目標設定をすると目標とは関係ないことのパフォーマンスも向上するという研究
行動を変えたり、習慣を変えるためには、目標設定をすることが大切になります。
例えば、ダイエットをするにしても、「3ヶ月で5kg痩せる」とかの目標がないと、運動や食事制限をするモチベーションも続かないでしょう。
そして目標を持つことのも一つの効果は、「人生の目的を持って取り組んでいる感覚」をもたらしてくれること。長期的な目標に向かって日々頑張ることが、人生を充実させる一つのポイントでもあるわけですね。
そのため、目標を持つ人と持たない人の違いは大きく、
- 目標を持つ人は、日々モチベーションが高く、充実した行動をとる
- 目標を持たない人は、その日暮らしのようになって、長期的な達成感を得られない日々を送る
ような感じになってしまいます。
そこで本稿では、この目標設定について
- 何か一つ目標を持つと、その目標とは関係ないことまでパフォーマンスが向上する可能性がある!
ということを調べてくれた研究を見てみましょう。
目標の波及効果
エラスムス大学らの研究では、2928人の学生を対象にして、
- 勉強に関する目標を設定した場合
(例えば、数学の試験で80点以上取るなど) - 勉強以外の目標を設定をした場合
(例えば、毎日運動をするなど) - 目標設定をしなかった場合
の3つのグループ分けをして、次の学期の成績がどのように変わるのかを測定しています。
ここで行う目標設定は3つのステップに分けられていて
- 自分が達成したい目標を決める
- その目標を達成するための具体的な行動の計画を立てる
- 目標設定を決意表明して、写真とともに周りに公表する
となっています。
結果:目標設定の効果
早速結果を見てみると、
- 目標設定をした人は、目標設定をしなかった人よりも、成績が20%ほど高かった
- 目標の種類は関係がなく、勉強に関係ない目標を立てた人も学業の成績が向上していた
ということ。
目標設定は確かに効果があり、面白いことに勉強とは関係ない目標を立てた人も成績が向上しています。「毎日運動をする」といった勉強と関係ない目標でも、目標に向かって自分をコントロールする方法を身につけられれば、学業もうまくいくのかもしれませんね。
結果2:目標が効果を発揮するには?
そして、この研究からはもうひとつ分かったことがあって、
- 目標は真剣に考えるほど効果も向上する
ということです。
これがどういうことかというと、
- 目標の3つのステップを最後まで実践した人は、途中までしか行っていない人よりも、目標の効果が高かった
- 目標の3つのステップで、目標に関して書き出した文字数が多ければ多いほど、目標の効果も高かった
- 目標に対する行動計画が具体的であるほど、目標の効果も高かった
ということ。
なんとな〜くこうなりたいという曖昧な目標ではやはり効果は薄いようです。
目標の効果を高めるには、
- 具体的にどのレベルを達成したいのか
- 目標達成のためにいつ、どこで、どのような行動を取るか
- 目標を達成する上でどのような壁にぶつかることが想定できるか
- その壁はどうやったら乗り越えられるか
といったことを具体的に考えるほど良いわけですね。
まとめ
本稿では「目標が関係ないことのパフォーマンスまで向上する波及効果」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 何か一つ目標を決めて追い求めると、それと関係ないことのパフォーマンスも向上する可能性がある
- 目標が効果を発揮するには、達成までの計画が具体的に決められていないといけない
ということ。
新年になって新しい目標を掲げる人も多いでしょう。一度に多くの目標を追求すると、失敗する可能性も高まってしまいます。なので、まずは一つの目標に集中して真剣に追い求めてみれば、波及効果で他のこともうまくいくかもしれません。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Writing about personal goals and plans regardless of goal type boosts academic performance