感謝の気持ちは幸福感の向上にどれだけ効果があるのか?のメタ分析
ポジティブ心理学の研究では、人はどうすれば幸せになれるのか?が調べられています。
こうした研究で幸福感を向上するための様々な手法が考えられていますが、最近注目されているのが「感謝」の気持ち。感謝を感じた出来事を書き出したり、感謝の気持ちを他人に伝えたりして感謝の気持ちを高めると、幸福感まで高まることが分かっているんですね。
そこで本稿では、
- 感謝が幸福感を向上する効果はどれだけ確かなものなのか?
についてメタ分析でまとめてくれた研究を見てみましょう。
感謝の気持ちと幸福感
この研究では、
- 感謝の気持ちを高める行動をしたときに、幸福感と不安にはどのような変化があるのか?
について調べた26件の研究結果をメタ分析でまとめています。これらの研究を合わせるとサンプル数は1,755人ということ。
さらにこの研究では、感謝の気持ちを高める行動のポイントも分析するために
- 感謝の出来事をリストアップしたり書き出す方法
- 感謝の気持ちを他人に伝える方法
- 感謝の気持ちについて教育を受ける方法
の3つの方法でどれが効果が高いのかも調べています。
結果:感謝の気持ちと幸福感
早速メタ分析の結果を見てみると、感謝の気持ちを高める行動をとった人はそうでない人と比べて
- 感謝の気持ちが高まっていた(d=0.46)
- 幸福感も高まっていた(d=0.17)
- 不安にはあまり効果はなかった(d=0.11)
ということ。
これまでの研究をメタ分析でまとめた結果、確かに感謝の気持ちで幸福感が高まっていることが分かります。ただし、不安には有意な効果はなかったようなので、不安がある場合には別の対処法が有効でしょう。
結果2:感謝の気持ちを高める行動
次に感謝の気持ちの高め方としてどのような行動が効果的なのかを調べた結果を見てみると、
- 感謝に関する教育を受ける方法は研究が少なくてよくわからなかった
- 感謝を書き出す方法と感謝を伝える方法はどちらも幸福感を高め、その効果も同じくらいだった
ということ。
感謝は日記のようなものに書き出しても良いし、直接伝えても良いということ。直接伝えるのが恥ずかしい場合は、書き出すだけでも効果があるということで、実践するのも楽ですね。もちろん、直接伝えることで人間関係がより深まることもあるので、ときには直接伝えることも大切でしょう。
そして、もう一つ分かったことは
- 感謝の行動は頻度や時間を増やしても、効果が比例して伸びるわけではなかった
ということ。つまり、頑張って何時間も感謝の行動する必要はなく、毎日寝る前に5分だけ書き出すとか、週末に今週の感謝について書き出すとか、少量でも実践すれば効果は得られるようです。
まとめ
本稿では「感謝の気持ちと幸福感」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 感謝の気持ちを高めると、幸福感も高まる
- 感謝の気持ちは直接伝えなくても、書き出すだけで同じように効果がある
ということ。
感謝の気持ちは簡単に高められるので、実践してみると良いでしょう。幸福感にとって人間関係はかなり大切なポイントなので、良好な人間関係を作る意味でも感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Thankful for the Little Things: A Meta-Analysis of Gratitude Interventions