勉強、スポーツなどあらゆることで集中力は大切な役割をします。しかし、一つのことにずっと集中し続けることは非常に難しいもので、長時間同じことを続けると飽きてしまったり、頭の中で他のことを考えてしまったりします。

そこで本稿では

  • 目標・フィードバック・報酬を設定することで、集中力はより長く維持できるようになるのか?

を実験してくれたテキサス大学らの研究を見ていきたいと思います。

実験:集中力を長く維持するために必要なものは何か?

テキサス大学の研究では、実験の参加者を集めて、単調だけど集中力をずっと維持する必要があるタスクに取り組んでもらっています。このタスクがどのようなものかというと、

  • 画面に数値が現れたら参加者はできるだけ早くボタンを押す
  • 数値は2秒〜10秒間隔でランダムに出てくるので、ずっと画面を集中して見なければいけない
  • 28回を1ブロックとして、計5ブロック(合計で140回)このタスクを行う
    (全体の所要時間は30分で、この間ずっと画面に集中するイメージ)

となっています。

このタスクでは、集中力を測る指標として、数値が出現してからボタンを押すまでの反応速度が測定されています。集中力が高いときには反応速度も速くなりますが、後半になって集中力が落ちてくると、反応速度も低下してくるわけですね。

そして、この研究の大切なポイントとして、この集中力の低下を防ぐために、下記のいくつかのパターンを試しています。

  • 目標を設定した場合
    反応速度を300ms以下といった目標を伝える
    反応速度の時間は何パターンか用意して難易度も変えている
  • 目標+フィードバックを設定した場合
    各ブロック毎に目標をどれだけ達成できたのかのフィードバックを与える
  • 目標+フィードバック+報酬を設定した場合
    金銭的報酬として目標が達成できたら10ドルをあげる。
    または、時間的報酬として目標が達成できたら実験は終わり、達成できなかったらもう30分タスクを追加と伝える。

これらのパターンでの反応速度の変化や、タスクへのモチベーションの変化を測定して、

  • 目標・フィードバック・報酬はそれぞれ集中力の維持に効果があるのか?

を分析したわけですね。

結果:目標のみの場合

まず最初に基本的な結果として、

  • どのパターンでも後半のブロックになる程、反応速度は低下し、タスクへのモチベーションやエンゲージメントも低下していた。また、タスクに関係ないことを考えてしまうことも後半になるにつれて増えていた。

ということ。

それでは、こうした集中力の低下が目標をつけることでどう変わったのかというと、

  • 目標を設定すると、反応速度が向上し、後半での警戒心の低下を防いでいた
  • この効果は難しい目標でも簡単な目標でも得られていた
  • 目標設定はモチベーションやタスクに関係ない思考の抑制には効果はなかった

ということ。

シンプルに目標を決めるだけでも、集中力の低下は少し低減されて、パフォーマンスが向上されていますね。

結果2:目標+フィードバック

続いて、目標に加えてフィードバックを加えたときの結果を見てみると、

  • フィードバックを与えると、反応速度が大きく低下し、後半での反応速度の低下も大きく抑制することができていた
  • フィードバックを与えられた人は、タスクへのモチベーションも向上していた
  • フィードバックを与えられた人は、目標の達成に意識を向けるようになり、タスクに関係ないことを考えることが減っていた

ということ。

特に反応速度の向上については、大きな効果が得られていて、グラフで見ると次のようになっています。

上の3つの点線が、何もなし(灰色)、目標のみ(黄色)、フィードバックのみ(茶色)となっていますが、後半になるにつれて反応時間が右肩上がりに遅くなってしまっていることがわかります。一方で、一番下の目標+フィードバックの実践では、反応時間が最初から速く、後半になってもそれほど低下していないことが分かります。

つまり、フィードバックは集中力の維持に大きな効果ありということが言えるわけですね。

結果3:目標+フィードバック+報酬

続いて、報酬を追加した結果を見てみると、

  • 目標達成に報酬をつけると、モチベーションが向上し、目標達成への意欲も向上した
  • モチベーションや達成意欲の向上は、金銭的報酬よりも、時間的報酬の方が高かった
  • しかし、実際の反応速度のパフォーマンスは報酬なしの場合と変わらなかった

ということ。

報酬は心理的には人をやる気にさせてくれますが、実際の集中力は報酬がない場合と変わらないということです。なので、集中力をキープする効果としては、目標設定+フィードバックがメインとなっています。なので、集中力の維持というよりは、やる気を起こすために報酬を活用するのが良さそうですね。

まとめ

本稿では「目標・フィードバック・報酬で集中力が向上するのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 目標+フィードバックで集中力が向上し、長く持続するようになる
    (特にフィードバックの効果が大きく、目標設定だけでは効果は小さい)
  • 報酬を追加しても集中力は向上しないが、モチベーションは向上してくれる

ということ。

今回の実験では5つのブロックに分けてフィードバックを挟んでいます。なので、実際の仕事や勉強でも、30分や1時間のブロックに分けて、各ブロックで目標設定と終わった後のフィードバック(実績や進捗の確認)を行うと良いかもしれませんね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Examining the Effects of Goal-Setting, Feedback, and Incentives on Sustained Attention

Naoto

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