時間にもメンタル・アカウンティングは存在するのか?

最終更新日

Comments: 0

メンタル・アカウンティングとは、心の中のお金の区別のこと。

私たちはお金を入手した方法やその使い道に応じて、心の中でお金を分類しているんですね。

例えば、同じ一万円であっても

  • 毎月のお小遣いの一万円
  • たまたま抽選で当たった商品券の一万円
  • 子供の将来のための貯金講座の中の一万円

の3つでは、お金に感じる心理は全く別物。運よく棚ぼたで手に入ったお金はパーっと使いやすいのに対し、子供のための貯金口座からはよっぽどのことがないとお金を引き出せないでしょう。

それで、お金と時間は似ているもので、「限られたリソース内で、なんとかやりくりしないといけないもの」という共通点があります。そのため、時間にも同じように心の中の分類があることが考えられて、仕事がある平日の時間の感じ方、週末のお休みの日の時間の感じ方などは、心の中で時間が区別がされているかもしれません。

本稿ではこの点について、

  • 時間にもメンタル・アカウンティングは存在するのか?

を確かめてくれた研究を見てみましょう。

時間の分類は時間の使い方を変えるのか?

南メソジスト大学の研究では5つの実験により、時間にもメンタル・アカウンティングが存在するのかを確かめています。

これらの実験では、

  • 仕事の時間
  • 休暇の時間

の2種類の時間の分類が、行動の選択に与える影響を調べています。

例えば、一つの実験では

  • 仕事の旅行で乗る飛行機の出発が1時間遅れることになりました。
  • 家族旅行で家族と合流するための飛行機が1時間遅れることになりました。

という2つのケースで、この1時間で何をするのかを答えてもらっています。

時間のメンタル・アカウンティングが存在するなら、仕事で飛行機が遅れた場合は、空いた1時間は仕事の時間という認識になり、仕事の関することをして過ごすだろうというわけですね。

結果:時間のメンタル・アカウンティングはあるのか?

実験の結果を見てみると、

  • 仕事中に浮いた空き時間では、仕事に関することをしやすかった
  • 休暇中に浮いた空き時間では、仕事に関係ないことをしやすかった

ということ。

やはり時間にもメンタル・アカウンティングは存在して、時間が得られた場合には、その時間の元の分類と同じ行動を取りやすくなるということです

この現象はサマータイムのような、就業時間が1時間早まって、仕事後の自由時間が1時間増えた場合にも見られて、

  • サマータイム期間は、平日は増えた1時間を仕事に関することに使いやすかった
  • サマータイム期間は、週末は増えた1時間を仕事に関係ないことに使いやすかった

ということ。

確か、サマータイム制度の期間は、終業後の時間を活用して資格の取得に挑戦するなど、仕事に関することに取り組むことが増える印象があります。

結果2:時間の割り振りに上限はあるのか?

サマータイム中は平日に仕事に関することが増えるということですが、仕事と関係ない趣味の活動をする人もいると思います。この点について、一つ重要なことわかっていて

  • 人は仕事のみ、趣味のみなど一つの分類に時間を全て注げることはしない
  • 仕事の時間を十分に取ったら次は休暇の時間を作り、休暇の時間を十分に取ったら仕事に関する時間を作る

ということ。

つまり、仕事と休暇のどちらか一方をずっーと続けることはなく、2つのバランスをうまく取ろうとするわけですね。仕事を1日頑張ったらあとは家でゆっくりしたくなる、長期間の休暇でゆっくり休んだらなんだか働きたくなるという気持ちも起こりますよね。

まとめ

本稿では「時間にもメンタルアカウンティグは存在するのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 時間にもメンタルアカウンティングは存在し、仕事の時間が浮いたら仕事に関することをしやすく、余暇の時間が浮いたらよかの活動をしやすい
  • ただし、仕事と余暇の時間のバランスを取るようになっていて、一つの分類に時間を十分取ったら、次はもう一方の活動をしたくなる

ということ。

時間にもメンタル・アカウンティングが存在するということで、時間はある程度ブロックにしてその分類を決めてあげると良いかもしれませんね。例えば、月曜日は新しいことを勉強する日、火曜日はジムに行って運動する日など、分類を決めておけば行動の取りやすくなるでしょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : The mental accounting of time

Naoto

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントする