解き方を教わる前に練習問題に挑戦した方が学習効果は高まるのはなぜか?

教科書を読んだり、授業を受けたり、人は知識を教わることで学習をします。学校の授業はこの典型で、最初に例題を学んで、その後に自分で練習問題を解くのが一般的な授業の流れでしょう。

しかし、人は失敗から学ぶ力も持っているもの。百聞は一見にしかずと言いますが、あれこれ聞いた知識よりも、自分で試行錯誤して身につけた知識の方が、ずっと理解が深いものですよね。

こうした学びにつながる失敗は「生産的な失敗」と呼ばれて、教育に有効に活用する方法が研究されています。例えば、学校の授業では、正解できなくてもいいからまずは自力で問題に挑戦してもらって、その後に正解の解法を教える手順にすることで、学習効果を向上できる可能性があるんですね。

そこで本稿では、

  • 練習問題に先に挑戦した方が、学習効果は向上するのか?向上する場合はなぜなのか?

について調べてくれた研究(*1)を見てみましょう。

例題が先か、問題が先か

この研究では、4パターンの授業を実験していて

  • 正しい解き方を教える→練習問題を行う
  • よくある生徒の間違いと対比して正しい解き方を教える→練習問題を行う
  • 先の練習問題を行う→正しい解き方を教える
  • 先の練習問題を行う→よくある生徒の間違いと対比して正しい解き方を教える

での学習効果の違いを調べています。

よくある生徒の間違いと対比して正しい解き方を教える方法を用意したのは、自分で直接失敗せずとも、他の生徒の失敗を学ぶことでも学習効果が高まるのかを検証しているわけです。

結果1:学習の順序で理解はどう変わるのか?

4つの授業のパターンで、その後の学習効果の試験結果を見てみると、

  • 先に解き方を教わった授業の生徒は、解き方の手順に関する理解は深かった
  • 先に練習問題に挑戦した授業の生徒は、授業のコンセプト(内容)に関する理解が深かった

ということ。

先に解き方を教えてしまうと、解き方を暗記的に覚えてしまって、中身の深い理解ができていない。先に練習問題に挑戦して生産的失敗を経験すると、中身の理解がより深くなるということなんですね。先に練習問題に挑むことは、自分の頭で考えて一から解き方を捻り出そうとするわけですから、それだけ理解が深まるわけですね。

結果2:教え方で理解はどう変わるのか?

次に解き方の教え方で理解がどう変わるのかを見てみると、

  • 正しい解き方のみを教えるよりも、よくある生徒の間違いと対比して教えた方が、授業のコンセプトの理解が深まっていた

ということ。

ちなみに4つの授業で一番効果が高かったのは、

  • 先に練習問題を解いて、その後でよくある生徒の間違いと対比して正しい解き方を教えた場合

ということ。このパターンでは授業の理解がグッと深まっているんですね。

結果3:なぜ理解は深まるのか?

最後に、問題を先に解くことでなぜ理解が深まるのかを分析した結果を見てみると、

  • 問題に先に挑戦すると、今の自分の知識と正解の知識とのギャップを認識するようになった
  • その結果、授業に対する好奇心が高まっていた

ということ。

つまり、自分であれこれ考えて問題に挑戦すると、今の自分に足りない知識に気づき、正しい解き方がどんなものかすごく気になるということ。その結果として、後に続く正しい解き方の解説をより真剣に聞くようになるわけですね。

まとめ

本稿では「解き方を教わる前に練習問題に挑戦した方が学習効果は高まるのはなぜか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 失敗してもいいから先に練習問題に挑戦してから、解き方を教わる方が授業の理解は深まる
  • 解き方を教えるときには、よくある生徒の失敗の解き方と対比して教えるとより効果が高まる
  • 先に問題に挑戦することで知識のギャップに気づき、好奇心が高まることが学習効果の向上に関係している

ということ。

読書のテクニックとしても、先に内容を予測して今の自分の知識とのギャップを明確にしておくと、読解力が向上することが分かっています。ただ受け身になって教わるのでなく、自分で考えて試行錯誤することが、より深い理解へのポイントというわけですね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Knowing what you don’t know makes failure productive

Naoto

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