仕事のパフォーマンスは、仕事の満足感より人生の満足感で上がるのでは?という研究

幸せな人ほど仕事のパフォーマンスも高いということが、ポジティブ心理学などの研究で分かっています。
しかし、実際に仕事の満足感と仕事のパフォーマンスの関係を調べた研究では、仕事の満足感がパフォーマンスを向上する効果は意外と小さいという結果になっています。つまり、仕事のパフォーマンスを向上しているのは、仕事に関係する幸せだけでなく、人生全般の幸せも含まれるということが考えられるんですね。
そこで本稿では、
- 仕事の満足感と人生の満足感は、どちらがより強く仕事のパフォーマンス向上に影響するのか?
を調べた研究を見てみましょう。
人生の満足感と仕事のパフォーマンス
アメリカの研究(*1)では、87人の社会人を対象にして、
- 仕事の満足感(仕事内容、上司、給料、同僚、昇進を含む)
- 人生の満足感
- 仕事のパフォーマンス
の測定を行っています。
仕事のパフォーマンスは、
- 自分の役割で発揮しているパフォーマンス
- 自分の役割を超えた組織やチームのための行動
の2つが上司の評価によって点数付けられています。
最終的にはこれらのデータから
- 仕事の満足感は仕事のパフォーマンスをどれだけ向上するのか?
- 人生の満足感は仕事のパフォーマンスをどれだけ向上するのか?
が分析されています。
結果:仕事の満足感 vs 人生の満足感
分析の結果を見てみると、まず仕事の満足感については
- 仕事の満足感は役割の仕事のパフォーマンスを、有意には向上していなかった(r=.132)
- 仕事の満足感は役割を超えた組織のための行動を、有意には向上していなかった(r=.072)
ということ。仕事の満足感で若干の向上する傾向はあるものの、有意差になるほどではないようです。
次に人生の満足感の結果では
- 人生の満足感は役割の仕事のパフォーマンスを、有意には向上していた(r=.269)
- 人生の満足感は役割を超えた組織のための行動を、有意には向上していた(r=.242)
となっています。
人生の満足感は仕事のパフォーマンスを有意に向上していて、その効果の仕事の満足感よりも強いという結果になっています。仕事の満足感の方が仕事と直接結びついているので、パフォーマンスにも強く影響しそうなイメージがありますが、実際には逆。仕事に限らずに、家族や友達との人間関係や趣味の活動など、人生全体で幸せを感じていることが大切ということですね。
まとめ
本稿では「仕事の満足感と人生の満足感はどちらが仕事のパフォーマンスを強く高めるのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 仕事の満足感よりも、人生の満足感の方が、仕事のパフォーマンスに強く影響する
ということ。
この結果は、仕事の満足感を高めなくて良いというわけではありません。仕事の満足感が低いと、会社を辞める人が増えてしまったり、社員のクリエイティビティが低下してしまうなど、他の問題が出てしまうんですね。なので、仕事の満足感を高めつつ、ワークライフバランスを改善して人生の満足感も高めてあげるのが良いでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Which is a Better Predictor of Job Performance: Job Satisfaction or Life Satisfaction?