後悔が将来的に幸福感を上げるためには〇〇が必要という研究
もっと勉強をしておけば良かったとか、あんなことを言うんじゃなかったとか、間違った選択をしてしまうと後悔を感じるものです。後悔はネガティブな感情の一つですから、できれば後悔のない人生を送りたいところ。
しかし、現実的には無数にある人生の選択を全て成功させることは不可能で、大切なのは後悔をその後に活かすことにあります。人は後悔から学ぶことで、次からより良い選択ができるようになっていくわけですね。
これを幸福感の観点で考えてみると、選択の間違いに気づいて後悔を感じているときは一時的に幸福感が低下しますが、その後の人生は選択がうまくなって幸福感が向上するかもしれません。
本稿ではこの点について調べてくれた研究を見ていきましょう。
後悔と幸福感
ティルブルフ大学の研究では
- 後悔の多さ(頻度)
- 幸福感
- 自制心の強さ
といったことを合計で858人を対象に測定して、これらの関係を分析しています。
ここでのポイントは自制心となっていて、
- 自制心が強い人は、後悔を次に活かして、選択を改善していくことができる
→ その結果、後悔の頻度が減って、人生の幸福感は高まる - 自制心が低い人は、後悔を感じても、また同じ間違いを繰り返してしまう
→その結果、後悔の頻度が多く、人生の幸福感も低くなってしまう
ということを想定しています。
結果:後悔の多さと幸福感
研究の結果を見てみると、
- 自制心が低い人ほど、後悔が多い傾向があった
- 自制心が低い人とは、衝動的に選択しやすい人、目先の報酬を選びやすい人、目先の困難や失敗を避ける人、他人のことを考えない行動をとってしまう人、のどれもが後悔の多さとにつながっていた
ということです。
やはり、自制心が低い人ほど、後悔から学ぶことができずに後悔が増えてしまうようです。自制心の種類としても、細かな分析がされていますが、どのタイプであっても後悔は増えてしまっているので注意が必要ですね。
結果2:後悔が幸福感を低下するとき
それでは、後悔が増えることで最終的に幸福感まで低下してしまうのかの結果を見てみると、
- どのタイプの自制心に低さも幸福感の低下につながっていた
- 特に他人のことを考えない行動をとってしまうタイプの自制心が低い人は、後悔が増えたときに幸福感が低下しやすかった
- 後悔が幸福感を低下するのは、後悔を思い出すことでネガティブな気持ちが発生するときのみだった
ということ。
特に他人のことを考えない行動をつい行ってしまう人は注意が必要ということ。人間関係で失敗した後悔などは、しっかりと繰り返さないように意識した方が良さそうですね。
また、後悔が幸福感が低下するのはネガティブな感情を伴うときのみというのも一つのポイント。後悔はあるけどしっかりと乗り越えて心の整理がついている場合には、幸福感は低下しないわけですね。後悔を乗り越えるためにも、しっかりと過去の失敗を教訓として、つぎに活かせるようにしましょう
まとめ
本稿では「後悔で幸福感を向上するために必要なこと」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 後悔から学んでその後の人生の幸福感を上げるには、同じ間違いを繰り返さない自制心が必要
- 自制心が高くなるほど後悔の頻度は減り、幸福感も高くなる
ということ。
後悔も学びとなってその後に活きてくるので、長期的なことを考えると後悔をすることも必要なことなのかもしれません。後悔がないということは、挑戦していないということの裏返しとも取れる訳ですね。若い頃はもっと挑戦すれば良かったという後悔もよく聞くので、後悔は避けるだけでなく活かすことも心がけましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1: Regret, Self‐regulatory Abilities, and Well‐Being: Their Intricate Relationships