下手なアイデアも数を打てば、良いアイデアに当たるのか?

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仕事では新しいアイデアを求められることが多々あります。

これまでに無い画期的な商品の企画が欲しいとき、
どうしても突破できない技術的な壁の解決策が欲しいとき、
製品の魅力を効果的に伝えるキャッチコピーが欲しいとき、

そんなときに使われる作戦の一つが、「バカげたアイデアでも良いので、まずはたくさんのアイデアを出そう」戦法。一人で紙にアイデアを書き殴るのもよし、ブレインストーミングでみんなで集まってアイデアを出し合うのも良し、アイデアも数撃ちゃ当たるというわけですね。

しかし、アイデアは少しずつ変化させてたくさん増やすのは簡単でも、本当にいいアイデアを生み出すのは至難の業です。アイデアがたくさん出ても、実際に成功するアイデアはほんのひと握りですよね。

そこで本稿では、

  • アイデアは出せば出すほど、質も向上していくものなのか?

について実験してくれた研究を見てみましょう。

アイデアの量と質

コペンハーゲン・ビジネススクールの研究では、154人の学生を対象に

  • 新聞紙、ペン、タオル、レンガ、靴といった日常的なものに対して、これまでにない新しい使い道のアイデアを考える

というタスクに挑んでもらっています。

そして、このタスクの結果として

  • どれだけたくさんのアイデアを考えたのか?
  • どれだけ質の良いアイデアを出せたのか?
    (アイデアの質は2人の審査員が点数付け)

の2つが測定されています。

さらに、参加者の性格の一面として

  • 新しいことへのオープンな性格か?

も測定がされています。自分の考えに固執するのでなく、新しい思想や新しい経験にオープンになれる人の方が、発想も柔軟になるものなので、その影響も加味しているんですね。

結果:アイデアの数は質を高めるのか?

実験の結果を見てみると、次のグラフが得られています。

このグラフは、横軸がアイデアの数、縦軸がアイデアの質になっています。つまり、直線が右肩上がりに高まっていけば、アイデアの数が増えるほど質も向上しているということですね。

そして3色の直線は

  • 緑色がオープンさが高い人の結果
  • 赤色がオープンさが中程度の人の結果
  • 青色がオープンさが低い人の結果

となっています。

つまり、このグラフから分かることは、

  • オープンさが高い人は、アイデアの数をたくさん出せるし、アイデアを出せば出すほど質も向上していく
  • オープンさが低い人は、アイデアの数もあまり出ないし、数を増やしたところで質は向上しない

ということ。

オープンさが低くて考えが柔軟でない人は、アイデアを一生懸命出しても、質は向上せず下手なアイデアばかりになってしまうという残念な結果になっています。なので、アイデアを考えるときには、自分の中の固定観念を捨てて、オープンになるようにしましょう。あの人のアイデアはだめだと”判断”をせずに、あえて乗っかってみるなんてのも良いでしょう。

まとめ

本稿では「アイデアは数撃ちゃ当たるのか」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 新しいことにオープンな人は、アイデアを出せば出すほど、アイデアの質も向上していく
  • 新しいことにオープンでない人は、アイデアを多く出しても、質は向上しない

ということ。

失敗を恐れて無難なアイデアを出そうとするのではなく、もっとオープンなマインドで、色とりどりなアイデアを出すようにしましょう。オープンな人は質だけでなく、そもそもアイデアの数も多いので、粘り強くアイデアを考え続けることも大切なのかもしれませんね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Not Quite Equal Odds: Openness to Experience Moderates the Relation Between Quantity and Quality of Ideas in Divergent Production

Naoto

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