ボトムアップで組織を変えるための6つのステップ
本稿のテーマは組織をどうやって変えるのか?です。
組織改革はなかなか個々のメンバーの行動が伴わなくて失敗することが多いですよね。そこで本稿では、組織改革を成功させる方法を6つのステップにまとめてみました。参考文献(1,2)
失敗する組織改革と成功する組織改革の違い
まず失敗する組織改革と成功する組織改革の違いはなにか?
それはボトムアップの行動が伴っているかどうかです。
トップの人が音頭をとっても、誰もついて来なかったら改革が成功するはずもありませんよね。ボトムアップの行動を促すためには、コミュニケーションや明確なビジョンの共有など重要な要素がいくつかあります。 そこで失敗する組織改革と成功する組織改革の特徴を次にリストアップしてみました。
失敗する組織の変革方法
- 変革がトップダウンで行われる
- 問題点が不明確で、変革の必要性が認識されていない
- トップがビジョンを語るばかりで具体的な戦略がない
- 変革のためのミーティングが数回行われるだけで、コミュニケーションが不足している
成功する組織の変革方法
- 変革が個人や現場チームレベルからボトムアップで進められる
- 組織の問題点とその解決のための個人の役割が明確になっている
- ビジョンが明確であり、かつわかりやすい
- 変革が日々のコミュニケーションレベルで進行している
組織を変えるための6つのステップ
それではボトムアップの行動をベースにして組織を変えていくための具体的な6つのステップを紹介していきたいと思います。
①問題点を明確にする
最初に行うべきなのは問題点を明確にすることです。
問題点が十分に絞り込まれていないと、解決のための戦略があいまいで効果的の薄いものになってしまいます。
例えば、「他社の新製品が好評でシェアを奪われているので、今年は全社一丸となってシェアを取り戻す」と言われたらどうですか? 聞こえはいいですが、 ありきたりな言葉だけで具体性がありませんよね。 つまり中身がカラッポです。
これを防ぐためにも、組織を変革するときには、変えるべき組織の一番の課題が何なのかをしっかりと絞り込むことが大切です。また、各メンバーのモチベーションを高めるためにも、課題の重要性をメンバーに共有することも重要です。
②ビジョンを共有し、各メンバの役割を決める
ボトムアップの行動を起こさせる一番の方法は、各メンバーの役割を変えることです。新しい役割をこなすためには必然的に新しい行動をしないといけませんよね。
ステップ①で問題点を明確にしたら、その問題を解決するための新しい役割であったり上位の責任範囲をメンバーに割り当ててあげると、効果的にボトムアップの行動を促せます。この段階ではまだ組織の構造や業務プロセスを大きく変える必要はなく、従来の組織構造の範囲内で役割分担や権限の範囲を変えるだけで大丈夫です。また、各メンバの行動がバラバラの方向を向かないように、組織が目指すべき明確なビジョンを共有することも大切です。
③各メンバが役割を遂行するのをサポートする
各メンバーに新しい役割を与えるわけですが、今までにない役割に挑戦するわけですから、壁にぶち当たったり、不安を抱えたりする可能性があります。これらの障害をリーダーができるだけ取り除いてあげることで、メンバーの行動を促進しましょう。
このときトップダウンであれこれ指示をするとメンバの主体的な行動が損なわれてしまうので注意が必要です。変革を進めるには各メンバの行動がボトムアップで広がっていくことが大切ですので、リーダーは指示するというよりもサポートするという姿勢が良いでしょう。
また、サポートする中での日々のコミュニケーションがビジョンの共有を高める大切な場になります。組織の変革は数回のミーティングで起こるものではなく、日々のコミュニケーションが積みあがって起こるものです。
④成功しているメンバーやチームから、その周りへと変化を広げる
時間がたつとメンバーやチームによって改革の進み具合や成果に差が出始めてきます。このときは成功しているチームのやり方を他のチームにも共有してあげます。そうすることで良い行動がピックアップされて組織全体に広がっていきます。
このときの注意点もトップダウンで押し付けないことです。他チームの良い行動を自分のチームにどう取り入れていくのかはそのチームのメンバー自身で決めさせてあげましょう。
また、組織の文化を変える場合は長期にわたることもありますが、そういう場合でも短期的な節目節目でしっかりと進捗を成果として認めてあげることも大切です。
⑤行動の変化に合わせて組織の構造や業務プロセスを変える
ステップ②の段階ではまだ組織の構造や業務プロセスを大きく変える必要はなく、従来構造のままで役割分担や権限の範囲を変えるだけで大丈夫と言いました。
ステップ④まで来ると、様々なメンバーの行動の中から成功した行動がボトムアップで組織全体に広がっていきます。この段階まで来たら、この新しい行動に合わせて組織の構造やプロセスを変えます。そうすることで新しい行動を組織に定着させることができます。
⑥変化の成果をモニタして戦略を調整していく
最後のステップでは新しい組織体制が成果を出せているかどうかを継続してモニタしていきます。成果がうまく出なかったり、目指す方向性に変更があった場合には、戦略に調整をかけていけばOKです。
まとめ
本稿ではボトムアップの行動で組織を変えるための6つのステップを紹介しました。
組織改革を成功させるためのポイントとしては、
- 各メンバーに役割を与えて行動を引き起こすこと
- ボトムアップの行動をビジョンやコミュニケーションでサポートしていくこと
が大切になると思います。
以上、本稿はここまで。